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June 30, 2007

北朝鮮向け短波ラジオ放送

政府の「ふるさとの風」は1億3000万円。民間の「しおかぜ」は1000万円

 政府による北朝鮮向け短波ラジオ放送「ふるさとの風」が、7月9日から始まる。
 ラジオ放送自体は大いに結構である。どんどんやってもらいたい。
 詳細を政府は全く公開していないので、曖昧だが、年間予算は1億3000万円ぐらいで、毎日1時間、そして内容は「政府認定の拉致被害者」の情報発信とのことである。
 ここで、疑問がわく。
 なぜ、1億3000万円もの巨費がかかるのか?
 なぜ、情報発信だけで、情報収集に活かそうとしないのか?
 そして、一番大切なことは、なぜ「政府認定の拉致被害者」だけの情報発信なのか?
 放送内容は、特定失踪者問題調査会の短波ラジオ放送「しおかぜ」と変わりはないようである。つまり、拉致被害者家族のメッセージとニュースである。放送言語も、日本語、英語、ハングルのようである。使用するラジオ放送局は、「しおかぜ」と同じ英国の会社である。
 ところが、それにはいわゆる「特定失踪者」の問題も「特定失踪者のご家族のメッセージ」は含まれないとのことである。
 本当にこれで良いのだろうか。
 民間の「しおかぜ」は、諸経費込みで年間1000万円程度である。録音・編集は、調査会の村尾理事一人の手作業である。外国語のアナウンスや翻訳は、全てボランティアである。方や、政府の方は、社団法人海外広報協会に委託させて、またそこがどこかの会社に編集などを孫請けさせて、録音、アナウンス(多分プロ?)、翻訳をやるのだろう。経費がその分かかるとしても1億3000万円もかかるものだろうか。
 先に政府が実施した、日本国内向けのテレビコマーシャルにもほぼ同額の予算が使われた。内容は、横田さんの家族らしき人物たちが海岸に表れて、後ろから黒い影がでてくる、というものである。15秒ぐらいだったか。それを2週間全国のテレビ会社が配信した。
 効果はどうだっのか。私は全く目にすることはなかった。色んな人に聞いてみたが「そういえばそんなのあったな。でも私は見ていない」あるいは「一度見たけれど、あれ?という感じだった」で終わりである。
 おそらくは、政府の短波ラジオ放送も、テレビコマーシャルと同じような効果だろう。だとしたら、そんなに巨費を投入して政府の主催事業としないで、民間NGOにその分を委託したら、10倍の放送量を実施することができるのである。北朝鮮向け短波ラジオ放送は、私の知る限りで、韓国で2団体、日本で1団体、米国でも2団体が行なっている。さらに、今度、「救う会」の支援で、自由北韓放送の日本支局ができたとのことだ。それらに、補助金という形で、放送の委託をすれば、もっと効果が挙がるのではないだろうか。
 実際、米国政府は、金額はわからないが、北朝鮮人権基金から、民間のNGOに対して、そうした事業への補助金を流す仕組みができている。もちろん「カネは出すが、クチは出さない」。日本でもできないことではないだろう。
 私が昔市議会議員をしていた時、中学校に初めてパソコンを導入するということがあった。その数は10台である。その予算がなんと1000万円だった。パソコン1台につき、100万円である。もちろん、部屋の改装費用は別である。私は「なんでそんなにかかるのか」と質問をしたが、「ああでもない。こうでもない」と全く要領が得ないまま、予算は可決である。
 政府の事業とは、中央も地方も全く同じである。「予算がない」と口癖のように言うのだが、イザとなると、民間では考えられないような金額と内容で予算が執行される。このパソコン購入も、文部省の補助金で行なったものだったと記憶している。
 その時は、某パソコンメーカーからの購入であったが、仕様は、普通のパソコンをネットワークでつないでいるだけのものだった。いいようにメーカーにやられたのである。
 今話題の社会保険庁の1兆円ものコンピューター管理経費も同じである。契約書もなしで、KDDにいいようにやられていたのである。
 ついでに言うと、その市では、文化会館新設の際に、誰も存在を認識しないモニュメントに、2000万円の巨費を投じた(文化会館の前にある黒い石の物体である)。クラシック・コンサート専用ホールと名乗っておきながら、緞帳(クラシック・コンサートで絶対に使わないシロモノ)に3億円近い巨費を投じた。
 こうしたことを下世話な言葉で言えば、政府の事業は業者にとって「いいカモ」だということである。業者にとっては、絶対に喰いっぱぐれしない。政府も税金を使うのだから、自分たちの財布は痛まない。
 今度、「ふるさとの風」を受託した社団法人海外広報協会のホームページを是非見て欲しい。なかなか立派な事業を展開していると感じられる。ところが、北朝鮮問題について記述は全くない。いわんや拉致問題など一言も記述がない。さらに、役員は高級官僚の天下りであることがわかる。「天下り」が問題になっている最中のことでもある。
 拉致問題という重要な政策課題の執行にあたって、政府の事業が高級官僚の「天下り先」の「いいカモ」になってしまったら、本当に良いのだろうか。そもそも、この社団法人の役員たちは、北朝鮮の人権問題をどのように考えているのだろうか。脱北者の支援を一回でもしたことがある人たちなのだろうか。それこそ、拉致問題の集会への参加や、カンパなど、何でも良いが、一度でも関わった事がある人たちなのだろうか(この役員の中に、私が「しおかぜ」への支援を要請しにいって、やんわりと断られた団体と会社の役員もいる)。
 なにより、特定失踪者の問題や、その家族の人たちの苦しみや悲しみを、どれだけ理解した上で、短波ラジオ放送を進めていくのだろうか。せめて、それぐらいのメッセージを始める前に、キチンと出してもらいたいものである。

社団法人海外広報協会

理事長  秋富公正 常勤 元総理府 総務副長官
専務理事 山崎敏子 常勤
常務理事兼事務局長 福山博幸 常勤
理事 石原信雄 財団法人地方自治研究機構 理事長 元内閣官房副長官
同  大竹美喜 アメリカンファミリー生命保険会社創業者・最高顧問
同  小長啓一 AOCホールディングス株式会社相談役 元通商産業事務次官
同  張富士夫 トヨタ自動車株式会社 会長社団法人日本経済団体連合会 副会長
同  寺田輝介 財団法人フォーリンプレスセンター理事長 元駐韓国 特命全権大使
同  長岡實 財団法人資本市場研究会理事長 元大蔵事務次官
同  山本鎭彦 元警察庁 長官 元駐ベルギ- 特命全権大使
監事 本間美邦 税理士、本間会計事務所 所長
同 武藤春光 弁護士、元広島高等裁判所長官

http://home.jcic.or.jp/jp/index-j.html

 ちなみに、本件について、調査会村尾理事による「しおかぜ通信」にも同様のコメントがあるので、ご覧いただきたい。

http://senryaku-jouhou.jp/tayori.html

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