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39 posts from July 2007

July 31, 2007

[北 地方代議員選挙] “選挙が終われば指示に従って踊る”

Daily NKの配信による「北朝鮮の選挙」の風景の第二版。
 選挙が終われば、指示に従って人民は「踊る」のだとのこと。誠に「お疲れ様」としか言いようが無い。確かに「選挙はお祭り」と日本でもよく言われるが、さすがに「踊る」ことはない。政治文化にお国柄があるのは当然だが、強制される選挙ほど嫌なものはない。
 かつて、日本でも選挙前になれば、会社員や労働組合員に対して個別の候補者への投票が「強制」されたものだが、それも昔の話である。今は、どんなに会社や労働組合の幹部が笛や太鼓を鳴らしても、会社員や組合員は自由に投票している。その証拠に、労働組合での比例代表選挙での個別の組織内候補者の得票数を見ればよくわかる。
 会社や労働組合の幹部にしてみれば「頭痛のタネ」ではあるが、この現象をネガティブに評価したらキリがない。この際、日本がより自由な社会になったというように、ポジティブに評価するべきだろう。こうした投票の「強制」ができるのは、全体主義国家や全体主義的組織だけなのであるから。

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[北 地方代議員選挙] “選挙が終われば指示に従って踊る”
“選挙日に事故を起こせばより残酷な処罰”
2007.7.31 Daily NK

北朝鮮は29日、地方人民会議の代議員選挙を実施した。4年ぶりに実施する道(直轄市)、市(区域)、郡の人民会議の代議員選挙だった。
北朝鮮の最高人民会議は先月19日、地方代議員選挙の実施を発表し、同月23日、ヤン・ヒョンソプ最高人民会議常任委副委員長を委員長にした、中央選挙委員会を構成した。
今月14日には選挙人名簿を公示して、29日には各地域の代議員候補者の推薦を完了した。北朝鮮は選挙実施を公告した後、各種の媒体と団体、個人を動員して、投票参加キャンペーンを活発に展開してきた。大々的な住民登録の調査と宿泊検閲(旅行証なしに他の地域に泊まる人を探し出すこと)など、住民投票の参加のために取り締まりも実施した。
さて、選挙当日、北朝鮮の住民はどう過ごすのだろうか。
住民はどの候補に投票するか悩む必要がない。単一候補の賛否投票であるだけでなく、賛成票を出さなければならないということは誰もが知っているからだ。選挙にも特別な意味があるわけではない。
2005年に北朝鮮を脱出したイ・ジョンヒョン(仮名)氏は、“人民班長の事前の公告に従って人民班が全員集まれば、人民班長に引率されて、はんこを押して来て終り”と言い、“選挙にはあまり意味がなくて、面倒だと感じることもなかった”と語った。
‘頻繁に行うことでもなく、数年に一回だけして、選挙日は休日なので’悪くはなかったという。
イさんはまた、“選挙を控え、中学生などの生徒たちが動員されて、投票に参加するようにという宣伝戦を行った”と述べ、“選挙参加の運動は、学生たちが行うことが多く、大人はただ当日(投票日)必ず参加しさえすればよかった”と付け加えた。
住民たちは12時前に、選挙がほとんど終わる頃から、投票所の前で踊りを踊らなければならない。主権を行使したという意味があり、嬉しい日であるということを表現するためだ。
2003年に脱北したキム・ジュウオン(仮名)氏は“事務長(選挙責任者)や人民班長が踊りを踊りなさいと言って、30分から1時間ほど踊って、分かれて休む”と語った。
踊りを踊った後は、特別なことはせず、それぞれ休憩をとる。男性を中心に、酒盛りが始まることもあり、当選者の家を尋ね、祝うこともあるという。
キム氏は“この日だけはいくらお酒をたくさん飲んでも事故を起こしてはいけない”と伝えた。選挙の日に事件が発生したら、普段よりも大きな罰を受けなければならないというのだ。
キム氏は“お酒を飲んでけんかになったり、盗みを働いた場合、地方に追放されることもあった”と述べ、“住民の多くはこの日に事故を起こせば、他の時よりもずっと残酷な対価を支払わなければならないという事実を知っている”と伝えた。
北朝鮮では今回の選挙を控え、小学校と中学校の生徒たちを動員して、住民の投票参加運動をしたと伝えられた。学生宣伝団は、‘選挙に参加して人民主権を一層強化しよう’という主題の下、選挙への参加を促したという。
平壌出身の脱北者、チュ・ウオンギョン(仮名)氏は、 “北朝鮮は選挙を通じて住民たちを結集させ、体制を強化しようと考えているが、実際には特別な効果は見られない”と述べ、“住民が選挙を休まないのは、住民登録から完全に除去されたり、反逆者と烙印を押されるのが嫌なだけ”と伝えた。

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July 30, 2007

故金主席の実弟、4年ぶりに動静報道=北朝鮮

故金主席の実弟、4年ぶりに動静報道=北朝鮮

【ソウル30日時事】北朝鮮の朝鮮中央放送は30日、故金日成主席の実弟である金英柱最高人民会議常任委員会名誉副委員長が29日に実施された道、市、郡人民会議代議員選挙で投票したと報道した。韓国の聯合ニュースが伝えた。
 聯合によると、金英柱氏の動静が公式に伝えられたのは、2003年9月の建国55周年を記念する閲兵式に参加して以来。

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金英柱とは、金日成の弟であると同時に、1957年に金日成の愛人である文政子(タイピスト)との間で生まれた金成日(一との記録もあり)を、実の息子として育てた人物である。同じように、金日成の娘である金敬姫の夫である張成沢も、愛人のユンと呼ばれる女性と金日成との間で生まれた金玄一を実の息子として育てている。
これでどうということもないのだが、こうした政権中枢にいる肉親の関係性を眺めると、金日成独裁体制というのが、封建的な李氏朝鮮の伝統を継承した専制体制であることを如実に示すものである、ということである。この辺の分析は、恵谷治氏が詳しいので、そちらに譲りたい。
それで、今頃なぜ金英柱の情勢がわざわざ公にされたのかが謎ということになる。なにせ、1920年生まれなのだから、当年とって87歳の高齢である。政治的影響力もなく、お飾りのような副主席に就任していたのだが。
伝え聞くところによれば、金正日の健康不安もあり、後継問題も取りざたされる中で、党や軍を事実上統制しているのは、某軍の幹部だということである。某軍の幹部が、こうした金日成に連なる「昔の名前で出ています」というような人物を表に出して、金正日後の政権構想を進めているというわけである。
 これが本当かどうかは、わからないが。

July 29, 2007

安倍政権の惨敗と拉致運動


 参議院選挙で、安倍政権側が惨敗した。ある程度の予想はされていたものの、これ程までに惨敗するとは思っていなかった。
 これからの拉致運動は、安倍政権の惨敗を受けてどうなるのだろうか。いや、どうするべきであろうか。
 私は、拉致運動は基本に戻って、本当の意味の国民運動として再出発していくべきだろうと考える。いかに、安倍総理が拉致問題に熱心に取組んだからと言って、政権と一緒くたになっては、国民運動ではなくなるのである。いかなる政権であろうとも、国家権力との一定の距離感を保つことが、国民運動としては不可欠なのである。政権と一緒くたになった運動は、「国民運動」ではなく「官製運動」になってしまう。
 安倍政権に対する「家族会」「救う会」の思い入れについては、これまでの経過からすればやむを得なかったのだろうとは思う。しかし、そこを一歩踏みとどまるだけの、「辛抱」を必要としていたのではないだろうか。
 一言で言えば、政治的バランス感覚というものであろう。やじろべえの原理と同じである。拉致運動も綱渡りのような運動である。綱から落ちないようにするためには、バランス感覚が必要である。そして、綱の一か所に留まるのではなく、前に進んでいかなくてはならない。とすれば、バランス感覚と、推進力が必要である。拉致の運動の推進力は、国民の圧倒的な支持にあったのであって、決して個別の政党とか政治家だけのものではなかったのである。
 今回の参議院選挙での安倍政権への批判が強かった理由は、拉致問題とは全く異なるものだった。拉致問題に対する国民の支持が表向きに出ることが少なくなったとはいえ、潜在的には依然として根強いものがある。
 これからの拉致の運動は、こうした表には出ないものの、根強い国民の支持を、もう一度推進力として活かしていく様な、地道な運動を進めていくことが大切であろう。

北朝鮮が事実上のタリバン支持を表明


 アフガニスタンで韓国人がタリバンによって拉致され、牧師が一人殺害された事件について、北朝鮮は「この拉致事件の責任は米国にあり、それに追随した韓国にある。よって、すぐに韓国軍はアフガニスタンから撤収せよ」という。「同胞」を拉致し、殺害したタリバンの側については、一切の批判をしていない。これは事実上のタリバン支持である。
 アフガニスタンやイラクの状態が、「ベトナム戦争の二の舞」に近い状態にあるわけだが、それについては触れないとして、テロリストの論理というものがここで如何なく発揮されていることを指摘したい。
 アフガンのタリバン政権や、ビンラディンあるいはイラクの元フセイン大統領が、米国の支援のもとで、対ソ連の支配に対抗する勢力として育てられたのは周知の事実である。
 米国にとっては、「飼い犬に手をかまれる」といったものだろう。しかし、彼らにしてみれば、「米国に利用されるだけ利用され、いらなくなれば捨てられる」というわけだ。米国にしてみれば、飼い犬だと思っていたのが、犬どころか「モンスター」に変身したわけだ。
 イランやイラクあるいはアフガニスタンの、今日の悪い状況の原因の全てが米国にあるわけではあるまい。彼らも、米国を利用するだけ利用しようとしたのである。お互い様なのである。ところが、このお互い様の関係がいったん崩れれば、恨み骨髄の深刻なテロの報酬に陥るのである。テログループがしばしば分裂するのはそのためである。
 さて、テロリストが常套手段として使うのが、「人質」である。米国のような圧倒的に巨大な勢力を相手にする時に、この「人質」という最も卑怯な手法は正当化される。「人質をしたテロリストには正義があり、人質をせざるを得ないような状況に陥れた米国に不正義がある」というわけである。この誠に自分勝手な論理を、大義だとか、正義だとか、宗教的な信仰を持ち出して、正当化するのである。
 北朝鮮が、タリバンを支持するのも、自分たちがやってきたことの正当化のためである。拉致された外国人や、場合によっては自国の人民も「人質」にして、「人質の命を保障してもらいたければ、カネをよこせ」という。
 北朝鮮が、直接アフガンの拉致事件について言及するのではなく、韓国のエージェントの声明を紹介するような形で出したのは、さすがに米国への配慮のためかもしれない。しかし、言っていることは、テロリストの論理と全く同じなのである。これでは、対北朝鮮政策で軟化した米国であったとしても、北朝鮮の「テロ支援国家」を解除するようなことはしないだろう。北朝鮮にしてみれば自業自得である。もともとの自分の悪行を、どんなに「相手が悪いから、自分も悪行をしても許される」と自己の正当化をしようとしても、それは土台無理な話なのである。

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北、アフガン拉致事件初言及

北朝鮮官営朝鮮中央放送は27日、全国統一汎民族連合(汎民連)韓国側本部の声明を引用する形式で韓国の民間人20人のアフガニスタン拉致事件を事件発生から8日後、初めて報道した。
この放送は報道を引用し「全国統一汎民族連合南側本部が22日、アフガニスタンでの派兵部隊撤収を要求して声明を発表した」とし「声明は最近アフガニスタンで南朝鮮民間人 20余人が抑留された事実に対して言及した」と伝えた。
中央放送は「今回の事件は現政府が汎国民的な反対にもかかわらず南朝鮮-米国同盟を語り名分のない派兵を強行した結果によりもたらされた悲劇だと声明は主張した」とし「声明は政府が米国のアフガニスタン侵略直後から大テロ戦を支援するという口実で派兵を強行してきたと断罪した」と紹介した。
この放送は声明内容を引用し「2004年イラクで民間人金鮮一(キムソンイル)が拉致されたときにも現政権は派兵強行の見解を明らかにすることで結局、悲劇的な惨事をもたらした」とし「我々は再びこうした悲劇が繰り返されないように願い、政府はすぐ米国との戦争同盟関係を絶ち、イラク、アフガニスタンでの派兵部隊撤収を宣言しなければならない」と明らかにしたと伝えた。
放送は「(声明は)我々は抑留された民間人たちが現政権の対米追従、屈辱政治の中に戦争同盟の犠牲者になることを決して受け入れないと指摘した」と付け加えた。
北朝鮮は2004年故・金鮮一さん拉致事件でも事件発生3日後に韓国の放送報道を引用する形式で事件発生の事実を初めて伝え、金さんが死亡した後は、祖国平和統一委員会スポークスマンが中央通信と問答形式で哀悼を示し、韓国政府のイラク派兵を非難した。

2007.07.27 10:38:41  中央日報

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帰国事業と一緒に日本人が拉致されていた

帰国事業と一緒に日本人が拉致されていた
  ―― 朝鮮総連は、在日朝鮮人と日本人を拉致するために作られた ――

 「朝鮮総連は、在日朝鮮人と日本人を拉致するために作られた。帰国事業として合法的に在日朝鮮人を北朝鮮に連れて行き、非合法的に日本人を連れて行った」と、28日に神奈川救う会の集会で、脱北者の千葉さんが証言した。
 千葉さんは、在日朝鮮人の子どもとして日本で生まれ、3歳の頃に帰国事業で北朝鮮に渡った。そして、近年命からがら脱北し、現在は日本で暮らしている。
 両親は総連の表向きの趣旨である「在日朝鮮人の人権を守る」というものに騙され、帰国事業にも協力し、そして自らも帰国船にのった。
 両親は、北朝鮮の清津に着いたとたん「騙された」ことに気がついたが、もうその時は遅かった。父親は、家族に対して泣きながら「申し訳ない」といって亡くなった。母親は「私が死んだ時には、せめて頭を日本に向けてくれ」と言って亡くなった。母親は、日本にいる時に桜の木の下で花見をしている写真を、形見のように大切にしていたという。
 千葉さんは、北朝鮮に住んでいたとき、ある人から冒頭のような話を直接聞いたという。その人物は、金日成の指令によって日本に渡り、総連の結成に向けた活動と、そして、帰国事業と言う合法的な「拉致」を組織し、そして、その延長線上で日本人の拉致に関与したという。
 その指令は、『人民の中で』という著書の中に、1946年の金日成の言葉として「異国の地で苦労している同胞を考えるとおちおち眠れない」という文書にあるという。表向きは、在日朝鮮人への憐憫の現れとされるが、実は、その意味は「労働力として在日朝鮮人を合法的に連れて来い。日本人も誰でも良いから連れて来い」という意味だったのだという。「帰国事業と一緒に、日本人の拉致もしていた」と、千葉さんはその人物から聞いたとのことである。
 この証言の信憑性について、千葉さんご本人は「これを信じてもらえないかもしれないが、話を聞いたことは事実である」と私に語った。また、「詳細については公開を差し控えたい」とのことである。私に語っていただいた非公開での話の部分から判断して、かなり信憑性が高いだろう。
 この証言の内容が真実であれば、当初特定失踪者問題調査会としても「仮説」であった「1976年以前の日本人拉致の存在」を証明するものになる。もちろん、すでに高敬美・剛事件が1974年であるし、寺越事件も1963年であるから、1976年よりも前から、日本人拉致が行なわれていたのは事実としてある。
 こうしたことから、調査会としても注目している1953年の徳永陽一郎さんをはじめとする1950年代、60年代の失踪事件についても、拉致の可能性は強まったと判断しても良いことになるであろう。
 今回の証言をしてくださった千葉さんの勇気に感謝したい。

筆者注 :本ブログで「1946年の金日成の著書『人民の中で』」と記していましたが、その記述は誤りでした。上記のように訂正いたします。

目くそ鼻くそを笑う


 批判をする相手に対して、同じ「過ち」をしてしまう現象は、「鏡の理論」で説明される。自己は批判する相手を自分を見る鏡として使うために、自分が批判する相手と同じ行動様式をしてしまうことがある。
 その例が、下記の時事通信の配信のような田中真紀子氏の麻生外務大臣への批判のコメントとして現れた。「麻生大臣の発言が適切ではなかった」という趣旨の発言で、同じように「不適切」な表現を使ったわけである。
 現職外務大臣と元外務大臣の「口ゲンカ」の範疇であるならば、そんなに取り立てて騒ぎ立てるほどのことではない。しかし、これが国際間の「ケンカ」の中で、同じような現象が起こったら、ことは深刻である。
 それは、「テロを解決するためには、テロも辞さず」「核攻撃から身を守るために、核武装も辞さず」「謀略に対抗するためには謀略をもって対処する」といった行動である。「目には目を。歯には歯を」や「戦力均衡の理論」も同じような文脈のもので語られる。
 いずれも、批判する相手に対抗するために、自らも批判の相手と同じ行動理論を採用してしまうのである。
 こうした行動論理を、第三者が眺めれば「どっちもどっち」あるいは「目くそ鼻くそを笑う」といったように判断されるものである。
 麻生外務大臣と田中元外務大臣とのやりとりは、まさに「目くそ鼻くそを笑う」で済まされる話だが、北朝鮮の核開発に対抗する手段としての「核保有論」というものになれば、笑って済むようなものではない。あるいは、「北朝鮮の謀略に対抗するためには、日本も謀略を駆使すべきだ」ということになれば、日本も北朝鮮と同じようなレベルの国になってしまう。
 鏡の理論によって説明されるような「落とし穴」に、自らが陥るようなことにならないように気をつけなくてはならない。私自身もしかり。

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2007/07/28-18:54 麻生氏こそアルツハイマー=批判しつつ発言-田中元外相

 田中真紀子元外相は28日、鳥取県米子市内で開かれた民主党の演説会で、アルツハイマー患者を引き合いに出し中国へのコメ輸出を奨励する発言をした麻生太郎外相を同じ患者に例えて批判した。
 田中氏は「口の曲がったわけのわかんないおっちょこちょいの外務大臣が、中国のコメと日本のコメの(価格の)計算が分からないからアルツハイマーだと言ったが、そんな自分(麻生氏)がアルツハイマーだ」と指摘した。田中氏の発言は、少子高齢化の進行で「年金の給付ができなくなったり、介護保険も大変だったりしている」と現行の社会保障制度の維持が困難になりつつあるとの認識を示す中で飛び出した。(時事通信)
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July 27, 2007

アエロフロートの思い出

 ある日、知人から「海外旅行に行きたいが、世界で最も安全な飛行機会社はどこか」と尋ねられたことがある。
 私は、すぐさま「ロシアのアエロフロートだ」と答えた。
 「なんで?」
 「理由は簡単。まず、飛行機が途中で故障して落ちても絶対に誰にも判らない。次に、落ちたことを証明するものは何もみつからない。そしてなによりも、ロシア空軍に撃ち落されることがない」

*  *  *

 私は、これまで何回かヨーロッパに行ったときには、必ずアエロフロートを使った。理由は簡単。「安い」である。
 30年前のまだソ連時代、アエロフロートに最初に乗ったときは、その飛行機には毛布が無かった。隣に座った人が「毛布を貸して」とスチュワーデスに尋ねたところ、返ってきたのは「自分のコートをかけなさい」だった。前に座った人のイスは壊れていて、座るどころのシロモノではなかった。機内食は、パサパサのパンと、まずいワインと、変なにおいのする食べ物だった。
 二番目に乗ったときは、飛行機の内壁が木製で、しかも隙間から色んなコードがはみ出していた。
 何番目からは、モスクワにトランジットで一泊するコースを選んだ。そのホテルに行くまでは、警察官の監視付きで、4時間ほど空港内に「拘束」され、ボロバスで連れて行かれた先のホテルは、文字通り「強制収容所」のようなホテルだった。もちろんシャワーのお湯は出なかった。
 それでも「安さ」に負けて、何度か使ったが、ロシアに変わって、徐々にサービスは良くなり、10年前ぐらいに前に乗った飛行機は快適なエアバスに変わっていた。隣に座った方と、意気投合。当時は、禁煙でもなかったので、タバコは吸い放題で、ワインを二人で飲みまくった。ヘビースモーカーと酒豪の宴席だった。それでも客室乗務員は、笑顔を絶やさず、ひたすらワインを持ってきてくれた。「スパシーバ」の連発である。
 最近は、ヨーロッパに用事もなくなったので、アエロフロートを利用することもなく、どんなに変わったのかは判らない。ただ、共産主義時代とはずいぶん変わったのだろうと思う。
 早いところ、北朝鮮の高麗航空も、アエロフロートのように変わっていくことを期待したいものである。


 

北朝鮮外務省の「備忘録」

 先日のブログで紹介した北朝鮮外務省の「備忘録」の全文です。
 アジアプレスが翻訳したものを、特定失踪者問題調査会でニュースとして配信したものです。
 「備忘録」とは、北朝鮮がよくする方法論だそうです。
 私もノートに「備忘録」と記して、メモを残します。その趣旨は、私が一過性健忘症になりつつあるためです。普通はそんなことのためにするのが「備忘録」でしょうが、北朝鮮の場合には「誹謗録」として使っているようです。それとも、本当に私と同じで一過性健忘症に陥っているのかもしれませんが。

 翻訳はプリントされたものをスキャニングしてデジタルデータに直しましたので、一部修正漏れの
ある可能性があります。

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 日本が、すでに解決された「拉致問題一に引き続き固執し、反共和国敵視策動に執拗にしがみつい
ている。

 安倍政権は「拉致問題」が未だに解決されていないと我を張り、わが共和国に国際的圧迫を加えよ
うと哀願外交を慌しく繰り広げている。

 彼らは、「拉致問題」を巡って朝鮮に経済制裁を加えただけでは飽き足らず、総連まで抹殺しよう
と画策している。

 そのため、朝日関係はもちろん、朝鮮半島非核化のための6者会談にまでいま一つの危機が近づい
ている。

 安倍政権が「拉致問題」を持ち出して、わが共和国に対する挑発をエスカレートさせている裏には
不純な打算と目的がある。

 朝鮮民主主義人民共和国外務省は、「拉致問題」を悪用しようとする日本当局の策動がもたらしか
ねない危険な悪結果について、国際社会の注意を喚起するために備忘録を発表する。

(1)

「拉致問題」は、わが共和国の誠意ある努力によってすでに解決された問題である。

 1999年12月、日本の元首相・村山富市を団長とする日本政党代表団の朝鮮訪問時、日本側は、日本
人行方不明者13人に対する安否調査を実施することを、わが方に提起した。

 2000年3月に北京で開かれた朝日赤十字会談において、わが方は、当該機関が日本側の要請した行
方不明者らに関する安否調査を始めたということについて知らせた。

 2001年12月、朝鮮赤十字会は、日本の反共和国敵視策動が強化されたことに関して、やむを得ず安
否調査事業が中断されることになるということについて日本側に通知した。

 朝鮮民主主義人民共和国政府は、行方不明者問題の人道主義的な性格を考慮し、2002年4月に特別
調査委員会を組織して全国的範囲で調査事業を行った。

 調査の結果、1970年代末から1980年代初めまでの期問、一部の個別的な人々が日本人を拉致した事
件があったということが明らかになった。日本がかって朝鮮人民に及ぼした前代未聞の過去犯罪に対
して謝罪、補償せず、逆に共和国を引き続き敵視することにより、わが人民の反日感情が非常に高く
なっていた時期に発生した事件であった。

 日本が適時に過去を清算して法的・道義的貴任を果たしていたなら、「拉致問題」は最初から発生
しなかったであろう。

 2002年9月17日、日本の小泉前首相の平壌訪問期間、日本人行方不明者13人が拉致被害者として確
認され、そのうち5人が生きており、8人はすでに死亡したという調査結果が日本側に通報された。

 「拉致問題」が発生したことについて、朝日最高位級会談において公式に遺憾の意が表明された。

 同じ世紀、これより先に日帝によって敢行された840万人余りの朝鮮人強制連行、100万人余りの虐
殺、20万人に対する日本軍「慰安婦」への強要など、大規模な反人倫犯罪による莫大な被害が全く清
算されていない環境において、共和国政府が10人余りの日本人拉致問題を先に解決するために誠意を
示したのは、決して易しくない勇断であった。

 小泉前首相の訪問期間、同行した日本外務省関係者らが、拉致被害生存者らと死亡した被害者・横
田めぐみの娘に会って身元を確認した。

 朝鮮民主主義人民共和国外務省は2002年9月19日、スポークスマン談話を通じ、拉致被害生存者ら
が希望する場合、日本への帰国や故郷訪問が実現できるように必要な措置を取る用意があるというこ
とを明らかにした。

 2002年9月28日から10月1日までの期間、内閣府と外務省関係者らで構成された日本政府代表団が平
壌を訪問し、拉致被害者らの生活経緯と死亡者らの死亡経緯、事件関係者らの処罰状況を含む調査結
果の細部資料について補充的に通報され、具体的に了解した。

 日本政府代表団は、拉致被害死亡者らの墓地と火葬場、横田めぐみが入院して自殺した49予防院な
どを直接見て回り、関係者らと会って横田めぐみの病状、入院生活と治療状況、自殺当時の状況など
について具体的に聴取、確認し、訪問結果に満足の意を示した。

 2002年10月15日、共和国政府は、日本側の要請に従い、拉致被害生存者5人が故郷を訪問できるよ
うに日本旅行を実現させた。

 彼らがまず1~2週間、日本を訪問して帰った後、子息らと協議し、今後の居住問題を決めることが
できるよう便宜を保障しようということが朝日政府間に成立した合意事項であった。

 ところが、日本政府は、生存者らが日本に到着した後の10月30日、突然彼らを送り返さないという
決定を一方的に発表した。

 これが「拉致問題」の解決過程において日本側が約束を覆し、信義を捨てた最初の実例である。

  後に判明したところによれば、この決定の背後には当時の内閣官房副長官・安倍晋三がいた。

 こうして、「拉致問題」を解決して朝日関係改善の雰囲気を整えようとしていた共和国政府の努力
は水泡に帰し、朝日関係は対決状態に戻った。

 2004年5月22日、小泉前首相が「朝日平壌宜言」を再確認するために再び朝鮮を訪問した。

 前首相はこれまで、朝日間に好ましくないことがあったことについて遺憾の意を表し、わが方に「
拉致問題」について再調査し、拉致被害者の子女らを日本に送ることを切に要請した。

 共和国政府は、小泉前首相が日本に帰る時、拉致被害生存者の子女5人全員を一緒に連れて行くよ
うにし、6月初めから調査事業を再開するようにした。

 その後の2004年8月と9月の2回にわたり、中国の北京で行われた朝日政府間実務接触を通じ、日本
側に対して追加的に明らかになった調査結果が知らされた。

 2004年11月には、内閣府と外務省、警察庁の関係者ら、法医学専門家らで構成された日本政府合同
代表団が朝鮮を訪問し、1週間にわたって死亡者らに関する現地確認事業を実施するために必要なあ
らゆる便宜が図られた。

 日本政府合同代表団は、わが方の特別調査委員会から50時間余りにわたり、日本側の疑問事項に関
する具体的な説明を聞き、死亡者らの生死を確認できる16人の証人、目撃者らと面談を行い、死亡者
らが生活していた場所も見てまわった。

 代表団側の要請に従い、補充確認のために団長が横田めぐみの夫キム・ヨンナムに会い、彼に頼ん
でめぐみの遣骨を譲り受けた。

 めぐみの遺骨まで持って日本に帰還した代表団団長は11月17日、日本の国会参議院拉致問題特別委
員会で「横田めぐみの病歴書が全体的に信憑性あるという感じを抱いている」と証言した。

 このように、共和国政府の真摯かつ誠意ある努力により、13人の拉致被害者のうち、生存者5人と
その子女7人のだれもが日本に帰り、父母の希望の通りに横田めぐみの遺骨まで日本に帰ったことに
より、「拉致問題」は終結した。

(2)

 安倍一味は「拉致問題」が解決したことを必死に否認し、「拉致」騒動に執拗にしがみついている

 横田めぐみの遺骨が偽物だという説を持ち出したのが、「拉致問題」が解決した後の日本の最初の
反応であった。
 2004年11月17日、当時の自民党幹事長代理・安倍は、東京都で行った講演において、わが方が日本
政府合同代表団に通報した資料について「聞くに値するものがなく、引き続きウソだけを並べている
。誠意が全く感じられない。これ以上、協議を継続するのは無意味である。北朝鮮には圧力しか通じ
ず、当然、経済制裁を発動する段階に至った」と暴言を発した。

 安倍一味は、めぐみの遭骨を科学警察研究所と東京歯科大学、帝京大学に分散して鑑定するように
した。

 科学警察研究所は、火葬時に遺骨が高温で燃やされたのでDNAを検出できない、と発表し、東京歯
科大学も、骨相学的な検証が不可能だ、と述べた。

 それにもかかわらず、当時の内閣官房長官・細田博之は12月8日、横田めぐみの夫が渡した遺骨が
「本人と異なる2人の骨」だという鑑定の結果を公表した。

 これと時を同じくして、安倍は、共和国に対する経済制裁を即時発動すべきだ、と主張し、結局、
日本政府は、小泉前首相が平壌訪問時に確約した人道主義支援を凍結する、と発表した。

 2004年12月25日、日本側はわが方に「遣骨鑑定結果に関する報告書」なるものを送ってきた。

 鑑定方法と鑑定内容に関する説明に矛盾点があり、さらに鑑定人と立会人の署名や鑑定機関の公認
もないインチキ文書であった。

 英国の科学雑誌「ネイチャー」2005年8月17日付は、横田めぐみの遺骨を鑑定した帝京大学助教授
(放送のまま=RP)吉井富夫が自らの結論が確定的ではないこともあり得、遺骨が他人のDNAに汚染
されていた可能性もあると認めた発言内容を掲載し、「日本の政治家らの立場がいくら苦しくても、
科学的解析の意味を正しく受け入れなければならない。北朝鮮との闘いで彼らは外交的手段を動員す
べきであり、科学の尊厳を傷つけてはならない」と指摘した。

 米国雑誌「タイム」2005年4月4日付は、「吉井が使った分析技法は信頼性に問題が多く、米国の専
門法医学研究所ではこの方法を使わない」とし、日本の雑誌「世界」「アエラ」と南朝鮮のマスコミ
も、同じ疑問を呈した。

 横田めぐみの遺骨鑑定の結果に対する疑問が国内・海外へと広く拡大するや、日本当局は、遺骨鑑
定を請け負った吉井富夫を急いで科学警察研究所科長へと異動させ、外部との関係在一切遮断してし
まった。

 これに関して、民主党所属国会議員・首藤信彦が2005年8月30日、国会において当時の外相・町村信
孝に「実際に警察訓練を受けていない民間人を部署の責任者にするのは異例だ」と批判し、「これは
証人を隠そうとする意図ではないのか」と問い詰めたが、外相は一貫して明確な回答を回避した。

 安倍一味が持ち出した「偽遺骨説」に激憤しためぐみの夫が遺骨を直ちに送り返すことを日本側に
要求したが、日本側は今日まで、この要求に顔を背けている。

 安倍一味は最初に提起した13人に対する調査と処理が終わるようになるや、新しい「拉致被害対象
」らをでっち上げている。

 2005年1月17日、南朝鮮駐在の日本TBS放送支社が「脱北者」らから「拉致被害者」2人が写ってい
る写真4枚を新しく入手した、と報道した。

 内閣官房長官は同日、直ちに記者会見を開き、「強力な新しい証拠が出た。北朝鮮側に対して新し
い人々に関する資料の提供を要求する」と豪語した。

 しかし、2日経って写真の主人公である男女が現れたため、この事件は、TBS放送と「特定失踪者問
題調査会」代表が公式に謝罪することによって幕を下ろした。

 2007年3月初め、ハノイにおいて6者会談朝日国交正常化実務グルーブ(作業部会)会議で、日本側
は、「拉致被害者」らの生死がすべて確定したとしても、「拉致問題」が解決したと言うことができ
ず、「拉致被害者」全員を帰国させなければならないという主張を持ち出した。

 換言すれば、死んだ人々を生かして送還するまでは「拉致問題」が解決したと言うことができない
ということである。

(3)

 安倍政権は「拉致問題」を引き続き持ち出して、日本の再武装を進めることに利用しようとしてい
る。

 「拉致問題」にかこつけて朝日関係が正常化するのを阻み、6者会談を破綻させ、朝鮮半島の核問
題が解決できないようにすることにより、「日本と敵対関係にある共和国の核保有」を口実にするな
ら、日本の軍国化と核武装の名分を立てることができるというのが、安倍が代表している日本の国粋
主義勢力の打算である。

 安倍が総理に就任して提唱した日本の「戦後体制脱皮論」は即ち、軍事的に束縛される敗戦国の立
場から抜け出そうとするのが本心である。

 しかし、日本の過去の犯罪を忘れていない周辺諸国と国際社会の視線があるため、日本としては、
自分らの企図を正当化することができる口実が必要なのである。

 日本は一時、わが方のミサイル発射問題を口実に利用したが、自分ら自身がミサイルと同じような
運搬手段によって偵察衛星まで打ち上げることになるや、より「妥当な」他の口実を必要とするよう
になった。

 そのため、日本の右翼勢力がしがみついたのがまさに「拉致問題」である。

 国粋主義者らのシナリオに沿っ「拉致問題」の「深刻さ」と「比重」を高めるための狂信的な宣伝
キャンペーンが繰り広げられ始めた。

 2006年10月、日本で「救う会」会長・佐藤勝巳と副会長・西岡力がカネによって拉致関連「情報」を
でっち上げているということが暴露され、大きな波紋を呼び起こした。

 日本でいま、「拉致問題」は、数多くの政治ブローカーと諜略団体、御用報道物が生き長らえる「
拉致産業」へと発農し、このような「拉致の居候」らが「拉致首相」と「拉致内閣」
まで仕立て上げるに至った。

 安倍がまさに「拉致問題」を持ち出して情熱を示し、当選した初めての「拉致首相」である。

 2006年9月、首相の座に就いた安倍は、自らを責任者とする「拉致問題対策本部」なるものを設置
し、「拉致問題担当相」や「拉致問題担当補佐官」という職制までつくることによって初の「拉致内
閣」を発足させた。日本の主張通りなら、「拉致問題」は、死んだ人を生き返らせてこそ、解決され
る問題であり、日本の行方不明者らが全員現れてこそ、解決され得る問題である。

 2004年8月、東京都足立区で遺骸が発見された石川千佳子という女性も、日本側が共和国によって
「拉致」されたと主張していた女性である。

 明らかになったところによれば、この女性と同じ小学校で警備員をしていた男性が1978年8月14日
、校舎内で彼女を殺害して死体を自宅に26年問埋めていたという犯行であった。

 2004年までに報道された資料によっても、日本側が共和国に拉致されたと主張して日本の地で発見
された人々は8人にもなる。日本で行方不明者が1年に数百人も発生するという実情の下で、国粋主義
勢力が政権を握って「拉致」騒動に熱を上げている限り、新たな「拉致資料」を絶えず生産できるよ
うになっている。

 日本は現在、6者会談まで「拉致間題」の「人質」にしようと躍起になっている。2007年2月5日、
安倍は、朝群半島非核化のための初期段階の措置として6者会談参加国が共和国にエネルギーを提供
することにしたのに対し、「拉致問題で北朝鮮が誠意ある対応を取らなければ、日本が何かを与える
ということは基本的にないと明確にしようと思う」と言明した

 日本の企図が容認されるなら、朝鮮半局の核問題は「死んだ人を生き返らせなければならない拉致
問題」のように永遠に解決不可能となるであろう。

 まさにこれが、核武装を夢見ている日本の国粋主義勢力が狙う結末である。

 ここに安倍一味の策動の政治的危険性があり、かつて数百万人の朝鮮人を強制連行、拉致し、彼ら
の血を絞り取って骨を削って自らの発電所と炭鉱、鉱山、鉄道、飛行場を建設しながらも、僅か10人
余りの「拉致問題」をそれ以上に大きく騒ぎ立てるところに日本の道徳的低劣性がある。

 日本による朝鮮人誘拐と拉致はいまでも続いている。

 「非政府組織」の仮面を被った日本の反共和国団体が朝中国境地域でわが方の公民を誘拐、拉致し
ている。

 2007年6月3日付「読売新聞」が伝えたところによると、これらの団体がこれまで「脱北者」に化け
させ、日本に誘拐、拉致したわが方の公民は150人余りに達するという。2006年3月27日、朝鮮民主主
義人民共和国人民保安省はスポークスマンの回答を通じ、わが方の公民に対する誘拐・拉致事件を背
後操縦したり直接関与したりした日本の「非政府組織」メンバーである山田文明、加藤博、野口孝行
、李英和の犯罪行為を暴露し、彼らに対する逮捕令状が発給されたので、わが方に引き渡すことを日
本政府に要求した。

 共和国政府は朝日政府間会談と接触において、日本側に対して朝中国境地域でわが方の公民を誘拐
、拉致した事件を調査し、その実態を通知することと被害者らを送還することを何度も提起したが、
日本側は、それに対する回答を回避している。

   *  *  *

 安倍政権は「戦後体制脱皮」が主観的ではなく、客観的に認められなければ、実現可能なものには
ならないということを悟らなければならない。

 日本が過去の清算を回避し、近隣諸国を口実にして再武装を企てれば企てるほど、それは、日本の
復興ではなく自滅を招くだけである。


パンフレットに万景峰号 新潟県「まさか…」回収

 下記は、共同通信の配信。
 新潟県が作製した「海づくり大会」のパンフレットに万景峰号が写っていたという。新潟県として、国民世論に配慮して自主回収を始めたという内容。故意とはいえないだろうが、過失ということだろう。過失については、新潟県として名誉回復をしてもらいたいものである。
 そこで、新潟県の名誉回復を助けるために、新潟県が6月に作製したばかりの拉致問題のパンフレットをご紹介したい。
 内容は、端的に言って、内閣府の作製したパンフレットよりも優れている。その理由の一つは、新潟県内での特定失踪者の取り扱いである。きちんと、パンフレットに「政府による拉致被害者の認定は受けていませんが、北朝鮮による拉致の疑いがある、新潟県の出身のいわゆる特定失踪者の方が公開されているだけで6名おられます」と、解説、写真ならびに失踪状況をつけて、1ページさいている。一方の内閣府では、「日本政府がこれまでに拉致被害者として認定している17名のほかにも、北朝鮮当局による拉致の可能性を排除できない事案がある」と、二行記しているだけである。
 もう一つは、新潟県のパンフレットには、情報提供先ということで、新潟県警本部の連絡先が記されていることである。一方の、内閣府では、「お問合せ先」となっている。つまり、情報の提供を求めていないわけである。政府による一方的な国民への「啓蒙活動」なので、情報提供を求めるものではないのだそうだ。やれやれ。
 さらに大切なことは、新潟県は、このパンフレットを作成するに当たって、何度も特定失踪者問題調査会に問い合わせと打ち合わせを行ったことである。調査会に権威があるとかなんとかという問題ではなく、民間団体との意見交換を繰り返し、その意向を受けとめようとした新潟県の姿勢は評価されるべきだろう、ということである。一方の内閣府は、問い合わせも何もなかったことは言うまでもないことである。
 こちらの拉致問題についてのパンフレットの方では、新潟県を大いに評価したい。これで、「海づくり大会」での失点を少しカバーして、新潟県の名誉回復になるだろうか。

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パンフレットに万景峰号 新潟県「まさか…」回収

 平成20年9月に新潟県で開催される「第28回全国豊かな海づくり大会」のパンフレットの表紙に、政府が入港禁止の制裁を発動している北朝鮮の貨客船「万景峰92」が写っていることが分かり、パンフレットを作成した新潟県が自主回収を始めたことが26日、分かった。パンフレットを見た県民から指摘や抗議が相次いだことで発覚した。県の担当者は「まったく気付かなかった。拉致被害者やご家族、関係者に不快な念を抱かせ申し訳ない」と話している。
全国豊かな海づくり大会パンフレット
 「海づくり大会」は国民体育大会、全国植樹祭と並び天皇、皇后両陛下が臨席される皇室行事の一つ。
 県全国豊かな海づくり大会推進室によると、表紙には、佐渡島の北端「二ツ亀海水浴場」付近の写真を使用した。佐渡島と海。海上には白い船が小さく写っている。
 県民から指摘を受けた県の担当者が、船の航路や形状を確認したところ、万景峰号と判明。撮影日時は不明だが、政府が万景峰号の入港を禁止した昨年7月以前のものという。
 写真は、大会関係者から複数の案を募り、県が選定。パンフレットは約3000部作成し、5月から水産団体や海のイベントの来場者に配布、既に約2300部を配り終えたという。
 同室は「構図が美しく、県内有数の海水浴場なので表紙に使わせてもらった。船が写っているのは知っていたが、まさか万景峰とは思わなかった」と陳謝している。
(2007/07/27 03:50 共同通信)

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July 26, 2007

大学教授の「ニセ学位」問題 その2

 大学教授の「ニセ学位」問題を先日このブログで記したところ、予想外に(北朝鮮問題なみに)読者が大勢おられる。この問題の深刻さがよくわかる。特に、某I大学の「怪しさ」がインターネットでも指摘されている。
 実は、何年か前、うかつにも私もこのI大学に接触したことがあった。知人による紹介だった。その知人曰く「これから面白い大学になる。インターネットを使って、自由な大学教育が始まり、これからの主流になるのではないか」という弁だったのだ。すっかりその知人の弁を信じた私は、I大学事務局に接触したものの、結局のところ(運良く)何の話も進まず、そのままになった。後で、別の知人から「あのI大学は怪しいから接触をするな」とアドバイスをもらったのだ。くわばらくわばらである。
 「ニセ学位」の問題とは別に、日本の大学にも実に「怪しい」ものが実在する。それは、I大学とは異なり、ちゃんと文部科学省の認可を受け、全国展開している大学である。
 その大学では、毎日のように大学教職員にある「訓示」がなされる。その訓示とは「突撃命令」である。別に軍隊組織ではないのであるから、「突撃命令」とは、高校生の受験者獲得のための、全国の高校への訪問宣伝活動を指して言うのである。高校への訪問活動はどの大学でも実行していることではある。しかし、この大学の奇異なところは、高校への訪問活動を「突撃命令」と称し、そしてその成果を教職員が競わされることにある。事前にノルマと「突撃命令書」なるものが配布され、その命令書にしたがって、教職員が「突撃」していくわけである。さらに、「突撃」のための出陣式を、理事長、学長の出席のもと、教職員が整列して運動場で行うのである。ここまでくれば、もう「怪しい」を通り越している。
 世の大学というものは、ある意味で「世間」とは隔絶したものではある。「大学の常識は、世間の非常識」とも揶揄される。もちろん、大学での研究や教育は、自由が保障されなくてはならない。また、それだけ大学という存在は、社会の中でも重要なものではある。しかし、学問の自由という大義名分にまぎれて、「怪しげなる存在」が跳梁跋扈するのも大学ではある。
 「怪しげな大学」は、グレシャムではないが、「良い大学」を駆逐していくのである。「良い大学」を守るためには、こうした「怪しげな大学」を、早いところ掃討してもらいたいものである。文部科学省による「突撃命令」の結果を見てみたい。

 
 

金正日時代が終わろうとしている


 以下は特定失踪者問題調査会「しおかぜ」朝鮮語放送で、明日27日に初回放送される「人民のための政治」コーナーの内容の日本語訳です。
このコーナーは北朝鮮を脱出し、現在は北朝鮮研究者をされているヘドン(漢字で書けば「解冬」、ペンネームです)さんが担当されています。最近話題になっている金正日の健康の問題に関するものなので、訳したものをお送りします。なお、放送は27日以降、逐次再放送されます。

<以上、特定失踪者問題調査会メールニュースより 2007.7.26>

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 聴取者の皆さん、こんにちは。ヘドンの「人民のための政治」の時間です。「人民のための政治」
ではしおかぜのようにすっきりと北朝鮮の政治問題を論議しています。

 今日は1994年 金日成主席死亡で始まった金正日時代が僅か15年足らずで急速に終わりを告げよ
うとしているという事実についてお話ししようと思います。また、金正日時代が終結すれば北朝鮮に
どんな政治状況が訪れ、そのような政治状況にどう備えなければならないかについてもお話ししたい
と思います。

 金正日時代が終わるということは金日成主席の死亡によって金日成時代が終わったように、金正日
国防委員長の死によって金正日時代が終わりを告げるということです。現在の時点で金正日時代が急
速に終わりを迎えつつあるというのは、金正日国防委員長の健康が非常に深刻な状態にあるからです

 健康だった父金日成に比べて、金正日国防委員長は66歳にもかかわらず様々な重病をかかえていま
す。金正日は昔から人間の寿命に致命的な影響を与える糖尿病と高血圧、心筋梗塞などを患ってきま
した。

 金正日国防委員長は昨年から健康悪化が深刻化し30メートルもまともに歩けない程になったと言わ
れています。そして今年の5月には心筋梗塞の発作があり、ドイツから世界最高の医師を極秘裏に招
請して心臓手術を受けました。

 ドイツの医師たちは金正日の心臓から心筋梗塞を起こした血管の詰まった部分をバイパスする手術
を成功させたそうです。金正日国防委員長の心筋梗塞手術が成功して半月後に再び現地指導に出まし
たが、病気が完全に治ったものではありませんでした。

 すでに金正日国防委員長の健康は深刻だと言える程度に悪化しているため、今回の手術が成功した
としても完全な健康回復は難しいのです。 現在米国と日本, 南朝鮮の国家情報機関は金正日国防委
員長がドイツの医師を呼んで手術を受けた事実を確認しています。

 そして南朝鮮と日本の最高の医学専門家たちは金正日国防委員長の心臓手術以前と以後の写真を分
析して病気が深刻であるという診断を下しました。医師たちはまず金正日国防委員長の腹がぽっこり
とへこんで体重が急激に減り皮膚がたるんで手が腫れあがっていると指摘しました。

 髪の毛は突然大量に抜け視力も悪化しサングラスをかけていないと言います。結論として金正日国
防委員長の外的所見は彼が慢性の心不全を長い間患うことによって心臓の機能が急激に低下したため
だと言われます。

 金正日国防委員長が高血圧と糖尿病などを長い間患うことによって、合併症として全体的な健康が
大変悪化したのです。金日成主席も高血圧と心臓病、糖尿病を患いましたが金正日国防委員長もこの
三つの病気が進行して最近では顔に黒いシミが沢山できていました。

 手術以後の金正日国防委員長の写真を分析した南朝鮮の医師たちは同じ66歳の南朝鮮人より10年は
老けて見えると評価しました。元来慢性心不全は少しずつ悪化しますが、短くて10年から長くて20年
の間悪化していくといいます。

 そしてある瞬間、突然病気が進行し合併症が起きますが、金正日国防委員長はまさにそこに至って
いるというのです。5月にドイツの医師に受けた心臓手術で彼がある程度健康を回復したとしいいま
すが慢性心不全は回復の可能性が少ないと思われます。

 北朝鮮という国家のすべての能力と資金と人材が金正日国防委員長一人のために使われます。それ
にもかかわらず金正日国防委員長は視力が低下し、手が腫れ,老けて見えて30メートルも歩けない程
健康が最悪の状態になっているのです。

 結局66歳の金正日は83歳で死亡した父金日成よりはるかに早く死亡することは確実です。世の中に
永遠に生きられる人はなく数千億回「万寿無疆であれ」と言ったところで人の健康には限界があると
いうことを切実に感じるのです。

 金正日国防委員長とはどんな人でしょう。.中国の歴史で不老長寿の草を得ようと手段方法を選ば
なかった秦の始皇帝も羨むほど良い暮らしをした人が金正日国防委員長です。金日成主席の万寿無疆
研究所を作った人も金正日国防委員長であり、良いものなら世界のどこでも飛行機と人を送ってカネ
を惜しまず買いまくったのが金正日国防委員長です。

 また金正日国防委員長は自分の若さと健康を維持するため一分期に一度ずつ血を中央党5課から選
抜した娘たちのきれいな血に完全に取り替えたといいます。秦の始皇帝もできなかった身体の血を完
全に取り替える方法まで動員したましたが金正日国防委員長は30メーターも自由に歩くことができな
い重患者になり心臓手術まで受けたのです。

 世の中の良さそうな治療は皆受けたにもかかわらず深刻に悪化した金正日国防委員長が、金日成主
席のように長生きできないというのは確実です。これは北朝鮮で金正日時代が 急激に終わりつつあ
ることをみせ手暮れる決定的な事件に他なりません。

 実際、北朝鮮の高位幹部たちは金正日国防委員長の健康を念じて彼が突然死亡すればいかなる事態
が起きるかを心配しているという情報が南朝鮮まで伝えられました。なぜならば金正日国防委員長が
死亡すれば北朝鮮の政治と軍事を担当するすべての国家機関の使命が終わって有名無実化するためで
す。

 現在北朝鮮の朝鮮労働党は金正日の党であり、軍隊は人民の軍隊ではなく金正日の軍隊です。労働
党の使命は金正日に忠誠を尽くすことであって軍隊は人民のために外部の敵を追い払うのではなく人
民から金正日個人を守る私兵のような任務を遂行するのです。

 この現実のもとで突然金正日国防委員長が死ねば労働党と軍隊の使命が終わり、従って先軍政治も
終わるのはあまりにも当然です。そうなれば金正日に忠誠を尽くすことを最も重要だと考える労働党
の外郭団体である青年同盟や職盟、労勤盟、女盟などの使命も終わります。

 さらに人民と国家のためではなく金正日の唯一世襲独裁体制のために服務してきた国家保衛部、保
衛司令部、人民保安省の最も重要な任務も終わります。これまですべての国家機関と政治機関が金正
日一人のために働いてきたために彼が死ねばすべての機関が有名無実化して一大混乱状態がもたらさ
れることは明らかです。

 だからと言って金日成主席死亡のときのように後継者がすでに決まっていたものでもなく、また後
継者が決まったとしても北朝鮮の政治を安定させる能力がありません。現在金正日の3人の子どもの
中の一人が後継者になったとしても彼は人民大衆から後継者の正統性や政治的能力も認められていな
いからです。

 結局現在の北朝鮮の最高位級指導者の中の一人や党中央委員長と国防委員長最高位級幹部が集団指
導体制を形成する可能性が高いのです。しかしこのような場合でも金正日国防委員長が突然死亡すれ
ばそれ以後事態の混乱を避けるのは難しいでしょう。北朝鮮の最高位級幹部の中でどんな人が出てき
ても金正日の死亡以後はじける人民の恨みの籠もった怒りと復讐心をなだめることはできないからで
す。そうでなくても北朝鮮では"戦争が起きればアメリカ野郎を殺す前にまず殺す奴が別にいる"とい
った状態なのに金正日が死亡すればそれ以後の事態はどう流れるか分かりません。

 しかし、明らかなことは金正日が死ぬとしても人民と国家が滅びるのではないということです。北
朝鮮の歌に「金正日 あなたがいなければ祖国もない」というのがありますが、これほどの嘘もあり
ません。苦難の行軍の時期に300万を越える人が飢えて死に、凍えて死に、殴られて死に銃殺されま
したが、それでも世は流れ人は生きていきます。

 金正日一人がいなくても人民と北朝鮮は亡びず、かえって良くなることができます。個人は永遠で
なくても国家と民族は永遠です。ただ金正日国防委員長の死亡以後の混乱を早く正常化できなければ
人民大衆が大きな被害を受けるかも知れず、お互いに復讐しあえば血の雨を見ることになるかも知れ
ません。

 従って北朝鮮の幹部は金正日時代の終末とともに起きるであろうまさにこのような問題を念頭にお
いて備えなければなりません。ならば最もしなければならないことは何よりも人民を安定させ食糧難
と経済難を解決しなければならないことでしょう。

 「備えあれば憂いなし」という言葉があります。どんなことでも前もって準備をしておけば心配す
ることはないという意味です。金正日国防委員長の健康が深刻に悪化して国際社会にも広く知られた
今、北朝鮮の高位幹部は人民と国家のための備えをせねばならないでしょう。

北朝鮮の「備忘録」


 北朝鮮外務省が7月19日に「備忘録」なる文書を発表した。その全文はおって翻訳されたものがでるだろう。
 その中に、特定失踪者に関わる箇所がある。
 一つは、斉藤裕さん、松本京子さんの「ニセ写真」と、殺人事件の被害者として判明した石川千佳子さんについである。どちらについても、特定失踪者問題調査会の「失敗」を強調したものである。
 こうした事例を「備忘録」という形の公式文書に残すという意味は、それだけ北朝鮮側が、特定失踪者の問題を「気にしている」という証明である。
そして、こうした「失敗」を殊更にあげつらうのには、もう一つの意図が隠されている。
 それは、基本的には「拉致問題の封印」と「部分的解決」である。「拉致問題の封印」のために、家族会や救う会あるいは調査会の活動を「謀略」「でっち上げ」というイメージを創り上げていくことにある。「ウソも100篇言えば、本当になる」という戦術を実践しているわけである。そして、「部分的解決」とは寺越武志さんや金英男さんのように「気がついたら北朝鮮が人道的に保護してくれていた。首領様の懐で幸せに暮らしている」と本人を出して言わせることである。
 この度の6カ国協議の前に出てきた「金正日の拉致調査指令」「7月20日拉致被害者帰国」あるいは「矢倉富靖さんの生存情報」が流されてきた経過については、この文脈から理解することができよう。
 こうした情報は、表向きには「拉致問題の封印」とは逆の動きである。一見すれば、日本にとっての「利益」になるような情報である。しかし、北朝鮮側は、こうした撹乱情報を流し、それに乗ってくる日本側の動きを観察しようとしているのである。そして、「斉藤裕・松本京子ニセ写真事件」の再来による「拉致問題の封印」と、「寺越武志さん、金英男さんのような解決方式」を模索しようとしているのである。

本物の知識人 その2


 下記は、本日付のDaily NKの論説記事。
 川人博弁護士の著作についての述べられたもの。心ある「知識人」ならば、同感であろう。

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"正義ある平和の実現に向けて"

[日 知識人論争] 日本の言論界を騒然とさせた論争
依藤朝子
2007.7.26

日本で積極的な社会参加活動を展開している弁護士が、知識人の実名をあげて、北朝鮮問題に対して立場を明確にするよう促す本を出版し、話題になっている。
川人博弁護士が最近出版した『金正日と日本の知識人-アジアに正義ある平和を』(講談社現代新書)という著書で、在日出身の姜尚中東京大学教授が、北朝鮮政権に対して一貫して曖昧な態度をとっていると指摘した。
“いま心ある日朝民衆は、独裁者の人権蹂躙に終止符を打つために、危険を覚悟で闘っている。独裁者によって指名手配までされている知識人・NGOの人々もいる。この緊張感は、独裁者側の‘安全地帯’にいる姜氏には、理解できないのであろう。(中略)いま北朝鮮には、救いを求めている無数の民衆がいる。姜尚中よ、耳をすまして民衆の声を聞け。そして、過去の言動を謝罪し、日朝民衆とともに、独裁者と対峙せよ”
姜教授は在日韓国・朝鮮人の人権問題を積極的に提起してきた著名大学教授である。姜教授は最近出版した著書で、韓国政府の太陽政策を支持するという立場を明らかにしてもいる。
著者である川人博氏は、過労死や過労自殺、職業病を中心に弁護士活動を続けてきた人で、東京大学教養学部でもゼミの講師を務めている。また、‘北朝鮮による拉致・人権問題にとりくむ法律家の会’の幹事及び、‘特定失踪者問題調査会’の常務理事も務めている。

"家族を北に送った在日韓国・朝鮮人、金正日に利用される"

幼年時代から在日韓国人の子供たちに囲まれて育ったことが、北朝鮮問題にかかわりあうようになった原点ともいう著者は、在日韓国・朝鮮人の原子爆弾の被害者に対する証言の聞き取り調査に参加し、南京など中国の歴史記念館に学生たちを連れて行って、東アジアの戦争の歴史を教育するなど、社会問題に積極的に取り組んできた。また著者は弁護士になった頃、北朝鮮の工作活動協力者の刑事弁護人として、北朝鮮に親族が暮らす在日の苦悩を目の当たりにした。
著者は北朝鮮政権は、在日の家族を人質にしたようなものだと述べ、家族を北に送った在日の人々を利用して、工作に協力する体制まで日本に構築したと指摘する。川人弁護士は日本人の拉致被害者や在日、そして人権蹂躙に苦しむ北朝鮮の民衆に対し、暖かいまなざしを向けつつ、‘正義ある平和’の実現を訴えている。
川人弁護士は著書の前半で、姜教授との最近の、雑誌での論争の経緯について説明している。川人弁護士と姜教授は複数の雑誌の紙面で、激しい論争を展開した。
川人弁護士は姜教授に対して、“ 自らが在日であることを強調し、在日の代弁者であるかの如き発言をすることが多い。・・・だが、在日の利益を代弁するはずの彼が、戦後、在日の命と財産を奪い続けてきた北朝鮮金独裁体制に対しては、実に寛大である。・・・北朝鮮独裁体制による民衆の圧殺に対して姜尚中が厳しく批判し、闘ってきたことはない”と語る。
‘姜尚中的平和’に疑問を持つ著者は日本の雑誌『諸君!』(2007年4月号)に、‘姜尚中は金正日のサポーターか’という題で最初の論文を掲載した。これが話題になり、姜教授が『週刊朝日』(2007年3月30日号)で反論したため、その後同誌で論争が繰り広げられた。論文を掲載した理由について著者は、“2002年9月17日以降の姜尚中氏の言動に接して、私は、金正日独裁体制との闘いにとって、この人物を徹底して批判することが極めて重要になっていると判断するに至った”と説明している。

"姜尚中は金正日体制のサポーター"

著者は姜尚中氏の唱える平和とは、“金独裁体制を温存し、朝鮮民衆と日本国民の人権を侵害し、耐えがたい苦痛を強いる秩序である”と結論づけ、 姜尚中氏とは“金正日独裁体制のサポーターであり、‘独裁者の、独裁者による、独裁者のための’国家を温存するための詭弁家である”と語っている。
姜教授は論争の最中である5月に、『増補版日朝関係の克服-最後の冷戦地帯と六者協議』(集英社新書)を出版した。この本の最後で姜氏は“現実を批判するのは現実ではなく、理想だけが現実を批判しうるのである”、“ナショナリズムの実在よりは、東北アジアの虚妄に賭けたい”と述べている。
しかし、姜教授の言及は抽象的であり、正直理解し辛い。姜教授は北朝鮮と日本の関係を扱ったこの著書で、在日の北朝鮮帰国事業についてほんの少し触れているだけで、帰国した同胞と日本に残った家族の苦しみについて、また北朝鮮への‘帰還運動’に対する朝鮮総連の責任については積極的に語っていない。
川人弁護士は“姜氏は、具体的な人権に関する論争から逃避し、問題を抽象化することにより、自らの主張の破綻を糊塗している”と指摘し、日朝国交正常化の意味を説く姜尚中氏の‘詭弁の本質的問題は、国交回復を主張していることではなく、国交回復のために金独裁体制を刺激するな、人権問題を国際世論に訴えるな、と語り、人権蹂躙を放置することである”と語る。
川人氏は著書『金正日と日本の知識人』で、金正日独裁体制を批判することを避けたり、逆に賛美してきた和田春樹氏など、その他の知識人やジャーナリストの責任も追及している。
川人弁護士は “独裁者の長い圧制は、ときとして、人々の健全な人権感覚を麻痺させることがある”と述べ、“知識人とは、社会の構成員から付託を受けて、人類がこの地球上にかかえる様々な困難な課題に立ち向かう存在である。・・・北朝鮮の拉致・人権問題に関して知識人がなすべき第一の責務は、日本と朝鮮半島で何が発生しているのか、という事実を究明することである。・・・第二に、知識人は、実態の把握・分析を踏まえ、許すことのできない事態が発生している場合には、国内及び国際社会に対して、それがいかに人道に反し、内外の人権法、国際法に違反しているかを説明し、改善のための取り組みを提起すべきである”と主張している。
エピローグで川人氏は“独裁体制を支える経済援助をやめて、効果的な経済制裁を実施すること、また、北朝鮮からの民衆の大量脱出を可能とする条件を整えることが、いま現実的に考えられる方法論である”と提案している。私たちは対北経済協力がはらむ問題について再度熟考し、脱北者保護のためにあらゆる手段を講じなければならないだろう。
韓国でも歴史認識と対北政策をめぐって知識人の間で論争が盛んである。こうした議論は北朝鮮の金正日政権が存在する限り続くだろう。北朝鮮の金正日政権に対してどのような態度をとるのか、北朝鮮の住民の自由と幸せを実現するために役に立つことは何か、韓国の読者も真剣に考える時が来たようだ。

[依藤朝子:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会会員、デイリーNK客員記者]

July 25, 2007

米国の「本音」が見えてきた。日本はどうする?

 下記は、日経新聞の配信記事。
 昨年のブッシュ大統領と横田早紀江さんとの面会との時とは、180度異なる米国の対応である。当時の米国政府首脳は、核問題と人権問題を同等に扱うべきだとの認識を示していた。ところが、北朝鮮側の「軟化」に伴って、核開発の対処を優先するという姿勢に転じてしまった。さすがの米国も、北朝鮮の核実験による「目くらまし戦術」に引っかかったということだろうか。
北朝鮮は「軟化」したのでもなんでもなく、故意に強硬な姿勢を示して、相手の出方をみて、そして「軟化」する姿勢を示すことによって、もともとのスタートラインよりも「一歩前進」することを狙っているのである。実に巧みな交渉術である。二歩進んで、一歩下がる、というわけである。
もちろん、米国もそうした戦術を知りぬいた上でのことではあるが、もともと北朝鮮問題をさほど重視をしていない国柄である。「米国を射程とした核開発は困るが、飴を与えて、おとなしくしてくれるのならそれでよい」というのが本音であり、基本的な思考である。
北朝鮮側も、そうした米国の基本的な認識を知り抜いているからこそ、米国を相手取って恐喝まがいのことを発言するのである。
米国の姿勢の転換で最も困るのは、指摘するまでもなく日本である。米国の協力を仰ぎ、米国の力を背景として対北朝鮮への「圧力」を期待していたのであるから、すっかり足元をすくわれた形である。
 もともと、日本人拉致問題は北朝鮮の犯罪ではあるが、それを解決するための任務を負うのは、第一義的には日本である。いつまでも「米国頼り」というわけにはいくまい。日本が、戦略的思考と方法論を採用していかなくては、この難しい問題の解決は困難であることは指摘するまでもない。
 参議院選挙が終わった後の政局がどう流動化するか予想はできない。しかし、どの様な内閣になろうとも、拉致問題を含めた北朝鮮問題への対処については、自らの戦略的思考と行動を組み立てていくことを、内閣の最大課題としなくてはならないだろう。それは、日本の置かれている国際的な位置付けの問題、すなわち「米国頼り」というものからどのように脱却するのかという、大変重要な課題だからである。
また、もし、米国の力を借りて拉致問題の解決を図ろうとするのなら、拉致問題も含めて、北朝鮮の人権問題を包括した解決の訴えを、再度米国の人権団体と一緒になって訴えていくことが大切だろう。拉致問題の解決を他の何よりも優先していきたい日本の関係者の心情は理解するものの、国際的な世論、特に米国国民の世論を喚起させようとするならば、包括的な北朝鮮人権問題の解決を訴えていくことが必要であろう。米国で、拉致問題の解決だけを訴えると、リップサービスはあったとしても、本音の部分では「それは日本の問題なのだから、日本が解決するべきだ」という答えが返ってくるだけなのである。

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米国務次官補、核放棄が最優先・対北朝鮮政策

 【ワシントン=加藤秀央】北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の米首席代表であるヒル国務次官補は23日の記者会見で、米国の北朝鮮政策では人権問題などより「核放棄」を最優先とすると述べた。拉致問題を重視する日本政府との温度差が広がる可能性もある。
 次官補は国務省での会見で核を保有する北朝鮮とは国交正常化しないと断言したうえで「北朝鮮が約束を守れば、多くのことが可能になる」と述べた。核開発の全面放棄が正常化交渉の第一条件との考えを示唆した。
 さらに「米国は北朝鮮の人道などの問題で懸念を抱いているが、核問題を解決しない限りこれらの問題に取り組むことすらできない」と指摘。人権弾圧やマネーロンダリング(資金洗浄)などより核放棄を優先して迫る考えを示した。

日経新聞 2007.7.25
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「金正日委員長の健康のため平壌市が禁煙措置」英FT紙

 下記は、中央日報の配信。
 日本では「禁煙ファシズム」についての批判的言論が、ごく少数の愛煙家と、元愛煙家によって進められている。しかし、この配信記事の内容が本当ならば、文字通りの「禁煙ファシズム」である。独裁体制の北朝鮮ならではの現象ということだろう。
 独裁者が愛煙家で酒豪というのはよくある話だ。独裁者を短命にする方法としては、もっと煙草を吸い、毎晩コニャックを飲み続けて欲しいものなのだが。

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「金正日委員長の健康のため平壌市が禁煙措置」英FT紙

北朝鮮が、心臓の手術を受けた金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の健康を憂慮し、自宅や執務場所などで徹底した禁煙措置を施行中だと、英フィナンシャルタイムズ(FT)紙が24日報じた。
世界と北東アジア平和フォーラム代表の張誠珉(チャン・ソンミン)元議員は、中国外交官の話を引用し、「心臓手術の後、医師が金正日国防委員長に禁煙と禁酒を勧告し、これを受け金委員長の自宅と官邸および金委員長が出入りする場所がすべて禁煙区域に指定された」と語った。
金大中(キム・デジュン)政権当時、国政状況室長を務めた張誠珉元議員は「最高位職の幹部もこれを順守しなければならない。このため今では誰もが建物の外で喫煙している」と伝えた。
FT紙はこれに関連し、平壌市が世界の他の都市と同じく禁煙措置を取ったのは一般住民のためではなく、ただ金正日委員長の健康を考慮したものだと皮肉った。

中央日報 2007.7.25

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July 24, 2007

大学教授の「ニセ学位」の実態調査


 下記のように、文部科学省が大学教授の「ニセ学位」の調査を始めるという。この問題は、世界中に起こっている、深刻でなおかつ大学の中ではタブーにも近いものである。恐れ多くも大学の教授たるものが学位を金で買った、ということが明らかになれば、本人はもとより、大学、学生に与える影響は計り知れないだけに、アンタッチャブルにも近い問題だった。それだけに、文部科学省が調査に本腰を入れるということは、大きな問題を引き起こすに違いない。
学位、特に博士号を金で買う怪しげな「ディグリーミル」の存在は、半ば公然としたものだった。「噂」の類の話は私も聞いたことがある。ある著名な教授が自らの経験談として語ってもいる。その教授は、ある米国の大学に博士論文を郵送で提出し、所定の審査料を送付したところ、しばらくするとその大学から博士号を授与したという通知が来たという。「ホンマかいな」という話である。
できの悪い私は博士号の取得に、都合6年間かかった。合格もスレスレでセーフ、というものだった。修士課程から通算すると、8年で、筆記試験と口答試験を何度となく繰り返した。草稿も何十回と書き直しをした。今、振り返れば、その間の、研究をする楽しさや辛さ、絶望や期待といった色んな思いが蘇ってくる。一旦は、草稿を多摩川に捨ててしまおうかと思ったことさえある。それを救っていただいた指導教授の厳しい指導と温かさを肌で感じもした。博士号をまともに取得してきた者であれば、恐らくは同じ思いがあるはずだ。
 博士号という学位にどれだけの価値があるものかは、まだ私には理解できないでいる。ただ、自分としては、がんばってきた自分に対する賞状みたいな感じを持っている。しかし、学位を金で買おうとする教授にとっては、その「賞状」には予想以上に経済的、社会的価値があるものなのだろう。
学位などなくとも、研究実績や人格に秀でた教授もいくらでもいる。むしろ、学位に拘って、大学の教育現場でせっかくの人材を活かさなくなるのも問題として残るだろう。だが、やはり大学教授という社会的に地位の高い身分を得た者は、「ホンマかいな」という怪しい「賞状」に目がくらんではならないだろう。それは、本人というよりも、その教授の指導を受ける学生にとって、深刻な問題を引き起こすからである。そんな教授の下で指導を受けている学生の姿を想像すると、何だか寒々しいものを感じるのである。

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「ニセ学位」の実態調査(共同通信)
 研究や教育活動の実体が確認できず、実在さえはっきりしない海外の大学で取得した“学位”が、日本国内で大学教員の採用の際などに悪用されている実態を把握するため、文部科学省は23日までに、国公私立大を対象にした全国調査に乗り出した。こうした海外の大学は「ディグリーミル(学位工場)」などと呼ばれ、米国では取得した博士号などの学位を就職に悪用するケースが問題化している。
[共同通信社:2007年07月23日 08時45分]

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July 20, 2007

金桂冠北朝鮮外務次官の笑顔

 金桂冠北朝鮮外務次官の満面の笑みをどうぞご覧下さい。
 時事通信のインターネット版のトップです。
 この余裕の「笑み」が、今回の六カ国協議の全てを語っているものだと思います。
 もう、何もコメントする必要がないでしょう。

http://www.jiji.com/jc/p?id=20070720175612-5408228

 

"先軍思想が続く限り, 北は核放棄せず"

 下記は、本日付のDaily NKの配信。
 一読してもらえば、お分かりのように、現在の六カ国協議の「限界」を、端的に指摘されているものである。
 北朝鮮は、現在の金正日政権を維持しようとする限り、核開発をやめようとはしない。それしかもう生き残る方法がないからである。だから、いくらIAEAが表向きに明らかにされている各施設の査察や監視を続けたとしても、裏では着々と、次の一手を打ち続けるのである。その裏が「発見」されたら、またIAEAの査察官を国外退去させ、「核開発をして欲しくないなら、援助をよこせ」という具合である。
 ということなので、六カ国協議に参加している各国の代表団には誠に気の毒だが、北朝鮮の術中にまんまと嵌められ、「会議は踊るが、会議は進まず」の状態に持ち込まれているのである。やれやれ。

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"先軍思想が続く限り, 北は核放棄せず"
   米 パク・ハンシク教授 "核問題が解決するとは思わない"

Daily NK 2007.7.20

 先軍思想が存在する限り、北朝鮮は核兵器を放棄しないという分析が提議された。
アメリカの北朝鮮専門家である、パク・ハンシク、ジョージア大教授は、"北朝鮮が寧辺の5MW原子炉までは閉鎖する可能性があるが、外部から彼らが持てないもの(物質的支援)を得ようと考えているだけで、それ以上は不可能だろう"と主張した。
 パク教授は19日、統一研究院が'最近の北朝鮮の変化の動向'という主題で行った年間シンポジウムで、"核兵器を放棄しないというのが、先軍の立場"と語った。
 "北朝鮮は'我々の安保だけが担保されれば、核開発をしない'と主張するが、自主思想を基盤とする先軍思想によれば、安保を担保にするための方法自体が核保有"と説明した。
 パク教授は"南北関係や核問題など、すべての問題は、北朝鮮の先軍思想がどのように作用するかによる"と述べ、"今、核問題が解決されるようだと国が興奮しているが、私はそのように思わない"と主張した。
 更に、"あの人たち(北朝鮮)が要求するのは、朝鮮半島、すなわち韓半島の非核化"と述べ、"今回北朝鮮に行っても、北朝鮮の人たちに'韓国に核弾頭が数千個ある'という話を聞いた"と語った。北朝鮮が'朝鮮半島の非核化'という言葉尻をとらえて、北朝鮮の核問題の核心を濁ごそうとしているという指摘だ。

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六カ国協議が終わったが

 六カ国協議が終わった。拉致問題の「進展」については期待もしていなかったが(少々していたが)、やはり残念である。
 北朝鮮の核実験・核開発による「目くらませ戦術」に、見事に周辺大国が翻弄されているわけである。ある意味で北朝鮮とは、たいしたものである。米国、中国、ロシアという核保有国と、日本、韓国という経済大国を相手に、堂々とした立ち回り振りである。もちろん「呆れてものも言えない」ということであるが。
 国際社会において、「弱者の脅迫」がこうも効果的に成果をもたらす例はあまりない。ベネズエラのチャベス大統領がいくら吼えても、超大国は相手にもしないだろう。しかし、北朝鮮は、「吼えまくり」、「騙しまくり」、そして援助を「取りまくり」である。ここは、国際社会の辛抱強さを賞賛すべきなのだろうか、それとも北朝鮮の「しまくり戦術」を賞賛すべきなのだろうか。
 拉致問題に関しては、そろそろ、六カ国協議という場だけではない、新たな展開の場所も検討すべきときが来ているようである。北朝鮮は、日本とロシアを除いた四カ国での平和協議を提案している。それが日本へのプレッシャーとなり、日本がここで折れるのを期待しているのであろう。だとすれば、日本が六カ国や四カ国という枠に拘るのではなく、もっと北朝鮮が嫌がる枠組みの構築を検討すべきではないだろうか。
 例えば、拉致被害者を抱える国の連携である。もちろん、これまでも外務省や家族会などが連携の模索をしてきているが、関係国の動きは鈍い。その理由は、関係国政府が日本政府以上に「北朝鮮を刺激したくない」というものである。しかし、もし日本政府が本気で関係諸国との連携を模索するならば、やり様はいくらでも考えられる。家族会の努力だけに任せていいはずではないだろう。
 あるいは、モンゴルのように、北朝鮮とも友好関係があり、尚かつ日本との関係を強化したいとの趣旨から、日本と北朝鮮との交渉パイプを作るのに協力的な姿勢を示す国もある。
 これまでは、六カ国協議と国連という枠での対応が全面に押し出されてきたのであるが、それだけではなく、もっと多面的な国際的連携関係を模索していくべき時が来ているのではないだろうか。

July 19, 2007

北朝鮮も「選挙」の真っ最中

 下記は、昨日付のDaily NKの配信ニュース。
 北朝鮮の「選挙」の実態が良くわかって面白い。候補者といっても、もともと党に選ばれた人たちであり、選挙といっても「信任投票」なのだから、「選挙」とは決して呼べないシロモノではある。
 この記事でもあるように、北朝鮮の「選挙」とは、人民の統制具合をチェックするためのものである。まず、人民がどこに、誰がいるのかをチェックするのである。脱北や中国への出稼ぎなど、人民の「逃亡状態」を、選挙にかこつけてチェックするわけである。そして、人民の「革命思想」への確信度合いをチェックする。誠に「ご苦労様」という感じなのだが、人民にとっては深刻な「抑圧の手段」である。
人民は、首領様に永遠の忠誠を誓わされているのだから、そんなチェックなど必要のないことだろうに。こんなに「抑圧」しなければ、人民を統制できないのだろうか。ということは、逆に言えば、人民の中で面従腹背の密やかなる抵抗が広がっているということだろう。

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朝鮮の選挙 "全員賛成投票しよう"
反人民性が暴露されれば質的変化が始まる

北朝鮮の朝鮮中央テレビが、今月29日の地方人民会議の代議員選挙を控えて、‘全員賛成投票しよう’という宣伝スローガンの書かれたポスターが作られたと、14日報道した。
 北朝鮮の地方人民会議選挙は道(直轄市)、市・郡(区域)の人民会議の代議員を選ぶ。2003年8月の選挙では、全国であわせて2万6千650人の地方代議員が選ばれた。
29日の代議員選挙を控えて発表された選挙ポスターでは、‘全員賛成投票しよう’という露骨な賛成誘導キャンペーンを張っている。
 既に知られているように、北朝鮮の各単位のすべての選挙は、単一候補が出て賛否投票をする形で行われる。候補者の推薦も選挙区ごとに党委員会で、事前に候補者を選定し、各団体で推薦する。
 選挙の日が発表されたら、各人民班や社会団体、機関ごとに賛成投票を督励する行事や決意大会を開催する。投票督励のスローガンのみならず、‘人民主権の参加で、先軍政治を一層輝かそう’というような政治スローガンも登場する。
 2004年に韓国に入国した脱北者イ某氏は、“保衛部が住民に‘どの地域の何某が反対投票をして、家族全員が追放された。投票をしなければ、特別監視対象になる’というような噂を流して脅かす。あそこでは分からなかったが、ここに来たら、賛成投票を督励するためのデマの流布のような行為だったと思った”と語った。
 選挙当日、投票所に入場したら、住民登録を確認して、投票場に列をなして入る。投票に参加しなくても反革命分子に分類されるのは同じだ。
 候補者に対して賛成投票をする場合には、投票用紙を投票箱にそのまま入れて、反対の時だけ記票所に入って行って鉛筆でX表示をするようになっている。反対者が誰なのかすぐ分かるため、事実上、秘密の保障がない公開投票だ。
 反対投票をしたら保衛部に引かれて行き、ひどい尋問を受けて、反革命分子に分類されるため、誰一人反対する意欲すら出さない。私たちは‘選挙がどうしてこのように非民主的なのか’と興奮するかもしれないが、北朝鮮の住民にとっては、非常に当たり前なことである。
 結果として、北朝鮮の選挙は選挙と言うだけで、私たちとは概念も違う。北朝鮮では、選挙は代議員を選ぶ意味があるというよりは、住民の人口の把握と、政治性を試すための役割がより大きい。事実上、住民を掌握するための政治行事にすぎない。選挙が近付いているが、北朝鮮の国境や海上の取り締まりが一層厳しくなり、移動のために証明書を発給してもらうのも難しくなった。事実上、移動制限措置がとられている。
 北朝鮮では選挙が終われば、各選挙区では何の言及もない。朝鮮中央テレビでまとめて、99.9%投票参加、100%賛成といった、一方的な結果だけが発表される。
 ‘全員賛成投票しよう’という非民主的な選挙スローガンも、長続きはしないだろう。北朝鮮の住民が賛成投票を篤励するスローガンが、独裁と反人民的政治の出発点であるということを悟った瞬間、北朝鮮の質的変化が始まるだろう

http://www.dailynk.com/japanese/read.php?cataId=nk01700&num=907

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金桂冠北朝鮮外務次官の「参議院選挙を見てから」

米朝協議の中で金桂冠北朝鮮外務次官がヒル米国国務副長官補に対し、「日朝協議は参議院選挙の結果を見てから判断する」と述べたとのことだ。この北朝鮮側の日本への視線をどのように受け止めるべきだろうか。
一つには、北朝鮮側も日朝協議をしたい理由があることである。その理由は簡単である。日朝国交正常化交渉に伴う、経済支援を期待しているのである。それは、このブログでも何度も記しているように、日本側にもその利益を共有し、早いところ進めたいと思っている存在がたくさんいる。
拉致問題が全面解決して、日朝国交正常化をなし遂げた暁には、とことんまで日本の資本主義の「毒薬」を北朝鮮に飲ませて、北朝鮮の金正日独裁体制の転換を促進すればよい。ところが、北朝鮮側は、日本の「カネ」は欲しいが、「毒薬」まではノー・サンキューというところだろう。いつもの「いいとこ取り」を狙っているのである。
二つには、日朝国交正常化の前提である「拉致問題」について、北朝鮮側も何らかの「進展」を見せざるを得ないことを判っていることである。北朝鮮が出してくる「進展」とは、おそらく日本側が期待しているような「拉致被害者の全員の帰国」というものではないだろう。横田めぐみさんの「ニセ遺骨」の二番煎じのような情報や、あるいは「寺越方式」のように、「調査をしてみたら、海難事故で人道的に保護していた人が見つかった。その人は、首領様の懐で幸せに暮らしている。本人は、家族には会いたいが、日本には帰りたくないと言っている」といった情報かもしれない。この「寺越方式」は、横田めぐみさんの夫である、金英男さんの時も同じストーリーであり、北朝鮮の戦術の成功例である。おそらくは、こうした方式の「進展」を示してくるのではないだろうか。
三つには、日朝交渉を進めていくのは日朝という当事国の都合ではなく、米国と中国の都合によることが大きいということである。現在の、米国と中国は、北朝鮮問題ではほとんど利害を一致させている。つまり、「とにかく北朝鮮にはとりあえずおとなしくしてもらいたい。それには飴でも何でも与えておくしかない」「日本もあまり『拉致だ、拉致だ』と騒いでもらいたくない」ということである。横田早紀江さんのせっかくの訪米の成果が、米中の共通利害の前に雲散霧消しつつある。
北朝鮮にとっては、表向きの対峙国は米国というような図式を描いているが、実態は中国の出方が最も深刻である。米国や日本をダシにして、中国に対する牽制を行っているのである。その中国が、日本にも一定の配慮をしなければならないわけであるから、とりあえず北朝鮮に対して、日朝協議を進めていくように根回しをしているということである。
 四つには、北朝鮮側の出方は、日本の政治動向に敏感に反応するということである。北朝鮮の現在の関心事項は、安倍政権の行方であり、それを占うためにも参議院議員選挙の結果を重要視しているということである。関心があるのは、日本による経済制裁の行方もさることながら、拉致問題の「進展」というカードをいつの時期で出すのが最も効果的か、ということを算段しているのである。要は、先にも記したような「進展」の情報を、日本に高く売りつけるのにはいつが一番良いか、という資本主義の株取引のような感覚である。
 こうした見方からしていけば、「日本側の経済制裁が北朝鮮を追い詰めている」「日本の勝利は近い」というように眺めるだけでは、目指すところの拉致問題の全面解決に向けての戦略、戦術が組み立てられない可能性がある、ということである。したたかな、北朝鮮の謀略外交と、国際社会の複雑な利害関係の中で、どうすれば、日本が最も期待している拉致問題の全面解決という課題を解決できるのか、という最も基本的な戦略・戦術を作り出していかなくてはならないだろう。頼みの綱としていた米国は、前述のように「妥協」に限りなく近づいている。米国の「妥協」に則して、北朝鮮側からも、部分的な拉致問題の「進展」が示されるかもしれない。しかし、それはあくまでも「部分」であって、「全面的な解決」ではない。
 日本側も、経済制裁だけをカードにしているのではなく、あの手この手の正攻法を使っての戦術を繰り出して、北朝鮮を揺さぶっていかなくてはならない。「北朝鮮をあまり刺激したくない」という内閣府拉致問題対策本部の基本方針と認識が変わらない限り、拉致問題の「進展」は部分的なままで終わってしまうだろう。

July 17, 2007

北朝鮮からの「揺さぶり」 3


 北朝鮮からの硬軟あわせた様々な「揺さぶり」は、一見すれば、良い動きに見える。「核凍結」「IAEA査察団の受け入れ」「南北平和協議の提案」など、いわゆる平和攻勢に出ている印象を受けるからだ。
 だが、よくよく考えてみれば、いずれの北朝鮮の提案や行動は、目新しいものではなく、もともとのスタート・ラインに戻ったにすぎない。核廃絶や朝鮮半島の平和に前進したものではない。1992年1月の「核査察協定の調印」、1994年2月の「IAEA核査察の受け入れ」の時と、構造は全く同じである。異なるのは、当時は、北朝鮮としては「核開発をわが国は行なわない」と体外的に言明していたのに対して、今回は「わが国を核保有国と認めよ」という180度、姿勢が変わったことである。
 この戦略の転換と、硬軟併せ持つ戦術の展開に対して、関係当事国は、裏切られ続け、援助を吸い取られ、挙句は核開発を事実上容認するに至っているのである。寧辺の核施設の査察ぐらいで、今更何が「北朝鮮は誠実に約束を履行した」などとあつかましく言えるのだろうか。こうした動きを、表向きどおりに「良い動きに見える」という見方をするのは、余程の北朝鮮シンパか、おめでたい人か、何も考えない人か、あるいは相当な策士であろう。
 1994年6月に、北朝鮮はIAEAを脱退した。査察を受け入れて、わずか4ヵ月後に、IAEAを脱退し、査察官を国外退去させた。その後、核開発、ミサイル開発に陰ながらいそしんだのである。つまり、北朝鮮の得意とする戦法であり「表向きのショールーム」で、国際社会を目くらましをし、裏で着々と核開発を進めてきたのである。
 なぜ、北朝鮮がそこまで核開発に拘泥するのか。それは、核が「弱者の脅迫」をする際の最も効果的な武器であることを心得ているからである。強者である米国を向こうに回して対峙するには、それぐらいの武器を持たなくては、相手にしてくれないことを知っているからである。
 ただ、もうそんなに肩に力を入れて、拳を振り回して、核や軍事力で自国の地位を強めようというような19世紀、20世紀型の国家は時代遅れであり、時代錯誤であるのだが、それは彼らには通じない。それしか生きる道はないと、心底信じきっているのであろう。あるいは、信じるように強制されているのであろう。
 いずれにせよ、今日の北朝鮮の「揺さぶり」に対して、米国は「容認」の方向にあるのは間違いない。それで、日本だけが一人残される、ということだ。日本の外交官などは、「孤立」という事態を最も懸念するようだ。しかし、ここは日本の「孤立」を心配しすぎて、安易に北朝鮮に対して妥協をするべきではない。仮に、北朝鮮問題では「孤立」したとしても、他の問題で日本が世界中の中で「孤立」しているわけでもない。独りぼっちが怖いのは、日本だけではなく、北朝鮮とて同じなのだ。この心理戦に負けては、国際社会のゲームで「カネ」以外何もカードを持っていない日本は、最終戦でも「カネ」だけがっぽりと取られるだけ取られて「負け」になる。
 
 

July 16, 2007

ミッドウェー海戦の敗退と日本の人事


 このブログをお読みの方は、恐らくは『文藝春秋』8月号の、「昭和の海軍」をお読みになっておられることと思う。
 私は、海軍兵学校のあった江田島生まれで、病院は兵学校の中の診療所に通っていた。ご幼少の頃、江田島から呉へ行く時は、たまに自衛隊の船で便乗していたとのことだ(今はもちろん許されない)。子どもの頃の小・中学校も、公立でありながら海軍式の精神主義的なエリート教育が色濃く残っていた(今は、全く逆のサヨクの牙城となっている)。ということもあり、海軍びいきである。
 さて、この『文藝春秋』を読んで、改めて謎の一つが解けた。それが、「なぜ、ミッドウェー海戦で、日本が全面的な敗北を帰したのか」ということである。当時としては、まだ艦船の質量も、航空力も米軍と比較しても見劣りしなかった。だから、敗戦は作戦の失敗の結果だったと思っていた。
 ところが、それが秦郁彦氏の指摘によれば、六月のミッドウェー海戦の前に、平時にならって海軍の大幅な人事異動が五月にあったことが敗戦の一つの要因だとのことである。事情を全く理解していなかった人たちが、ミッドウェーの天下分け目の作戦に臨んだというわけである。これでは、負けるのも当たり前ということだ。
 この指摘を読んで、現在の内閣府拉致対策本部の人事が頭によぎったのである。確かに、拉致対策本部が発足した後も、何度か通常の人事異動が行なわれている。特定失踪者問題調査会の担当者の方も、この4年半年で3人目である。どなたも優秀かつ人格円満(事実、どなたも栄転されている!)である。旧海軍で言えば、佐官クラスである。
 ただ、ここで、ハタと感じることは、日本の総理大臣以下、閣僚も、官僚も、随分と早い周期で人事異動される。それは、地方自治体も同じである。総理大臣以下、末端の町役場に至るまで、日本の行政機構の人事は、定期的に、かつ大幅に移動されるのである。
 この人事異動の定期性と大量性は、日本の行政組織の特徴の一つでもある。この利点は、官僚にしてみれば、様々な部署を担うことで、総合的な認識を持つことができる、ということである。いわゆるオール・マイティ型の人材の育成には優れている。しかし、一方でその弊害もある。要するに「腰掛け」である。上から下まで「腰掛け」になってしまいがちになることである。極端な場合、社会保険庁の歴代長官のように、退職前の箔付けに「長官」という役職を順番に与えていくための、1年か2年の周期の定期的な人事になってしまっていた。これでは、責任を持って仕事に励むことがなくなってしまうのも無理はない。
 この『文藝春秋』の特集の最後は、戸高一成氏の「同一性の強い集団主義というのは日本人の長所でもあります。(中略)しかし、一歩間違うと、結局は組織そのものを滅亡させてしまう危険性があることを、日本人は肝に銘じるべきでしょう」という指摘である。
 北朝鮮からの様々な「揺さぶり」を前にして、日本側は、ミッドウェー海戦にも似た、天下分け目の戦いを挑まなくてはならないはずである。その際には、過去の教訓から、内閣府拉致対策本部で頻繁な人事異動をし、オール・クリアから再び始めて行くというような真似だけは繰り返して欲しくないものである。
 ただ、参議院選挙が終わったら、それこそ拉致対策本部長である総理大臣以下の「人事異動」が想定されている。せめて、拉致問題に一定の「進展」が見られるまでは、本部長である安倍総理に手腕を発揮してもらうぐらいのことを、国民としても考えて良いのではないだろうか。

July 14, 2007

たまには、日韓でも良い話がある

 読売新聞7月12日の夕刊のスポーツ欄で紹介された、アメフト選手の長谷川昌永選手の話である。 
 その記事によれば、長谷川選手は在日韓国人で、日本に帰化し、アメフトの日本代表選手としてワールドカップに出場するという。
 彼の弁によれば「より丁寧だとか、より我慢強くとかを意識するうちに『自分は日本人だ』と強く感じた」「日本代表として3連覇に貢献し、生まれ育った日本に恩返ししたい」ということだ。活躍を祈りたい。
 日本と韓国の間は、歴史的にも世界の他のどの国家間よりも繋がりが深い。その証拠が、日韓間の飛行機便の数の多さは世界でも有数であり、相互往来する日本人・韓国人の数が400万人にも及んでいることである。この数は、世界でもトップクラスである。
 あまりにも相互の繋がりが強いと、反目しあったり、歴史的な事件の後遺症に悩む事になる。些細なことでイザコザにもなる。いわば、兄弟げんかのようなものであろうか。ただ、兄弟は永遠のライバルでもあり、永遠に相互依存関係を保つものでもある。
 日韓の間の「不幸」は、互いの微妙な価値観の違いや、文化の違いに対して、その違いを除去しようとすることが「不幸」を無くすことだと勘違いしてきたことにある。その勘違いは、互いに権威主義的な政治・社会構造を歴史的な伝統として持っていたことに由来する。権威主義どうしは、相互に親近感を持つのではなく、反目しあう作用をもたらすものである。権威主義のもとでは、他者との些細な違いを容認できない。要するに、相互に「自分の方がエライ」「自分の方が兄だ」と考えてしまうからだ。そのため、日韓は、互いに些細な違いに苛立ち、反目を重ねながらも、相互に依存するような歴史を辿ってきたと言えよう。
 未だに権威主義的な政治・社会構造が残っている日韓両国とはいえ、次第にその姿は変容している。それは、経済、文化あるいはスポーツ交流といった政治的な領域ではないものから生まれてきた変化要因である。その変化要因とは、「互いに違いがあることを認め合う」という権威主義と正反対の、いわば「草の根」であろう。
 こうした「草の根」による相互の交じり合いが、「互いに互いを尊重しあう」という精神を醸成するのである。そして、その醸成された土に生えるのが、最初に紹介した長谷川選手のような存在だろう。
 日韓の間には、依然として多くの軋轢があるとはいえ、軋轢を「草の根」に照らされる太陽エネルギーのようなものに転換していくような知恵が必要だろう。日韓両国が、そうした相互に発展する大きなフレームワークを作り上げていけば、この極東アジアの将来は、きっと明るいものになるだろう。

July 13, 2007

北朝鮮の揺さぶり 2

 いよいよここまで来たか、という印象をぬぐえない。下記の共同通信によれば、米朝の軍事会談が北朝鮮から提案されたとのことである。
 米国側が応じるかどうかは不明だが、おそらくヒル国務次官補の最近の言動をみても、現在の状況からすれば応じる可能性がある。そうなれば、日本側の最大の懸案事項である「拉致問題」は、この枠組みの中で「部分的解決」と「拉致問題の幕引き」というシナリオが明白なものになってくるだろう。
 先日の「拉致再調査指令」が、米国側の求めたものに対する北朝鮮側の回答であり、その「調査」によって出されるものは、おそらくは拉致被害者の「部分的」なものであろう。
日本は、それで一定の「進展」と評価し、経済援助の実施と、日朝国交正常化交渉のスタートである。そして、「部分的」な拉致被害者の帰国によって残される多くの拉致被害者の問題は、「国交正常化の暁に解決」といった曖昧な結論、すなわち「幕引き」になってしまうだろう。
 このシナリオは、最悪に近い。もちろん、たとえ「部分的」であっても、拉致被害者の安否がわかり、帰国が実現することは歓迎する。しかし、多くの残される問題、すなわち特定失踪者の問題については、この「部分的」な解決によって、これから再び辛抱強く待ち続けなくてはならないからである。それは、特定失踪者のご家族にとっては、さらに耐え難い艱難辛苦を負うことになるのである。

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米朝の軍事会談を提案 北朝鮮、平和協議に先手

 【北京13日共同】北朝鮮の朝鮮人民軍板門店代表部は13日、「朝鮮半島の平和と安全保障問題を協議するため、国連代表も加わる米朝軍事会談を提案する」との談話を発表した。会談の時期や場所は「任意の場所でいつでも」として条件を付けなかった。朝鮮中央通信が伝えた。
 北朝鮮の非核化に向けた核施設稼働停止などの「初期段階措置」の履行が目前に迫り、朝鮮戦争休戦協定の平和協定への転換を含む平和体制協議が6カ国協議で検討される中、北朝鮮が実質的な交戦相手とする米国との軍事会談を通じ、平和体制協議で先手を打とうとしている可能性もある。
このため、18日から北京で始まる6カ国協議の首席代表会合で、新たな論点となることも予想される。
談話はまた「われわれは南朝鮮(韓国)からの米国の核兵器撤収と朝鮮半島の非核化を終始主張してきた」と指摘。韓国に対する米国の「核の傘」を念頭に「核保有国」として米国と核軍縮で駆け引きする構えのあることも示唆した。

北朝鮮からの揺さぶり


 18日からの六カ国協議の前に、北朝鮮側から様々な揺さぶりが日本に向けて行われている。北朝鮮の揺さぶりは、硬軟あいまって表向きは脈略が欠けているように見えるが、基本的には、日本が拉致問題の「一定の進展」を評価して、日朝正常化交渉とそれに伴う経済支援を進めていくことを期待していることは指摘するまでもない。
 日本側は、安倍政権の支持率の低下によって、そうした北朝鮮側からの揺さぶりに反応し、何でも良いから「目に見える成果」を挙げようと苦心している。そして、北朝鮮側と奇妙な利益を共有している日本側の政官財界が、その「揺さぶり」に便乗するような動きを見せている。それが、ロイター通信とDailyNKに出た内容(金正日による拉致再調査と7月20日の拉致被害者帰国情報)である。そしてまた、矢倉富康さんではないかと思われる写真の流出も、その流れの中にあるのではないかと推測できる。
 拉致問題に目立った動きがない中、少しでも動くことを期待している日本側の心理を、北朝鮮側も日本側もうまく利用している構造である。先日、ピョンヤンで開かれた日本批判の官製デモも、こうした北朝鮮側の硬軟分けた戦略の一つだと思われる。
こうした北朝鮮側の搦め手に対して、日本側の持っているカードは「カネ」だけという情けない状態は変わらない。だが、日本側は、安易に北朝鮮側の謀略的な「揺さぶり」に乗るのではなく、「揺さぶり」をさらに輪をかけた、正攻法の「揺さぶり」を北朝鮮側に実行して行かなくてはならない。そうでなければ、カード・ゲームは「負け」になる。その「負け」は、拉致問題の完全な「幕引き」を意味するのである。

July 12, 2007

「金正日が拉致調査指令」の続報


 本日の時事通信に、「拉致調査指令」の続報が掲載された。
 この記事にあるように、「拉致調査指令」のもともとの情報の出所は、北京のロイター通信だった。ロイター通信が、どこの、誰から情報を入手したのかは不明だが、おそらくは中国外交筋からではないかと推測している。
 中国と米国が、北朝鮮の核問題で急接近をしているのは、両者が「朝鮮半島の非核化」という最大の利益(しかも経済的依存関係という利益)を共有しているからに他ならない。両者にとって、それ以外の問題は、後回しである。後回しとは言っても、非核化の前提としての経済援助があり、そのキャッシュ・カードとしての日本を必要としている。したがって、日本が最も期待している「拉致問題」については、中国も米国も、ある程度の「進展」が図られるように手配をしているということである。
 日本政府は、今のところ「拉致調査指令」だけでは、「進展」として判断しないような姿勢を堅持しているが、これが、いつ、どのように変わっていくかは予断を許さない。麻生外務大臣のトーンは変わっていないようだが、外務官僚の議論はまた別のようだ。米国などの動きや、参議院選挙の結果、あるいは10月の経済制裁1周年を迎えつつある状況などから、寧辺の各施設の封印を受けて、六カ国協議での約束の残りの経済援助に、日本もつき合わされかねないだろう。
 経済援助にお付き合いするのは、いずれはやむを得ないことだろうが、現時点では麻生大臣に踏ん張ってもらいたい。「進展」とは「調査」だけではなく、何らかの具体的な成果のある行動という一線だけは、守り続けてもらいたい。そうでなければ、また騙されて、タダ取りされてお終いになりかねない。

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北の拉致再調査を期待=日朝作業部会など日程協議へ-米次官補
【ワシントン11日時事】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は11日、日本人記者団との会見で、北朝鮮の金正日労働党総書記が拉致問題の再調査を命じたとする一部報道について、「再調査なしには(拉致問題は)解決できない。必要なステップであり、われわれが求めている措置だ」と述べ、再調査開始に期待を表明した。
 次官補は18日から北京で開催見込みの6カ国協議の首席代表会合出席に合わせ、北朝鮮側に再調査をめぐる報道の真偽を確かめたいとの意向を示した。
 ロイター通信は先に、北朝鮮関係筋の話として、金総書記が拉致問題の「徹底調査」を指示したと伝えていた。
 一方、ヒル次官補は、首席代表会合の席上、日朝国交正常化や米朝国交正常化をはじめとする作業部会の次回開催日程について協議したいとの考えを明らかにした。日朝、米朝作業部会の開催時期については「タイミングを緊密に調整していく」として、ほぼ同時期に開く可能性を示唆した。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007071200111

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July 11, 2007

安明進の逮捕に思うこと

 安明進の麻薬容疑での逮捕の件については、先日のブログで触れたとおりの感想である。しかし、落ち着いて考えてみると、多くの問題を孕んでいるという印象を改めて感じてきた。
 その一つは、彼を守れなかった私たち(あえて複数)の責任である。彼と私とはこの10年間、色んな場所で会い、そして語ってきた。もちろん、彼の片言の日本語での会話だった。が、私は彼が懸命に日本語を上達しようとしていたのに、大いに感心をしていた。その彼の努力を見習おうと、私もハングルを学び始めたが、彼ほどには全く上達していない。根性が違っていたのだと思う。彼は、日本のことが好きだった。一緒に食事をしていても、「日本食が大好きだ」とも言っていた。「韓国では自由な行動はできないが、日本は自由に動き回れる」と笑顔で語っていた。
 そんな彼を、私たちは利用するだけ利用していたのではないだろうか。彼が韓国での仕事を辞めたのも、私たちが、この拉致問題の解決に彼を必要としていたことに対する、彼なりの誠意だったと思う。そんな彼に、日本での生活の基盤を提供することすら考えも及ばなかった。もちろん、彼が、冗談半分でもかなり真剣に、「日本で焼肉店でも始めようか」と言っていたことに対して、私は冗談半分に「元工作員の焼肉店には、誰も客が来ないよ」と軽く受け流すだけで、真剣に受け止めてあげなかった。つまり、利用するだけ利用しようとし、彼の生活だとか、これからの人生だとかを真剣に考えようとしなかったのだ。
 第二に、彼が日本を最終的に去るきっかけとなった、佐藤救う会会長の1000万円資金供与問題は、今後も尾をひいていくであろうということである。昨日も、元救う会幹部という人物の証言がニュースで流れたが、そうした証言が、今の時期に出てくると言う意味は、安明進への資金提供問題が、全面的に解決しているのではないことを示している。私自身、この問題について全く事実を知らないのだが、佐藤会長をはじめとする救う会幹部は、これを既に終わった問題とするのではなく、未解決の問題として、改めて誠実に解決をしていくべきなのではないだろうか。そうでなければ、益々拉致問題の解決への運動がおかしくなっていくばかりである。これは、心ある者ならば、誰もが望んでいることではないだろうか。
 第三に、この時期に安明進の問題が出てきたことへの疑問である。この問題を、おそらくは主要な関係者(政府、警察、救う会など)は、随分前から知っていたのではないだろうか。私の周りの人たちとの、随分前の会話を今更ながら反芻すると、その人たちは以前からこの事態がいつかくる事を想定していたような印象を持つに至っている。そうでなければ、当時のその人たちの、安明進への「冷ややかな態度」が理解できない。当時、私は「なぜこの人たちは、安明進に対してこんなに冷ややかなのだろう」と感じていたものの、その理由が理解できなかったのだ。今なら合点がいくのである。もし、そうだとすれば、その人たちが何とか安明進の凋落を防いであげることはできなかったのだろうか。
 今更ながら、悔やまれるだけである。
 だが、彼が辿ってきた幾つかの失敗や汚点をあげつらうのも結構だが、彼が果たした拉致問題における重要な役割りだけは、正当に評価しておくべきだと思う。


July 10, 2007

日本平和学会有志の「声明」


 下記は、朝鮮新報の記事。
 今ごろでも、こうした「声明」が出るのかと、ホトホト呆れるのだが、日本平和学会の有志という触れ込みなので、影響力もある程度あるかと思い、紹介することにした。
 日本平和学会の会員には、私も良く知っている学者が加わっている一方で、主体思想研究会や類似の活動に名前を出す学者もいる。中には、直接私に向って「拉致問題とは韓国国情院の陰謀だ」と断言した学者もいる。その学者が、その後、その言葉を撤回したとは聞いていない。
 学者の集団なので、学問的には何を研究しても、何を発表しても良いのだが、批判を甘んじて受けることだけは覚悟しておかなくてはならない。
 この声明だが、要は「拉致とは無関係の留学同の学生がかわいそうだ」ということなのだが、平和学会の有志として出す声明ならば、現時点で極東アジアで最も紛争を惹起している北朝鮮の核開発やニセ札製造、麻薬製造、強制収容所、脱北者問題あるいは拉致問題などの解決での、北朝鮮の不誠実な姿勢を糾弾する「声明」を出すべきものだろう。そして、北朝鮮に向って、「早いところ体制を自由で民主的なものに転換させ、一緒に東アジアを平和にしていきましょう」という「声明」を出すのが筋ではないのだろうか。
 そうでなければ、北朝鮮の「御用学会」というつまらない烙印を押されてしまうだろう。それは、平和を学術的に研究する「有志」以外の学者にとっては、不名誉なことではないのだろうか。
 また、当該の問題になった留学同の捜査は、渡辺秀子さん殺害、高敬美、剛さん拉致事件の容疑によるものだった。この殺害・拉致事件に当時の留学同のメンバーが加わっていたのは事実として明白なのだから、それを捜査することに何の躊躇がいるものだろうか。
 同学会の「有志」の人たちは、この渡辺親子に対する憐憫だとか、同情だとかといった人間として最も大切な感情は持ち合わせていないのだろうか。高姉は6歳、高弟は3歳だった。留学同の学生はよい大人だろう。よい大人に対しては「かわいそう」だが、母親と未来を奪われた幼い子どもに対しては、「かわいそう」という気持もないのだろうか。
 

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「犯罪集団」の刻印 「嫌疑はこじつけ」、日本平和学会有志ら 留学同強制捜索で抗議声明 [朝鮮新報 2007.7.9]

 警察当局が4月25日、留学同中央本部事務所を不当に強制捜索した問題で、平和について研究する日本の大学教授、研究者からなる日本平和学会(会長=内海愛子・元恵泉女学園大学教授)の有志ら48人が、不当な捜査に抗議し再発防止を求める声明を発表。2日付で安倍晋三首相と漆間巌・警察庁長官あてに送付した。以下、全文を紹介する。

在日本朝鮮留学生同盟への強制捜査に対する平和学会有志声明

 2007年4月25日、警視庁は1973年に発生した拉致疑惑事件に関する容疑で、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の傘下団体「在日本朝鮮留学生同盟」(留学同)への強制捜査を強行しました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への制裁措置に並行する一連の強制捜査の一環として行われた本件強制捜査は、高等教育機関に在籍し学ぶ、本会会員も含む在日朝鮮人学生らの研究、教育の権利を著しく侵害するものであり、私たち平和学研究者にとって、また高等教育の現場に身を置き学生たちの育成に従事する者にとって、看過することのできないものです。
 留学同は、日本の大学、大学院、短大、専門学校で学ぶ在日朝鮮人学生らが参加する団体であり、その活動主体は現役の学生たちです。一方、捜査対象となった事件が発生したのは実に34年も前のことです。たとえ容疑者が学生時代に留学同に所属していたとしても、そのことをもって、その当時に生まれてもいない若者たちがメンバーである学生団体そのものに「工作員の人材供給源」との嫌疑をかけ強制捜査するなど牽強付会の極みであり、在日朝鮮人学生を北朝鮮との外交交渉における「人質」として、彼ら彼女らに対する「犯罪集団」イメージを刻印することを目的とした暴挙であると言わざるをえません。
 留学同のメンバーは日本で生まれ育ち、日本の大学等で他の学生たちと机を並べ、未来への夢と希望をもって学ぶ、普通の若者たちです。自己の民族性とその具現としての国籍を大切にする以外は日本の学生となんら変わらない彼ら彼女らに、どうして朝鮮国家の行為の責を負わせることができるのでしょうか。
 本件強制捜査がメディアで大々的に報道され、「在日朝鮮人学生団体=拉致容疑団体」というイメージが広範に流布されたことで、何十年も前の拉致事件とは何ら関係のない在日朝鮮人学生らのキャンパス生活が、敵意と差別の視線に晒された重苦しく肩身の狭いものになることは、現下の社会情況から容易に想像できることです。それによって、どれだけ彼ら彼女らの心が傷つけられ、どれだけ恐怖心を与えるか、警察や政府は想像できないのでしょうか。これによって、在日朝鮮人学生が研究者として大成する芽を断たれる事態さえ生起しうることを、私たちは研究者、教育者として深刻に憂慮するものです。
 日本で生まれ育った在日朝鮮人の若者が民族や祖国を追求する原点は日本の植民地支配にあることを、日本人は無視してはならないはずです。拉致問題は、6カ国協議の「共同声明」(2005年9月19日)および「初期段階の措置」声明(2007年2月)がいみじくも指摘するように、「行動対行動の原則」に従い「不幸な過去を清算し懸案事項を解決すること」を並行して行い、日朝間の正常な国家間関係を醸成することによってこそ、真の解決を見出せるでしょう。在日朝鮮人への暴力的な迫害はその道に逆行し、拉致問題の最終的解決はもちろん、北東アジアの平和をも脅かすものであると私たちは強調します。
 以上の観点から、私たちは留学同への不当な強制捜査に抗議し、二度とこのような暴挙を繰り返すことのないよう、強く訴えるものです。

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藤田進さん(?)の目撃情報について

 先の日曜日のTBS「報道特集」での、「フジタスス?さんらしき人物を、北朝鮮での政治犯収容所にて目撃した」という件についての若干の報告である。
 この報道を私は見ていないのでどのように報道されたかは分からない。しかし、今回知りえた情報からすれば、新潟の藤田進さんと、埼玉の藤田進さんのお二人のうちどちらかである可能性は否定できないと思う。あるいは、第三の「フジタススム」さんがおられるかもしれないことも念頭に置いておくべきだろう。
 今回の目撃証言者による日本人については、直接彼が話をしたわけでもなく、顔を見たわけでもないので、残念ながら特定は困難なものである。しかし、他の事項に関する証言の詳細な内容からすれば、彼の証言の信憑性はかなり高いと思う。つまり、「その収容所に複数(4人から5人)の拉致された日本人が収容されていた」という事実である。この点については、日本政府も事実関係の調査に全力をあげてもらいたいものである。
 さて、新潟の藤田進さんの失踪も非常に奇異である。場所が新潟県青海町という北朝鮮の工作活動に使われたかもしれない海岸での失踪である。特に、故水上勉氏の著書である小説『砂の紋章』で、北朝鮮工作員の活動が記された場所であるから、余計に気になる失踪事件である。
 ご本人は、夕方近所で開かれた明治大学マンドリンクラブの演奏会に出かけたまま、演奏会場には現れず、後日、海岸に本人の物と思われる長靴が、キチンと揃えられて放置されていたというものである。気候は荒れており、長靴がキチンと置かれていたことは、何らかの偽装工作の痕だったと思われる。
 今回の目撃証言者によれば「その人物は痩せていた」ということであるから、体格の良い埼玉の藤田進さんとは異なり、痩せていた新潟の藤田進さんと一致する。しかし、それも政治犯収容所のことであるから、厳しい環境で体格も変わるものと思われるので、確信はもてない。
 いずれにせよ、最近では、坂本とし子さんの目撃情報のように、具体的に「どこそこの場所で目撃した」という情報が集まりつつある。時間は限られている。日本政府としても、短波ラジオ放送に巨額の資金を拠出できるのであるから、こうした情報収集と、そして具体的な救出活動に資金を拠出していくべきであろう。
 最後に、今回の情報をもたらしていただいた脱北者と、彼を保護したト・ヒユン氏、そして報道までこぎつけていただいたTBSの関係者の皆さんに謝意を表しておきたい。

最近の「拉致情報」と参議院選挙について


 参議院選挙を前にして、様々な「拉致情報」がもたらされている。その情報の信憑性についての検証はいずれ行なうとしても、情報の出処と参議院選挙との関係性を見ないといけないだろう。
 北朝鮮が、日本の世論の動向を詳細に調査していることは、つとに知られていることである。彼らの現在の関心の焦点が、安倍総理の進退にあることは間違いない。そして、次に誰が総理となるかである。
 いささか気の早い話ではあるが、彼らにとっての「命綱」である日本からの資金・物資の提供が、今後どのようになるのかを分析するのは当然のことだろう。
 さて、気になるのは、先日のブログでも記した「金正日の調査指令」や「7月20日帰国説」の情報である。そして、今回の矢倉富康さんの写真も、その一連の中から出てきている情報ではないかと感じられる。
 いずれの情報も、安倍政権に対しては「追い風」になるはずのものである。安倍政権による強硬策としての経済制裁や一連の総連関連事件の捜査が、有効でありこうした情報が出てくる背景にあることを証明するものである。
 だとすれば、金正日にとっては「逆風」になるはずのこうした情報を、誰が、なぜ、何の目的で出してくるのか、ということを検討しなくてはならないだろう。
 まだ、その情報の真贋について判断する明確な根拠はないのだが、米朝の間での一連の「合意」が影響しているのではないかと推測している。テロ支援国家の指定を解除してもらいたい北朝鮮と、北朝鮮にはおとなしくしていて欲しい米国との間の、奇妙なコラボレーションである。そして、それを裏で結び付けているのが、北朝鮮を扱いかねているが、何らかの成果をあげたい中国ということである。
 この奇妙なコラボレーションは、米朝中の中にだけにあるのではなく、他の関係国の間にも存在し、何よりも日本の中に存在するものである。つまり、早いところ北朝鮮は「拉致問題」に「一定の進展」を示し、そして日本側は経済制裁の解除をして、さらに両者による日朝国交正常化交渉再開の動機を作りたいのである。この古くて依然として続いている構造に基本的に変化はない。
 だが、この構造はあまり実態を伴わないものである。関係国間で奇妙なコラボレーションを描いている人たちによる「計画」あるいは「謀略」の類のものである。実態を伴わない理由は、もともと北朝鮮が謀略の使い手として長けており、切った張ったの賭博場の世界を生き抜いている国であるからである。
 その賭博場から出てきている様々な情報が、果たして本当かどうかという当てのない検証に労力を費やすよりも、ここは、日本の自由で民主的な国の「本当の強さ」というものを北朝鮮に見せ付けることが大切であろう。それには、国民の側が、「自分の年金は大丈夫か」と心配することは結構なのだが、ここは、こうした厳しい賭博場の世界を切り抜けていけるだけの碧眼と、政策の実行力のある政治家を選んでいくことが最も大切である。
 北朝鮮はそれを見ているのである。

しばらくお休みしていました

 中国に所用があり、しばらくこのブログもお休みでした。
 中国でブログを書けるかと思っていましたが、場所が田舎だったため、全くインターネットもなく、結局お休みにしました。また、引き続き、続けてまいります。

 お休みをしている間に、ショッキングなニュースが飛び込んできました。
 脱北工作員が麻薬取引で逮捕された、というニュースは帰国後すぐに情報が入りましたが、それが安明進だったとは大変なショックです。
 彼は、言うまでもなく、拉致の運動を当初から一緒に活動してきた仲間でした。一体何があったのでしょうか。
 彼が、様々な事情から日本を去った後、具体的な活動をどのようにしているるのかは、私は全く知りません。最後に別れた時には「北朝鮮の問題のために、これからも頑張っていく」と言っていただけに残念です。
 この上は、何とか立ち直ってもらい、再び一緒に北朝鮮問題に取組んでいってもらえればと思うのみです。

 さて、今回の短い旅で、中国の事情を垣間見ただけですが、「これでオリンピックは大丈夫か」と感じることばかりでした。人権問題ではなくです。
 今回4回ほど中国国際航空を使ったのですが、その4回とも「遅延」でした。4回の合計の「遅延時間」は、実に12時間でした。「遅延」そのものは、仕方ないのですが、その対処が誠にひどいものでした。「遅延」によって、予定していた乗り継ぎ便に乗り遅れたので、その対処を飛行機会社のスタッフに求めたのですが。「あっちへ行け」「こっちへ行け」で、最後に結局また最初の場所に行け、といわれたときにはさすがにキレました。昔の日本の役所の「タライ回し」です。今では、さすがに日本のお役所で「タライ回し」をそんなに経験することはないのですが。
 窓口は、あいかわらず中国文化の象徴である「われ先状態」で、おとなしい日本の中年男性は後回しになるだけ。
 「禁煙ファシズム」は、中国でも同様のようで、禁煙場所は増えていましたが、そんなことは一向にお構いなし。
愛煙家としては、少し歓迎もしますが、さすがにホテルと飛行場の連絡バスの中ぐらいはちゃんと禁煙してもらいたいものです。
 とまあ、言い始めたらきりがないのでは止めますが、オリンピックの開催国になろうとするのだったら、こうしたコンフリクト・リゾリューション(そんなに大袈裟なものではないでしょうが)には、徹底したシステム改革をしてもらいたいですし、最低限のエチケットやマナーを国民も身につけてもらいたいものです。
 もちろん、中国の人権問題を解決してもらうのが最も重要ですが。


 

July 06, 2007

茨城の失踪女性についての報告

 特定失踪者問題調査会のメール・ニュースにて、情報を求めた茨城県で7月2日に失踪した女性については、7月5日午後、千葉県内で無事であったことが警察とご家族によって確認されました。本人の状態は、長期間食事や水分を取っていなかったためか、多少衰弱していましたが、千葉県内の病院で治療の上、昨日夜、自宅に戻りました。
 失踪の原因などについては、本人の状態が良くなってから聴き取りされることになります。
 この間の、警察当局ならびにマスコミ各位のご協力に心より感謝申し上げます。

 私自身、本件の調査に一部関わったことで、多くのことを学びました。何といっても、失踪直後は、全く原因もわからず、実際、警察や友人知人に情報を求めるしか方法がないことを痛感したことです。それでもほとんど情報はなく、失踪の原因すらもつかめないままでした。今回、幸いなことに本人が無事保護されたことで、「迷宮入り」しなかったことが何よりでした。
 ただ、警察に情報開示を求めても、「捜査上の理由」から、ほとんど情報を提示されませんでした。それは、警察の「ルール」かもしれませんが、少しでも情報を知りたいご家族の心情を思えば、「そんなこと言っている場合ではないでしょう」という強い憤りを感じました。一刻も早い対処をするためには、警察は最低限の情報は開示し、家族や関係者にむしろ捜査の協力を求めるべきではないでしょうか。その方が、確実に早く失踪者の居所をつかめるのではないでしょうか。
 こうしたことの改善を、何度も警察や国会議員などに訴えてきましたが、今のところ変わりはありません。「失踪者の調査のために、何でもかんでも開示しろ」といっているわけではないのですが。「情報を開示して下さい」と言っただけで、「お上にたて突くのか、ケシカランやつだ」という印象をもたれているようです。
 失踪者の捜査・調査も初動体制をどのように組み立てられるかが大きなポイントだと思います。その失踪の理由がいかなるものであったとしても、万一のことを想定しておくべきでしょう。そうでなければ、再び「曽我ひとみさん事件」の二の舞をしてしまうでしょう。この「曽我ひとみさん事件」の反省から、私たちはどんなに些細な失踪事件でも、あらゆる可能性を想定して調査していかなくてはならないと思って活動をしています。
 いずれにせよ、今回の失踪が、無事に解決したことでホッとしています。

July 03, 2007

「7月20日に万景峰号で日本人拉致被害者が帰国」の報道について

 昨日のブログで示した、Daily NKによる「「7月20日に万景峰号で日本人拉致被害者が帰国」という記事についての、現在、判明している状況は次のようなものである。
 もともと、この情報の発信源は、日本の永田町周辺からであること。
 永田町周辺では、「万景峰号で日本人拉致被害者を帰国させる計画を検討してはどうか」という議論があること。
 Daily NKとしては、こうした日本の議論を紹介したものであったこと。
 以上のことから、今回の「万景峰号で日本人拉致被害者が帰国」という記事は、「帰国する」ということについて確かな情報が存在した上での報道とは異なるものであることが判明した。
 ただし、日本の永田町周辺で、参議院選挙前にしてこうした「計画」が検討されるなどの動きは、注視していくべきであろう。また、こうした「計画」は、永田町周辺の権力闘争だけの動きによるものではない可能性があることも留意しておくべきだろう。

July 02, 2007

金正日がもう北朝鮮政権を支援しないって!?

下記は、本日の朝鮮日報の記事。
 同紙に掲載された「金正日」氏は、日本に実在するれっきとした素晴らしい人物であり、朝鮮総連と朝銀の不正融資を暴いた人である。
 在日朝鮮人の皆さん。
 日本の「金正日」氏と一緒に、北朝鮮の独裁者「金正日」と戦ってもらいたい。


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金正日がもう北朝鮮政権を支援しないって!?

【ニューヨーク29日NEWSIS】 ブルームバーグ通信は29日、「金正日(キム・ジョンイル)はもう北朝鮮政権を支援しない」という、一見驚くべきニュースを配信した。これは同通信の高山秀子記者が、北朝鮮の指導者と同姓同名の男性を取材した記事だ。神戸市で靴工場を営むキム・ジョンイル社長(66)は最近、朝鮮籍から韓国籍へと国籍を切り替えた。「子供たちを飢え死にさせる政権をこれ以上支援できない」という理由からだ。
 同通信の記事は、北朝鮮と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の人々の関係に変化が生じたことを詳しく報じた異例の内容。
 「在日朝鮮人、国籍変更で金正日政権を圧迫」という見出しの記事で、同通信は「1997年以降、多くの在日朝鮮人が国籍変更の決定を下している」とした上で、在日朝鮮人が過去40年間にわたり北朝鮮に住む親類や知人に膨大な資金や品物を送り、1990年代初めには年間送金額が北朝鮮政府の年間予算より多い900億円に達したと報じた。
 日本政府の資料によると、在日韓国・朝鮮人の人口は1970年代に韓国系33万人、北朝鮮系27万人の計60万人だったが、現在は40万人に減り、北朝鮮系は5万人にも満たないという。
 これは、北朝鮮系の旧世代が歳月の流れで減少する一方、若い世代が自然に「日本化」しているためだ。若い世代は北朝鮮との連帯感が希薄化し、送金よりは自分のために金を使おうとするようになり、日本の景気低迷で北朝鮮に資金や物資を送る流れにもブレーキがかかっているという。
 このため、在日朝鮮人を管轄する朝鮮総連は財政困難にあえいでおり、先週には日本の地方裁判所から627億円の債務返済を命じられた。
 同通信はまた、北朝鮮が在日朝鮮人から現金、医療機器、衣類、その他必要な物資を調達するのも難しくなっていると報じた。物資の90%以上を運んでいた万景峰号の入港が昨年7月の北朝鮮によるミサイル発射で禁止されたことが理由だ。

NEWSIS/朝鮮日報JNS

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「拉致事件」へのルーマニア政府とタイ政府の対応

 NHKの報道で、ルーマニア政府がドイナさんの「拉致問題」に、当時対応していなかったというものがあった。以下は、電脳補完録からの再転載した記事である。
 一方、タイ政府の方は、タイ在住の海老原智治先生によれば、ようやく重い腰を上げつつあり、北朝鮮当局に対してアノーチャ・バンジャイさんの「拉致」について追求の姿勢を示しはじめたとのことである。
 ともに、もう30年前の事件ではあるが、だからといっていずれの政府も放置することなどできない問題である。
 特に、タイ政府にとっては、北朝鮮による「拉致問題」は、自国の安全保障の問題と密接にリンクする問題である。というのも、中国に潜伏している北朝鮮からの脱北者は、いずれもタイへの逃亡を目指しているからだ。こうした問題は、北朝鮮の体制が転換しない限り、タイ政府を悩まし続ける問題である。
 タイ政府の脱北者への処遇は、理想的なものではないにせよ、北朝鮮への強制送還をしないだけ、中国と比較して雲泥の差がある。ここは、我々NGOは、タイ政府に対しても、そして関係諸国に対しても、「拉致」の問題と「脱北者」の問題をリンクさせて、ともに根本的な解決を目指した国際社会の動きを図るように求めていくべきだろう。

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ルーマニア 拉致対応せず”  ドイナ・ブンベアさん拉致

曽我ひとみさん夫妻の証言によって、北朝鮮に拉致された疑いが明らかになったルーマニア人女性について、1990年代初めにピョンヤンのルーマニア大使館が、この女性の存在を確認して本国に報告したものの、政府は何も対応しなかったとルーマニアの新聞が伝えました。

ルーマニア人の女性、ドイナ・ブンベアさんは、1978年にイタリアで行方不明になり、おととし、曽我ひとみさん夫妻の証言がきっかけで、北朝鮮に拉致された疑いがあることがわかりました。ルーマニアの新聞「エベニメントゥル・ジレイ」が、かつてピョンヤンのルーマニア大使館で勤務していた元外交官の話として伝えたところによりますと、ブンベアさんとみられる女性が、1991年と92年に、ピョンヤンにある外国人向けの商店で3回目撃されました。また、この元外交官の同僚が女性に接触して話を聞いた際、女性は自分がブンベアさんだと確認したうえで、「秘密警察が監視する隔離された区域に住み、尾行されているため、大使館とは接触できないと話した」ということです。元外交官は、92年に本国の官房長官と内務省にこうした事実を報告しましたが、本国から調査の指示は受けなかったということです。ブンベアさんについて、ルーマニアの外務省は「調査は外務省の権限を越えている」という内容の文書を家族に送っており、家族は「拉致問題の解決にあまりにも後ろ向きだ」と批判しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/2007/07/02/k20070702000062.html

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“北, 日本の拉致被害者7月20日に送還”??

 下記のニュースは、6月30日付けのDaily NKが発信したもの。
 詳細については、本日2日現在全く不明である。さすがに、日本のメディアは報道していない。
 先日のロイター通信北京発の「金正日の拉致被害者調査指令」の報道といい、六カ国協議が予定されている前であり、なおかつ日本での参議院選挙前ということもあって、何者かが、何かしらの意図を持ってリークしているもののようである。
 この情報の真贋は、7月20日になれば判る。ただ、北京発、ソウル発で、こうした情報が流出する背景が気になるし、調べていく上で重要なポイントになるだろう。
 

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“北, 日本の拉致被害者7月20日に送還”

日本の消息筋 “万景峰に乗せて帰国…テロ支援国解除を狙う?”
Daily NK 梁貞兒記者
[2007-06-30 13:07 ]


来る7月20日に、日本人拉致被害者たちを乗せた北朝鮮の万景峰号が日本の港に入港すると、日本の情報消息筋が29日伝えた。
これは日朝間の最大の懸案である、拉致被害者問題を、北朝鮮が自ら解決するという意味であり注目される。同時に、日本人拉致被害者の問題が解決されれば、北朝鮮のテロ支援国解除の最大の障害が解消される。
消息筋は“拉致被害者が何人含まれているのかは正確に分からないが、北朝鮮が7月20日に万景峰号に彼らを乗せて日本の港に入港するという情報が、総理官邸周辺から流れている”と語った。
北朝鮮は2002年の小泉純一郎前総理の訪朝当時、1970年~80年代にかけて、13人の日本人を拉致したと認めた。北朝鮮はそのうち8人は死亡したと主張し、残りの5人を日本に返した。
北朝鮮が今回生存している拉致被害者を返す場合、これまでの主張をくり返し変更することになる。
万景峰号は去年の7月の北朝鮮のミサイル発射実験以後、日本への入港が禁止された日朝間の定期貨物・旅客船だ。
この消息筋は“北朝鮮は対北制裁の象徴だった万景峰号で拉致被害者を返すことで、日本の対北制裁を無力化させ、日朝間の国交正常化にも積極的に出るものと思われる”と伝えた。
更に、“北朝鮮はアメリカと関係正常化を行うとしても、アメリカからの現金の支援などは期待できない状況”と言い、“北朝鮮の経済の回生にお金を出すことができる国は結局、植民地の賠償金を出す日本しかないため、いつかは拉致問題を解決するしかないだろう”と語った。
またこの消息筋は、“万景峰号の入港は、日本の参院選挙(27日)を一週間後に控えた時点であり、日本の政界でも強い暴風がおこるだろう”と述べ、“就任以後、最悪の支持率を記録している安倍政権にとっては、機会になる可能性がある”と予測した。
だが、“2002年の小泉前総理の訪朝当時、北朝鮮が日本人の拉致を謝罪したにもかかわらず、国内の世論は極度に悪化した”と 言い、“今回も送還される拉致被害者が何人なのか、また横田めぐみさんの問題がどのように解決されるのかによって、日本国内の反応が変わる可能性もある”と指摘した。
結果として、今回万景峰の入港によって、北朝鮮と日本の指導部すべてに一定の実入りがあるということだ。
この消息筋は“金正日は小泉総理の訪朝当時、北朝鮮が拉致被害の事実を認めたにもかかわらず、日本から得たものがないという事実を憶えている”と述べ、“今回は安倍政権から、日朝国交正常化に関する、ある種の約束を受けた可能性も排除することができない”と推測した。
一方、ロイター通信は去る28日、“金正日が拉致問題に対する徹底的な再調査を指示した”と報道している。
日本の消息筋は“ロイター通信の報道後、クリストファー・ヒル米国務省次官補が、北朝鮮に代表部を置いている、あるヨーロッパ国家の外務省に電話をかけて、事実を確認したという情報も入手した”と述べ、“ヒル次官補が訪朝の席で、この問題に対する話を聞いたのかどうかは分からないが、拉致被害者問題を解決するための北朝鮮の動きが早くなっていることが分かる”と伝えた。

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July 01, 2007

「情報活動 立法府の無理解」のコラム


 「情報活動 立法府の無理解」と題した土屋大洋慶応大学准教授のコラムが、6月30日付読売新聞夕刊に掲載された。是非、お読みいただきたい。
 一部抜粋すると。

「インテリジェンス活動とは何かを議員たちが理解し、必要な秘密を守り、そしてインテリジェンス活動を厳しく監視しながら、テロを防止する体制を整える。これを実現しなければならない」

 この主張は、テロ問題や政策決定過程での情報の有効活用を真剣に考える有識者の間では、ほぼ「合意」されているところだろう。近年では、手嶋龍一元NHKワシントン支局長が、最も強く主張をしている点である。
 私も先月、戦略情報研究所の講演会で同趣旨のことを述べさせていただいた。まだNet Liveに、その時の模様が残っているので、ご関心のある方は是非見ていただきたい。
 特に、土屋准教授が指摘されている立法府の問題について、参議院選挙前でもあり、真剣に立候補予定者なり、各政党は考えてもらいたいものだ。
 こうした国家的政策については、衆議院議員よりも参議院議員がじっくりと考え、法制度化していくよう努力していくべきテーマだと思う。参議院は「衆議院のカーボンコピー」では、決してないし、そうあってはならない。
 私が尊敬した学者であり参議院議員であった故関嘉彦先生が、もしご存命であれば、同じようなことを主張され、そして、実現に向けて全精力を傾注されることだろうと思う。
 さて、特に土屋准教授のコラムで重要だと思われた点は下記の記述である。

「日本の議員たちは公開すべきことを秘密にし、秘密にすべきことを漏らしたり、意図的にリークしたりする。情報を政治ゲームに使おうとするからだ」

 私たちが拉致被害者情報の開示を政府官僚に求めた時に、この指摘と同趣旨のことを、、実際の深刻な懸念として、政府官僚が口にしていた。事実、拉致問題の情報が、一部の政治家から意図的にリークされたこともあった。リークの結果の良し悪しは別にしても、私は「これでは官僚の人もタマランだろうな。官僚が貝になるのも判る」と思ったものだ。
 ただし、私は「官僚は貝になれ」といっているのではない。むしろ逆で、「公開すべきことを、どんどん公開せよ」と申し上げている。その公開するかどうかの判断基準を設置するなり、政治決断なりを求められるのが、日本の議員の集まりである立法府なのである。立法府が、情報活動の責任と義務を果たさなければ、行政府の官僚の人も「タマラン」ことなのである。
 ところが、こうした情報活動に対して理解がある真摯な議員は、与野党ともに少数派である。こんな重要な問題を理解し、そして法制度化させようとするには相当の知恵とエネルギーが必要である。少数派の国会議員の方には、是非とも努力していただきたいものである。
 土屋准教授は続ける。

「選挙公約には入らないだろうが、もし公約してくれる議員がいれば私は投票する」

 私も投票する。

久間防衛相の「しようがない」発言

 下記の記事は、久間防衛相の「原爆投下はしようがない」発言に対する野党の反発に関する記事。
 
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2007/06/30-21:24 久間防衛相発言を一斉批判=野党、原爆投下容認に罷免要求も
共同通信

 久間章生防衛相が米国による広島、長崎への原子爆弾投下を「しょうがない」と発言したことに対し、民主、共産、社民、国民新の野党4党幹部は30日、「防衛相としてふさわしくない発言だ」(菅直人民主党代表代行)などと一斉に批判した。社民党の福島瑞穂党首は談話を発表し、安倍晋三首相に防衛相の罷免を要求した。
 野党側は7月5日までの今国会会期中に与野党が合意した衆院決算委員会を開き、首相や防衛相の見解をただす考え。参院選に向け、防衛相発言や首相の任命責任も追及し、攻勢を強める構えだ。
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 久間大臣の発言の要旨が7月1日付読売新聞に掲載されている。この要旨を読んでも、大臣は一体、何を意図して、何を言わんとしているのか良く判らない。私の講義で大学生がこんなレポートを提出したら、間違いなくDの採点がつく。
 同紙によれば、「しようがない」発言の他に「アメリカを恨むつもりもない。勝ち戦と分かっているときに原爆まで使う必要があったのかという思いはいまでもしている」ということだ。この後半部分がおそらく本人が最も言いたかったことだろう。しかし、むにゃむにゃした流れなので、その意図が伝わらず、「しようがない」発言だけがクローズ・アップしたということだろう。
 私は、この後半部分の「原爆を使う必要がなかった」という認識について、同感である。同感であるがゆえに、「しようがない」という諦めとか、達観とかともとれる言葉には同感できない。
 さて、野党の側は、この後半部分には触れず、「しようがない」発言で罷免要求とのことである。その趣旨は「原爆投下は許されざるべき人権蹂躙なのに、それを、しようがないとは何事だ」ということだろう。参議院選挙前だから、あらゆる手を使って、自分たちの利益の最大化を目指すということだろう。
 だが、もし、野党が本気で「しようがない」発言を追及するのなら、原爆を投下した当事者である米国に対して、はっきりと「謝罪決議」を米国の国会で行なうよう野党各党は求めるべきだろう。
 従軍慰安婦問題で、あれだけ日本の過去を糾弾した米国議会である。とすれば、米国議会は、自国が過去に行なった原爆投下という人類最大の人権蹂躙について、当然の如く日本に対して「謝罪」をするべきだろう。「過去の戦争の時代だったから、許される」というのが大方の米国人の感覚である。この辟易する論理矛盾なり、価値観の偏在性に基づいた米国特有の歴史観を、是非とも日本の野党が質してもらいたい。
 そうでなければ、野党各党の久間大臣を罷免しようとする目的が、選挙戦術に過ぎず、本気で「過去の精算」をするだけの意思は持っていない、ということの証明になるだろう。野党の側も「米国を相手にしても、しようがない」では済まないはずである。

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