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29 posts from September 2007

September 30, 2007

対北独自制裁、再延長へ

 ふむむ。本日付で、下記の時事通信の配信のように、北朝鮮への経済制裁の延長問題に、早くも町村官房長官がコメントするのは意外であった。もう少し政府は様子を見るのではないかと思っていたのだが。
 もちろん、拉致に何も具体的な進展がないなかで、このまま経済制裁が解除されて良いはずはない。だから、この政府の判断は良い。
 しかし、残念ながら、こうした政府の判断を早いうちに出したということは、北朝鮮側が「拉致の進展」について、何らの具体的な作業を進めていない、あるいは日本側に示していないことを証明している。少しは進展があることを期待をしていたし、期待しているのであるが。北朝鮮側としては、今の時点では、日本に対して何らかの具体的な動きをとる必要はないと踏んでいるのだろう。いずれにせよ、とりあえず南北首脳会談と党創建記念日待ちである。 

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2007/09/30-13:12 対北独自制裁、再延長へ=官房長官「拉致で進展なし」と言明-政府
 
政府は30日、10月13日で期限が切れる北朝鮮籍船舶の入港や輸入の禁止など日本独自の制裁措置について、さらに延長する方針を決めた。福田康夫首相は対北朝鮮政策で「対話」の必要性を打ち出しているが、日本が最重視する拉致問題で進展が見られないことから、制裁措置自体は当面続ける必要があると判断した。延長期間はこれまでの「半年間」を軸に調整するとみられる。
 町村信孝官房長官は30日午前、都内で記者団に対し「拉致問題に何ら進展がない中で、(制裁措置を)やめるとか緩和するという結論を出す情勢にはない」と言明。先にモンゴル・ウランバートルで開かれた日朝国交正常化作業部会についても「雰囲気は良かったものの、実質的な前進はゼロだ」と指摘した。

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真実を語ることの難しさ

 真実を求める者は孤独であり、時には政治的、社会的に弾劾を受けることを覚悟しなければならない。ワリの合わない者である。真実の探求を止め、風潮に流されている方が、御身の安全ためである。
 集団自決での日本軍の強制問題で盛り上がっている沖縄は、この御身の安全のために、その時の風潮に流され、真実を語ることを止め、ひたすら真実を求める者を糾弾し、弾劾している。沖縄で事実を語ろうとすることは命がけである。
 ミシェル・フーコーは「真実を語る者はパレーシアステースと呼ばれる。真実を語る者の語られる者との間には政治的権力関係が存在する。そして真実を語ろうとする者は、自分にとって危険なことを語るのであり、リスクを負うのである」と述べている。
 政治的権力関係の中で、危険なことを避け、リスクを負うことを拒否したところでは、パレーシアステースという「真実を語る者」が消滅していくのである。
 パレーシアステースが消滅する現在の最も卑近な例が、北朝鮮や中国といった全体主義、共産主義国家であろう。真実を語ろうとする者はすべからく強制収容所に収監される。フーコーやハンナ・アレントが指摘したように、強制収容所という政治的権力が最も先鋭的に表れるマシーンが機能する場所では、人々は危険なことを避け、リスクを負うことを拒否するのである。その結果として、ますます人々の心の真底まで全体主義が浸透していくのである。
 こうしたパレーシアステースが消滅する場所は、沖縄や北朝鮮・中国といった場所だけではない。世の中にはどこにでもある。フーコーの言う権力の網の目のように、主体間に権力関係が存在する場所では、必ず存在する。そして、その場所で真実を語ることを止めた時には、自身の物理的な生命の安全は保てたとしても、精神的にも政治的にも自由を失い、権力者へ従属する者、すなわちサバルタンに追いやられる。
 このように、真実を語ることは実に困難である。真実を最初に証明しようとする者は、ただ一人なのであり、その真実を明かされることを快く思わないアポロン的権力者は社会のどこにでも存在するのである。

September 28, 2007

金桂冠が何かおかしい

 下記は、日朝協議についての報道。
 金桂冠の動きが何かおかしい。先日の大洪水の時も北京から外交スケジュールをドタキャンして急遽北朝鮮に戻った。今回の六カ国協議では満面の笑み(まぁだいたいいつも笑っているような顔だが)だし、日本に対する発言もトーンダウンである。そして、この報道が誤りがなければ、かつてなく拉致問題の「進展(ほんの少しだが)」を示すものである。
 金桂冠の態度の軟化の背景には、もちろん米朝の接近と、中国やロシアなどからの重油支援の確保、韓国大統領の訪朝、日本から過去の清算(すなわちカネ)の言質をとるなど、外交的勝利の連続があるからだろう。
 それしても、「拉致問題などの懸案の解決のため努力することで一致」というのは、彼の単独の判断ではもちろん口が裂けてもいえない。こうした判断を示したのは、北朝鮮国内での何らかの変化があることの証明である。その判断の変化が、金正日自身の手によるものなのか、それとも金正日抜きの判断によるものなのかがポイントである。そのどちらとも考えられるのだが、冒頭に触れたような金桂冠のおかしな言動からすれば、金正日抜きの判断の可能性もある。それは、金正日の健康不安説とも密接にリンクする。
 金正日抜きの判断かどうかを証明するためには、『よど号犯』の日本への帰国がどうなるかが、一つの重要なポイントになる。あるよど号犯を支援する人によれば「金日成の命令によって『よど号犯』の取扱いは決められているので(すなわち日本へは帰国させないというもの)、金正日はその命令を変えられないでいる」とのことである。もし、金日成の命令を変えてよど号犯を日本に帰国させるとしたら、金正日抜きの判断によるものとなる。とすれば、金正日が判断できない状況におかれていることを物語るのである。そうなれば、金桂冠のおかしな言動もつじつまが合ってくる。真実はわからないが。
 来週の北朝鮮の動きが、様々な疑問や仮説を証明あるいは反証することになるだろう。
 
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2007/09/28-21:16 拉致など懸案解決に努力=日朝協議で一致

 【北京28日時事】6カ国協議の日本首席代表を務める外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は28日午後、宿泊先のホテルで記者団の質問に答え、北朝鮮の金桂冠外務次官と会談したことを明らかにした。その上で佐々江氏は「拉致問題、過去の清算など2国間の懸案の解決のため努力していこうということで一致した」と述べた。

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封印される拉致7:失踪者家族の沈黙 電話交換手の謎の失踪


 ある失踪者のご家族が私に言った言葉は「そっとしておいてください」だった。
 性格は穏やかで、スラリと背が高く、顔立ちもはっきりした美人の電話交換手がある日突然失踪した。関東の県庁所在地にある電電公社(当時)の電話交換手だった。
仕事も真面目にこなし、人間関係にも特別にトラブルもなかった女性であった。「そっとして欲しい」とは、私がそのご家族に電話で面会を申し込んだときの、ご家族による最初の言葉だった。
 仕事場からの帰りに、同僚と会社の前で会ったのが最後の目撃情報である。その同僚によれば彼女は「これから新潟に行く」と言っていたという。同僚は、なぜこんな時間に新潟に行くのか不思議に思ったが、温泉にも行くのかと思い、そのまま「気をつけて行ってらっしゃい」と挨拶をして家路についたのであった。それを最後に、彼女は姿を二度と現すことがなかった。
 当然職場でも大騒ぎになった。しかし、誰一人として、彼女が一体どこに行ったのか、それを知る人はいなかったのであった。
 実は、彼女の義理の兄が警察官だった。その警察官のツテで、内々に自殺、事故そして事件のあらゆる観点から大捜査が行われた。大捜査の結論が「彼女は北朝鮮に拉致されたかもしれない」ということであったという。その時期は、日本で拉致問題が大きな問題となるだいぶ以前の話である。
 その情報はもちろん家族のもとへと知らされた。ご家族は「もし北朝鮮に拉致されたとすれば、静かにしていないと本人の命が危ない」と判断したのであろう。当時とすれば、ご家族のそうした思いは当然かもしれない。しかし、その結果、彼女の失踪は封印されたままになったのであった。
 ことはそれだけでは終わらなかった。
 実は、彼女の別の親しい同僚が、彼女の失踪後同じように姿を忽然と消したのであった。K.Y.さんである。K.Y.さんは、夫が夜勤で留守の夜、子どもたちを夜10時頃に寝かせつけたあと、自宅から失踪した。翌朝四時ごろ、長女がトイレにおきて母親の寝室をのぞいたところ、母親の姿はなく、布団が膨らんだままになっていた。
 近所の人が、前夜10時ごろと早朝にK.Y.さんの自宅の前を通っていた。前夜と早朝には、不自然な様子で車が二台、K.Y.さんの家の横に止まっていたという。畑の真ん中にある家で、普段そんな場所と時間に車が止まっているはずがない。
 K.Y.さんと前述の女性とは仕事上も、勤務交代をやり繰りしあうほどの仲だった。家庭も円満で、小さな子どもを二人育てている最中の失踪である。自宅には、夫の誕生日のプレゼントの編み物が残されていた。自らの失踪ではあり得ないと、関係者が異口同音に語っている。
 K.Y.さんの失踪も大捜査が行われたが、結局のところ未解決のままに終わった。
私は、K.Y.さんの事件の解明のためには、前述の女性の失踪を解明することが大切だと思った。そのためには、その女性のご家族の協力が必要不可欠である。なによりも、その当該の女性の失踪の事実あるいは拉致の可能性についての解明につながると思ったのである。しかし、当事者であるご家族が「そっとしておいてください」と沈黙してしまうならば、私たちとしてもそれ以上は何も進めない。
 こうして、拉致の可能性がある失踪者の事件が封印されたのだ。

「そんなの関係ない」はずが

 「そんなの関係ない」で話題の小島よしおが、私と関係があることが判明。
 今週の週刊新潮で紹介された彼の実父が、25年前に私が民社党に入党届けを出した方だったのである。彼の実父と私の父が懇意にしていた関係もあり、どうせ届けるならと思って、彼の父親に連絡を取り、民社党本部を訪ねて入党届けを提出したということだった。それ以来、彼の父親には大変世話になり、私も今日に至っているというわけである。
 おまけに、私が彼の父親に入党届けを出したときに、同席したのが荒木和博現拓殖大学教授であり、特定失踪者問題調査会代表というわけである。なんとも「そんなの関係ない」ではすまされない因縁である。
 というのも、彼の父親は民社党青年隊事務局長を歴任し、私もその地方の支部役員から始めた。私が地方の支部の役員をしていたときに、荒木現教授が地方支部の事務局長をしていた。大きな政界編成の波にもまれて、民社党の青年組織も衣替えをしていき、民社党解党後に設立した「民社ゆーす」という青年組織の初代会長が私であり、事務局長が荒木現教授というわけである。
 その「民社ゆーす」で力を入れたのが、「拉致問題」ということだった。有楽町で最初に署名活動をした時に集まった者の多くは、「民社ゆーす」のメンバーだったのである。彼らも私と同様中年あるいは老年の域まで達しており、政治の現場とは距離を持っているのであるが、何かことがあれば、ワサワサと集まってくる頼りがいのあるメンバーである。
 そのワサワサと集まってくるメンバーの一人が、小島よしおの実父というわけである。
 
 

September 27, 2007

北朝鮮と中東諸国

 北朝鮮とシリアとの核開発での協力が表に出てきたため、米朝関係や六カ国協議での取り扱いが注目されている。もちろん、これまでにも北朝鮮と中東諸国との間での、核兵器・技術あるいは通常兵器の密貿易などが指摘されてきたことであるから、シリアが取り上げられることには特別なものとは感じない。有り得るだろう、というのが率直な感想である。
 昔、ある国際政治の研究者との間の会話で、中東諸国と北朝鮮との闇貿易の話になったことがあった。その研究者曰く「北朝鮮との武器などの闇貿易をしているのは、イランなどの退役軍人である。非常に危ない人たちによって取引が進められている。彼らとは接触できないし、しない方がよい」ということだった。
 以前、訪米した際に米国の国防省の係官と面会した時にも、彼の最大の関心事は、北朝鮮と中東諸国との間の貿易に、誰が、どのように関わっているのか、ということだった。
 また、例の安山館(鞍山館とも書かれる)にも中東諸国の関係者が客として出入りしていたとのことである。
 北朝鮮と中東諸国というのは、裏の世界では切っても切れない深い関係になっているのだろう。
 こうした状況からすれば、北朝鮮が中東諸国の女性を拉致していった理由が何かということが、おぼろげながら想像がついてくる。密貿易をしている裏には女性が必要になってくるのである。いわゆる「ハニー・トラップ」の一種であろう。
 レバノン女性の拉致のケースは、よく知られているように、日本人を名乗る東洋人が「自分は日本の日立の社員だが、日本で働かないか」といって相手を騙し、彼女たちが着いた先がピョンヤンだった、ということである。これは、タイ人ホステスのケースと全く同じである。タイ人ホステスは、騙されてピョンヤンに行って、安山館で働かされた。同じようなケースは、おそらくはヨルダンだとか香港などでもやられていたのであろう。
 スパイ行為と密貿易とハニートラップという組み合わせは、三流スバイ映画でもあるまいし、そんなにうまくいくはずはないだろう。悪事はいずれはバレるのである。
 シリアの問題を北朝鮮は、いつものように「でっち上げ」と否定し続けている。しかし、ここまで北朝鮮の悪事が世界中で暴露されてきているのだから、「でっち上げ」と言っているだけでは済まない。いっそのこと、中東諸国の隣人のクレタを見習って「私たちは嘘つきです。ですから、私たちが言っていることは嘘です」と言えば、その中身が本当かどうかだれも判らなくなる方法論を採用してはどうか。それでも、自分が嘘つきであることを認めることではあるのだが。
 

September 26, 2007

二瓶絵夢が逮捕

 下記は、時事通信の配信。
 びっくりするやらあきれるやら。
 拉致問題に関係したものならば、誰でも知っている二瓶絵夢が詐欺容疑で逮捕されたとのことである。
 私は直接話したことはないものの、拉致問題に関する何かの集会で一緒だった記憶がある。彼女には「救う会」も相当振り回された。当時は「美人ジャーナリスト」で通り、国会内でも活発な取材活動をしていたので、私も「へぇ、こんな人がいるのか」と思っていた程度だった。それが、「救う会」や「家族会」をかき回し、果ては北朝鮮の代理人のような動きもしていたのだから、「何のこっちゃ」だった。そして、挙句は「土地取引の詐欺容疑で逮捕」とは。彼女は、拉致問題の取材も同じような目的でやっていたのだろうか。とすれば、やれやれである。

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2007/09/26-16:57 土地取引で11億円詐取図る=内金と偽り、4人逮捕-委任状を偽造・東京地検
時事通信

 東京・表参道の土地取引をめぐり、地権者の委任状を偽造して内金名目で11億円をだまし取ろうとしたとして、東京地検特捜部は26日、詐欺未遂や有印私文書偽造などの疑いで、フリージャーナリスト二瓶絵夢容疑者(31)ら4人を逮捕、関係先を家宅捜索した。
 調べでは、二瓶容疑者らは昨年10月から11月にかけ、地権者からの委任状など5通を偽造し、東京・丸の内の投資ファンド社長に提示。売買を委託されているように装い、土地買い取り価格110億円の10%を内金として支払うよう要求した疑い。

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September 24, 2007

タイはなぜニューハーフが多いのか

 タイを訪れた人なら誰でも思う疑問である。学術的な研究が存在するのかどうかは判らないが、研究素材としては面白いテーマである。インターネットで検索しても、学術的なものはともかく、一般的な言説レベルでも関心の高さがわかる。
 実際、町を歩くとしばしばいわゆる「オカマさん」を見かける。歓楽街に行けば、堂々と「ニューハーフ・ショウ」があちらこちらに催され、外国人観光客を喜ばせると同時に、感嘆させるぐらい本気モードである。
 タイになぜニューハーフが多いのか、という疑問に対する諸説はいくつかあるようである。
1.性転換などの医療技術が進んでおり、それがタイ社会の性に関するオープンな風潮を押し上げている。
2.「マイペンライ(どうにかなるさ)」というタイの国民性の現れである。
3.離婚率が高く、母子家庭で育った男子が、母親への憧れの念を強く持っている。
4.タイ社会は一般的に男性の労働意欲が低く、女性は辛抱強く労働意欲が高いことが、男子の女性化への憧れを助長している。
 ざっと以上のようなものであるが、どれも当てはまるし、どれも決め手に欠けているように思う。要するに、こうした社会的風潮が複合的に交じり合った結果なのであろうが、それでは一般的な言説と変わらない。そこで、以下のように、とりあえず私も仮説を立てて検討してみたい。
 タイの一般的社会状況からの要因を考えると次のようなものである。
1.南国特有のおおらかな社会秩序から、性へのオープンな意識と行動が寛容されている。
2.伝統的に他民族への寛容な政策が、国内の性の意識にも寛容性を生んでいる。
 政治的要因からすれば、次のようなものか。
3.タイの政治は抑圧的なものが少なく、また法治というよりも人治的傾向が強く、法律的な規律が一般的に緩やかで寛容である。
 そして、文化的要因は宗教の影響が強いだろう。
4.小乗仏教の戒律の厳しさから寛容性を求めての逃避(男子は一生に一度は出家するし、出家すると妻帯しないという教えからの逃避?)。
 こうしたことから眺めると、「寛容性」がキィワードであると思われる。タイの町々を歩くと、「寛容性」を強く感じることが多い。言い換えれば「おおらかさ」あるいは「いいがげんさ」ということにもなる。
 道路一杯に店が広がっていても、誰も文句一つ言うわけではない。道路の大渋滞に誰も文句も言わない。町の中を象が堂々と歩いても問題ない。果ては、軍事クーデターが起こっても、対立しているのは権力者どうしであって、国民は至って「マイペンライ」である。
 もちろん順法精神がないわけでは決してない。列車を乗る時も、中国のようにわれ先には乗らない。ちゃんと列を作って並んでいる。分煙も厳しい。宗教心は特に厚い。
 不法入国者に対する取り締まりはもちろん厳しいものがある。決して「寛容」ではないのだが、中国のように暴力的な措置はとらない。多くの不法入国者(脱北者を含む)が護送されている状況を観察したが、ギスギスした感じを受けない。入国管理局の留置場の環境は劣悪ではあるが、どこか雰囲気は緊張感に欠けている。
 「寛容性」というものが、国民の「合意」として存在しているが故に、タイではニューハーフが社会的な地位を得られるに至っているものと思われる。
 ただし、「寛容性」には、当然のようにコストを伴うものである。社会的に深刻な出自的なものによる差別に対する対応も「マイペンライ」であるし、タイの社会問題である貧困、エイズや失踪者の多発にも「マイペンライ」になりかねない。ニューハーフに見せるようなタイの「寛容性」が、タイ自身の社会問題を隠蔽させかねないのである。
 いずれにせよ、タイでのニューハーフの多さは、社会的・政治的・文化的な「寛容性」の表れであるとする私の仮説を証明していく作業を今後ともしていきたいものである。それは、私が将来、日本の窮屈な生活を離れて、おおらかなタイに長期滞在を目論んでいる理由の一つである。

 

 

September 23, 2007

10月10日の朝鮮労働党記念日

 来月の10月10日が、朝鮮労働党の設立62周年になる。例年、海外の要人を招いての盛大なセレモニーが開催される重要な日である。
 さて、今年の記念日でのもっぱらの注目点は、金正日の後継者問題が、この記念日にあわせて発表されるかどうかである。「する」「しない」「わからない」という三つの立場があるが、私の方にもたらされている情報だと「する」ということのようである。しかし、ドタキャンが起こるのがいつもの北朝鮮政治であるから、どうなるかは「なってみなければわからない」というのが正解だろう。
 もし「する」としたら、後継者は誰かが最大の関心事。これも、「金正男はない」「金正男である」「わからない」という三つの説があるのだが、一応儒教的精神(利権に関わるところだけ発揮されるが)が強い北朝鮮のことだから、長男が後継者として選ばれるのが筋ではないだろうか。しかし、これも「なってみなければわからない」である。
 日本での北朝鮮ウッチャーが、こうした動きを血眼になって追っているのだから、近々、何らかのもっと具体的な情報がでるかもしれない。
 いずれにせよ、これから六カ国協議、南北首脳会談、労働党設立記念日など重要な行事が続く。こうした大きな行事や協議の中でも、「拉致問題」は北朝鮮にとって「喉に刺さった骨」である。彼らとしても早いところ取りたいはずである。取ったほうが、当然のように北朝鮮にとっても利益になる。
 この10月上旬までは、朝鮮半島から目を離せない。

しばらくお休みしていました

 しばらくお休みしていました。9月15日から22日まで、タイのバンコックに出張でした。タイでも毎日更新できるだろうとタカを喰っていたのですが、残念ながらインターネット環境が極めて悪い上に、調査に専念していたため(というようりも体力的問題)、更新をできませんでした。
 タイへの出張の目的は、17、18日に開催された「拉致・脱北問題に関する国際会議」に参加することでした。日本での報道は、この国際会議に参加したジェンキンスさんの「新証言」ばかりだったようです。もちろん、それ以外にも重要なものはあったのですが、日本のマスコミの関心が「新証言」に集中したのは仕方ないことでしょう。
 私にとって重要だったことは、米国国務省北朝鮮人権問題に関する次席特使のMr.WHITONが出席し、発言されたことです。米国の北朝鮮政策が大きく転換したのはご存知の通りですが、彼の発言は、「北朝鮮の人権問題は体制によってもたらされる。体制をどのように変えていくかが重要である。そのためには、北朝鮮人民に対する情報の提供が大切であり、ラジオ放送は極めて有効である」ということでした。米国の表向きの政策とは異なる文脈の報告(異なるというようりも、これまでの基本的戦術についての報告)を政府の高官が発言したということです。
 言うまでもなく、米国のみならず、外交政策というのには、表向きの動きとは異なる多重な人的要因によって総合的に組み立てられていくものです。その見方からすれば、「外交の一元化」だけを追い求め、そこにだけ外交のチャンネルを集約していくことは、むしろ危ない結果をもたらすと考えられるのです。表向きとは異なる、多くのチャンネルを持つほうが、総合力を発揮することができるということです。こうした見方の正当性を、Mr.WHITONが実証してくれたということが、私にとって大切なものでした。
 さて、国際会議のほかにも、北朝鮮に関する情報がバンコックに多く集まっているので、その情報を集める作業をしてまいりました。中味については残念ながら報告できませんが、北朝鮮問題の情報の流れの下流の一つがタイになっていることへの認識はとても大切だということは示しておきたいと思います。
 これまで、北朝鮮問題の情報源は、主に韓国でした。韓国・朝鮮問題の専門家やジャーナリストは韓国で調査や取材をしていくことが中心でした。しかし、拉致にしろ脱北問題にしろ、韓国だけに情報が集中するわけではなくなりました。拉致はご存知のように世界中で行なわれましたし、脱北者も世界中に広がっています。
 こうした状況になったので、北朝鮮問題の取材も調査も世界中で行なっていくことが大切になってきました。とすると、朝鮮問題の専門家だけではなく、タイならタイでの実態に詳しい専門家の協力が不可欠になってきます。タイではタイ滞在の海老原智治先生の献身的な努力や日本人ジャーナリストの努力によって、アノーチャさんを始めとする拉致問題の様々な実態が明らかになってきたのです。
 拉致問題も脱北問題も、様々な分野の専門家と様々な国や地域との連携がますます必要になっていることを、このタイの調査で改めて認識したという次第です。


September 15, 2007

安倍首相の辞任の背景

 もう既に次の総理・総裁が福田元官房長官に決定したような勢いである。それにつれて、安倍首相の辞任の背景について、週刊誌などが一斉に書き始めている。今更ながらの作業だが、それらの説を整理してみたい。
1.健康不安説
2.小沢代表による会談拒否説
3.スキャンダル説
4.米国からの絶縁説
 こうした説が色々と出回っている。これらの説は、いずれもある程度本当のことだろう。私としては特に4の米国との関係を注目し、新たに「北朝鮮説」というものを想定してみたいたい。というのも、米朝関係の「逆転」にともなって、日本の立場が非常に厳しい中にあるのは事実だからである。それに過去に前例があるからである。それは1994年4月の細川元総理の突然の辞任である。
 細川元総理の辞任も、非常に唐突だった。「元祖政権ぶん投げ辞任」であった。細川元首相の辞任の背景にも色々あったであろう。ところが、この辞任もその当時の米朝関係が影響していた、と見ることができる。
 細川元首相の時の米朝関係は最悪な時であり、北朝鮮の核開発やIAEA脱退問題に対して米国は武力攻撃も辞さない、という態度を見せており、「あわや第二次朝鮮戦争勃発か」というような極度に緊張していた時期であった。今とは逆の構造だった。細川元首相はその時、「もし第二次朝鮮戦争が勃発した際に、自分の連立内閣で対処できるのか」という判断に至り、辞任した、と言うわけである。
 翻って安倍首相も、逆の米朝関係の中で、「自分の内閣では北朝鮮への政策転換ができるのか」という判断に至り、「第二次政権ぶん投げ辞任」をしたというわけである。
 以上の「北朝鮮説」はもちろん、私の憶測にすぎない。ご本人が真相を語らない限り、全ては闇の中に消えるのだろう。
 ただし、米朝関係が日本の政権の動向を左右する大きな問題である事だけは確かであろう。それは、北朝鮮それ自身だけが問題なのではなく、北朝鮮をめぐっての国際的なパワーポリティクスのためである。北朝鮮を巡っての厳しいバワーポリティクスに、日本の宰相としてどのように応じていくのか、あるいは応じていかないのか、この判断を迫られた時、「ぶん投げ」せざるを得ないような状況が生まれてきたのではないだろうか。
 特に、安倍首相は拉致問題によって誕生した宰相である。したがって、御自身の力では拉致問題を解決できない国際的な状況に対して、ご本人が辞任を決断されたのではないか、と私は推測しているのである。この「御自身の力では解決できない国際的な状況」というものは、「自分が総理にいては拉致問題を解決できない」というものであり、あからさまにはできないものである。ゆえに、唐突だが、静かに、黙って辞任されたのではないか。
 というのが、この北朝鮮説の概要である。
 


September 14, 2007

米、北朝鮮へ「2500万ドル」重油支援の検討を確認

下記は、読売新聞の配信。
この米国の北朝鮮政策は、今後の拉致問題を含めた日朝関係に大きく影響するものと思われる。
米国と北朝鮮との間で、日本からの経済援助との見返りでの「拉致再調査」ということに、当事国である日本を尻目に「合意」している模様である。
安倍政権崩壊後、拉致問題の解決への道筋をどのように作っていくのか、新しい総理大臣の手腕が問われる。新しい内閣での、拉致問題の解決を抜きにしての、日朝国交正常化と経済支援という流れだけは御免こうむる。
拉致問題に取り組む関係者も正念場を迎える気配である。早く「安倍ショック」から立ち直り、運動の根本から再検討していくときだろう。

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読売新聞 2007.9.14.

米、北朝鮮へ「2500万ドル」重油支援の検討を確認

北朝鮮の核実験

 米国務省のマコーマック報道官は13日の記者会見で、米政府が北朝鮮に対して2500万ドル(約28億5000万円)相当の重油支援を検討していることを通知する文書を議会あてに送ったことを確認した。
 報道官は、文書は6か国協議の2月合意に基づき、北朝鮮が核放棄への措置を取った場合、米政府が対北支援を行う用意があることを示すものだと指摘した。一方、マコーマック報道官は、訪朝している米国、ロシア、中国の核専門家チームが13日に寧辺(ヨンビョン)の核燃料加工施設と使用済み核燃料再処理施設を視察し、現地調査を終えたことを明らかにした。(ワシントン支局)

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安倍首相の辞任の真相の噂話

もうご存知の方は多いと思うが、安倍首相の辞任劇の真相について、「三面記事」によれば、下記のように朝鮮日報だけが報道している。この報道の内容の真偽はわからないが、そうした「噂」があることだけは事実である。さすがに日本のメディアは報道していないが、様子見ということであろうか。それにしても、韓国系のメディアに日本政界の裏話がよく出てくる。

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朝鮮日報 2007.9.13 より抜粋

実際に、臨時国会開会を前に安倍氏本人に対するカネと私生活スキャンダルが表面化する動きがあった。ある週刊誌が安倍首相の相続税3億円脱税疑惑と、隠し子の問題を執拗(しつよう)に追跡し、今週末ごろには暴露するといううわさが流れていた。

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September 13, 2007

北海道警の名誉のために

 以前、このブログで北海道県警本部への『悪口』を紹介したが、北海道県警に勤める警察官の方の名誉のためにも、私が感心した事例を紹介しておかなくては公平性を欠くと思うので紹介したい。
 私は、調査の過程でアポもとらずいきなり警察署を訪れて、挨拶と情報提供をすることにしている。当然、アポ無しなので、迷惑でかつ失礼な話ではあるのだが、短い調査日程の合間を縫ってのことだから、とりあえず名詞でも置いておこう、というような趣旨で訪問している。
 大方の場合は、通り一遍の挨拶程度で失礼するのだが、北海道警察のある所轄署を訪問したときには、担当課長が出てこられ、都合一時間以上は話し込んだ記憶がある。実に熱心に私の話を聴いてくれたのだ。色んな警察官の方とも接触しているが、その課長さんはまた格別だった。お互いヘビースモーカーという絶滅品種に入る部類なので、廊下の片隅にある喫煙所で話し込んだ。
 調査会の活動は、地味なものだし、あまり表に出ない方が良い場合が多い。だからむしろ逆に、こうした私たちの話を熱心に聴いてくれる警察官と会ったときは、また格別にうれしいものなのである。
 その課長さんはもうどこかに転勤されているはずであるが、おそらく真面目に地味にコツコツと仕事をしているはずである。北海道警察にも、現場にはこうした警察官が大勢おられると信じている。またお会いしたときには、一献傾けながら(もちろん割り勘である)色々と話をしてみたいと思っている。

 

NANTAを観ていたうちに

韓国に私的な旅行で行き、NANTAを観劇していた間に、大変なことになっていました。安倍総理の辞任のニュースは成田空港で聞きました。政治は一寸先が闇ですが、改めて本当に『闇は深い』と感じたしだいです。

 さて、今回の辞任劇を私なりに解釈してみました。それは、理念型政治の失敗だということです。政治家を無理矢理二つのカテゴリーに分類すると、理念型と実務型に分かれます。安倍さんは言うまでもなく、理念型です。理念型の強さは、多くの大衆をひき付ける個人的魅力があります。しかし、弱さは、実務的な失敗の可能性をいつも孕んでいるということです。その典型的な例が、今回の年金問題や閣僚の資金問題として現れてきました。
 私は理念型の政治家の方が好きです。好き嫌いで政治を分析してはならないのですが、やはり好きです。ただし、理念型政治家が陥る落とし穴については、常に注意を向けなくてはならないと思っています。ゆえに、実務に優れた補佐が必要になるのです。その補佐する立場の人たちは、一般大衆向けには『悪役』に徹しなければなりません。理念型政治家の弱さを隠すのですから、そうした役回りの人が必要不可欠なのです。安倍首相の周りには、どちらかといえば理念型のアドバイザーが多かったのではないでしょうか。『戦後レジームの転換』という最も典型的な理念を前面に出した安倍首相ですから、それを支持し補佐する人たちも理念型だったのでしょう。そこに「落とし穴」があったような気がします。
 小泉前首相も理念型でした。同じ理念型の小泉前首相との決定的な違いは、実務を取り仕切る『悪役』がいたかいないかの違いではないでしょうか。武部幹事長や飯島秘書官のような人たちのことです。
 もちろん、小泉前首相のように、本人の仮装職員(?)問題が出たときの弁のように、「人生いろいろ」と言ってシラッとしているような図太さが総理という立場に立つ人は必要だったでしょう。しかし、安倍首相は、真面目一筋の対応だったように思います。その理念型で真面目な性格がかえって災いとなったと思います。
 いずれにせよ、安倍首相のやろうとしていたことについて、私としてはほとんど異論がありません。ただし、問題はその方法論です。その方法論を身につけた参謀としての『悪役』が必要だったのでしょう。 そうでなければ、拉致問題というような解決困難な問題も進まないのです。

September 10, 2007

封印される拉致8:訪朝した大物政治家たちの沈黙


 歴代の自民党あるいは旧社会党を中心とした野党に至るまで、多くの政治家が日朝国交正常化を進めるという趣旨で、訪朝を繰り返した。一例を挙げてみよう。

1971年11月、超党派国会議員の初訪朝
1974年9月、社会党成田知己委員長訪朝
1975年7月、自民党田村元衆議院議員ら訪朝
1977年5月、社会党飛鳥田一雄委員長訪朝
1984年9月、社会党石橋政嗣委員長訪朝
1985年5月、社会党田辺誠書記長訪朝
1987年9月、社会党土井孝子委員長訪朝
1988年9月、社会党山口鶴男書記長訪朝
1989年3月、社会党田辺誠元書記長訪朝
1990年9月、自民党金丸信幹事長と社会党田辺誠委員長らの訪朝
1995年3月、自社さ連立与党代表団訪朝、(渡辺美智雄団長)
1997年11月、自民党森喜朗総務会長訪朝
1999年12月、社会党村山富一委員長訪朝。

 これら以外にも、非公式な訪朝や地方議員らの訪朝を数えればきりがない程である。彼らの目的が何であったのかはつぶさに明らかにはなっていない。北朝鮮要人との会談の模様が伝えられることはあっても、裏舞台でどのような交渉があったのかは定かではない。北朝鮮との交渉にあたった政治家が、何を、誰と交渉したのか、明らかになることは少ない。
 自民党大物国会議員の地元関係者の噂では、議員は拉致問題の解決を目指して訪朝したが、かえって北朝鮮に篭絡されてしまったという。もちろん、当該の議員が、北朝鮮でどのような議論をしたのかも明らかにしていない。全ては闇の中に消えたのである。
 前述の訪朝団のメンバーだった国会議員でまだ存命中の議員がいる。彼らの口から、拉致問題についての言及は全くない。何を知っていたのか、何をしようとしていたのだろうか。拉致問題の全容解明には彼らの口から、真実を語ってもらうことが最も大切なのにもかかわらず、彼らが語ることはないのである。
 彼らが語ったのは、拉致問題の解決と逆である場合がなぜか多い。「北朝鮮に温かく迎えられた」と帰国後語ったのは、金丸信元自民党副総裁だった。1999年12月の村山富一元総理を団長とする訪朝団の時だ。「(拉致問題は)日本が勝手に言っているだけだ。証拠はあるの」と訪朝から帰国後に、マスコミに対してあからさまに発言した青木宏之元国会議員(当時、自由党)もいた。中山正暉衆議院議員に至っては、拉致議連の会長であり日朝議連の会長として訪朝したにもかかわらず、帰国後は態度を一変させ、「警察はけしからん。(拉致事件で証拠があるのは)辛ガンスだけではないか」という発言を繰り返し、家族会などの信頼を失い、結局拉致議連の会長を辞任したのだった。
 どうして、日本の政治家は訪朝後に態度が変わるのか。本人たちの弁がないので、想像するしかないが、おそらくは北朝鮮の領導芸術の術中に嵌ったのであろう。領導芸術とは、表向き、芸術的な感性を磨き、個人を高みに導いて行くことを言うが、実は洗脳である。脅しやすかし、あるいはマス・ゲームなどを駆使して、個人の感情を引きずり落としたり高揚させたりすることを繰り返して洗脳していくことである。
 事実、前述の金丸信元自民党副総裁はマス・ゲームに、「尊敬する金丸信先生、万歳!」と映し出されるのを見て、涙を流して感激したと伝えられている。それは、かの米国のマデレーン・オルブライト国務長官(当時)が2000年訪朝した際にも同じことが行われた。その結果、彼らは北朝鮮に対する融和策へと変わっていくのである。北朝鮮の領導芸術の素晴らしさが遺憾なく発揮され、絶大な政治的効果があることを証明する恰好の事例である。
 北朝鮮に訪問して、北朝鮮に対する対応が変わる例は、極端に分かれるようである。大雑把に分けて、融和策から強硬策へと転換する場合とその逆である。前者は、北朝鮮の実態を知り、この国の体制はおかしいと感じて、その体制との闘いをはじめるグループである。関西大学の李英和教授、ドイツ人医師のノルベルト・フォラツェン氏などがその良い例である。後者が、前述の政治家たちであろう。日本の政治家たちで、李英和教授や、フォラツェン氏と同じように強硬策へと変わった例をあまり知らない。安倍現総理が官房副長官の際に、小泉首相(当時)と訪朝し、その後の北朝鮮に対する姿勢が明確になったのであるから、安倍総理か唯一の例外であろうか。
 冒頭であげている訪朝した日本の政治家たちは、一体何が北朝鮮であったのかを明らかにすべきなのに、未だに尚貝になったままである。もちろん金丸信元自民党副総裁は逝去されたのだが、北朝鮮の問題を「墓場」まで持っていってしまったのだった。

September 09, 2007

米朝平和条約構想、中国主席に伝達=06年4月にブッシュ大統領

下記は、時事通信の配信。
この内容が正しいとすれば、私たちが昨年米国に行って北朝鮮の人権問題を訴えていた頃には、既にこの構想が始まっていたことになる。
「知らぬが仏」とはまさにこのことを言うのだろう。ブッシュ大統領のリップサービスに、当時素直に喜んだ自分が情けない。ただ、私はその時にも「ブッシュ大統領の裏のメッセージを読むべき」というようなことを言っていたことを、このプログにも書いた。それは、横田早紀江さんとの面会の時に、めぐみちゃんの写真の横に、ハンミちゃん一家の写真を置いていたことだった。米国のその意図について、事情に明るいある在米日本人は「この写真の意味は大きい。日本側は単純に大統領と横田さんの面会を喜んでいるが、それは米国の意図を見誤る」といっていた。ここまで来て、ようやく当時の米国の意図を理解することになったという次第である。全く私の無能を恥じ入るばかりである。
恥じてばかりもいられないわけで、拉致問題の解決に向けて、どのように運動を組み立て直していくかが重要である。国際環境が昨年とは180度異なっているわけである。これまでと同じような方針と運動の方法論で良いのか、真剣に再検討すべきだろう。
それは、こうした米朝の動きを知っていたはずの日本政府の対応が問われるからだ。
今年初めのジュネーブ合意以降の対北朝鮮外交について、日本の外務省高官が表明した「外交的成果」に対して、「救う会」「家族会」は「全面的な支持と賛美」を送ってきた。今からその姿を眺めれば、実に哀しい。「救う会」「家族会」が求めていた北朝鮮に対する国際的圧力とは、180度異なった状況がその時点には次第に創られていたにもかかわらず、それとは正反対の『成果』を説明して、「救う会」「家族会」を喜ばせていたことになるのである。まさに「知らぬが仏」である。
21世紀になっても、国民に対して「知らぬが仏」という古典的愚民化政策を、日本政府は取り続けていくつもりなのだろうか。それが問題解決への道なのだろうか。古典的愚民化政策は、結局のところその政策を実施した権力の側に負荷がかかることを歴史は示しているのだが。実際、今日「拉致問題」がこれほどまでにも日本政府に負荷がかかっている理由は、戦後数十年にもわたる北朝鮮問題の「愚民化政策」による結果なのである。

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2007/09/07-14:24 米朝平和条約構想、中国主席に伝達=06年4月にブッシュ大統領

 【ワシントン7日時事】2006年4月に中国の胡錦濤国家主席が訪米した際、ブッシュ大統領が米国と北朝鮮の平和条約締結構想を胡主席に伝えていたことが、7日までに分かった。米ワシントン・ポスト紙の外交専門記者グレン・ケスラー氏がライス米国務長官の外交政策について書いた新著「コンフィダント(腹心)」の中で複数の米当局者の話を基に明らかにした。

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September 07, 2007

「拉致問題に関係なく解除へ」=北のテロ支援国指定で元米特使

下記は、時事通信の配信。
米国による北朝鮮の「テロ支援国」指定解除は、どんどん進んでいるようである。
『拉致はテロだ』という認識を、日米で共有していたのは『幻』に終わりそうである。
米国のアジア戦略をもう一度分析し、日本の立ち位置を厳しくみていかなくては、「拉致問題」も、この大きなフレームワークの中で霞んでいくかもしれない。

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2007/09/07-14:29 「拉致問題に関係なく解除へ」=北のテロ支援国指定で元米特使

 【ワシントン7日時事】米ブッシュ政権1期目に朝鮮半島和平担当特使を務めたプリチャード氏は6日、北朝鮮が核計画の申告や核施設の無能力化を年内に履行すれば、ブッシュ政権は拉致問題での進展の有無に関係なく、テロ支援国指定を解除するだろうとの見通しを示した。ワシントン市内で時事通信に語った。

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「よど号犯人」との協議の場

下記は、時事通信の配信。
「よど号犯人」の帰国問題について、一点注目したいところは、北朝鮮側が「日本政府と実行犯との協議の場」の設定を認めたことだ。この点は、既に日朝間で「合意」があったようであり、改めて今回「確認」をしたことになるのだろう。既に、日本の「よど号支援グループ」は、よど号犯人の帰国に備えているようである。
日本の政府関係者が、「よど号」を材料にして北朝鮮を訪問し、その際に「拉致被害者」についての協議あるいは「再調査」もしてくることになるのだろうか。10月10日が当面の拉致問題の「進展」の目安となりそうである。

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2007/09/06-22:57 協議の場提供の用意=北副局長が表明-よど号犯

 【ウランバートル6日時事】北朝鮮の金哲虎外務省副局長は6日、日朝国交正常化作業部会の協議終了後の記者会見で、「よど号」実行犯の扱いについて「日本政府とよど号関係者で協議する問題だ。両者が会う場所を提供する用意がある」と述べ、日本政府と実行犯との協議の場を設ける考えを明らかにした。
 よど号の問題は同日の協議でも議題となり、日本側は実行犯やその妻の引き渡しを改めて求めたが、北朝鮮側は応じなかった。協議後、日本代表の美根慶樹日朝国交正常化交渉担当大使は記者団に「(日朝間の)論点の一つではあるが、北朝鮮は従来の主張を繰り返した」と語った。

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September 06, 2007

北朝鮮の「スパイ逮捕」の報道

北朝鮮が異例の発表をしたのはご存知の通りである。
中身の検証はまだだが、現在のところ、日本に関係する人物が逮捕されてはいない模様である。
また、「逮捕した」という情報そのものの内容の信憑性についてもまだなんとも言えない。

中身はともかく、この異例の「記者会見」が行われた理由や意味は何かと、という点に関心が集まっている。
私の浅薄な知識から考えると、北朝鮮国内でのパワー・バランスが崩れつつあることの表れではないかと思う。
米朝関係の「好転」は、北朝鮮国内の権力闘争に大きく影響を与えているはずである。
したがって、あの「記者会見」を許可というよりも、やらせた人物の意図は、そうした権力構造のバランスが崩壊することによって、利益を得る立場のものであろう。なぜなら、パワー・バランスが崩壊することによって利益を得る立場からすれば、今までとは異なるやり方を示していくはずだからである。もちろん、推測の域を出ないが。

アレクサンダー・バーシバウ在韓米大使の発言

下記は、おなじみのDaily NKの配信。
在韓米国大使へのインタビューの記事である。
その中で、気になったのが、やはり米国のテロ支援国の解除の問題についてのコメントである。
このコメントを読んでも、雰囲気として、米国が解除に向けて進んでいることは確かだろう。
一方で、米国は中国に対しても「パートナー」という表現を使って、北朝鮮における覇権について、中国と合意があることを示している。つまり、今年のジュネーブ協議の中で、米・中・韓そして北朝鮮の間で、「合意」がなされており、日本はそのATMの役割を負わされるということだ。そして、ATMの日本には「拉致」という問題を抱えているのであるから、米・中が北朝鮮に対して、「何らかの進展を示せ」という圧力をかけた、という構造だろう。

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Daily NK 2007.9.6.

<質問>
- 北朝鮮が3日に、アメリカがテロ支援国解除の合意をしたと主張したが、不能化措置をとれば、年末までにテロ支援国の指定を解除する可能性があるか?

<回答>
はい、いいえと答えることはできない。交渉で様々なことが相変らず議論されている。ヒル次官補がテロ支援国の指定解除と、対敵性国交易法の適用の解除などについて、よい対話があったと語った。私たちが行動を取るように、北朝鮮がしなければならないことが残っており、もう少し、完了するまで見守らなければならない。

これまでの非核化の進展事項は、関係正常化に向かう肯定的な措置と合致するだろう。テロ支援国と対敵性国交易法の適用の解除など、私たちが既に北朝鮮と話してきたことを、今後議論して見なければならない。

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September 05, 2007

長引く拉致問題、家族会と調査会が緊縮財政

下記は、本日の読売新聞の配信。
記事にしてもらい、うれしいやら、なんやら複雑な感じです。
ともあれ、調査会の活動には資金が必要なのはいうまでもないことです。
是非、国民の皆さんのご支援をお願い致します。

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長引く拉致問題、家族会と調査会が緊縮財政
拉致問題


 北朝鮮による拉致問題の解決に見通しが立たず、家族会(横田滋代表)や支援団体の資金繰りに影を落としている。

 家族会の事務所が先月末、「費用軽減」などを理由に、東京都内の別の場所に移転。特定失踪(しっそう)者問題調査会(荒木和博代表)は来月、活動資金を捻出(ねんしゅつ)するため、フリーマーケットに出店する。拉致被害者の家族たちは、5日からモンゴルで始まった6か国協議の日朝国交正常化作業部会で、拉致問題が少しでも進展することを願っている。

 家族会が事務所を移転したのは先月31日。JR飯田橋駅にほど近いビルから、文京区内の別のビルに移転した。家族会事務局長の増元照明さん(51)によると、広さはこれまでの半分程度。家賃も半分になった。引っ越しの際、入りきらない資料は整理し、廃棄したものもあるという。

 増元さんは「我々の活動はみなさんからの寄付で成り立っている」としたうえで、「問題解決にどのくらいの期間がかかるかわからない。浄財は大切に使わなければならず、費用を少しでも節約するために移転した」と明かす。

 拉致の疑いがある行方不明者を調べている特定失踪者問題調査会は、財政状況の逼迫(ひっぱく)がより切実だ。

 調査会では2005年10月から、北朝鮮向け短波ラジオ「しおかぜ」の放送を始め、拉致被害者と失踪者の家族の呼びかけを流している。ラジオ放送の運営には年間1500万円の費用がかかるため、政府は前年度の補正予算と今年度予算から計約600万円を拠出する予定だった。

 しかし、調査会は、今年2月の6か国協議が北朝鮮へのエネルギー支援などで合意したことに反対する立場を表明。政府からの支援を断ったことから、資金不足の状況が続いている。来月には、都内で開かれるフリーマーケットにボランティアとともに出店し、売上金を活動資金に充てることを考えている。

 政府は今年3月、拉致問題の解決を訴えるテレビCMを放映(制作・放映費1億円)し、7月には政府独自の北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」(年間運営費約1億3000万円)も始めた。内閣官房も来年度予算の概算要求で、拉致問題対策推進費として5億5300万円を計上した。

 ただ、こうした資金から拠出されるのは、家族会のメンバーが海外渡航する際の旅費や、海外の拉致被害者の家族が日本に来るときの費用だけだ。

 内閣官房拉致問題対策本部事務局では、「要望があれば、(家族会や調査会の)活動への支援も前向きに検討していきたい」とするが、「用途を決めないまま資金だけ援助するのは難しい」とも話している。

(2007年9月5日14時41分 読売新聞)

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拉致問題解決の「原則的態度」


 「救う会」のメール・ニュースにおいて、米国による北朝鮮のテロ支援国家指定解除について、平田事務局長のコメントが出された。その趣旨は「日本は原則的態度を貫け」というものだ。
 国際外交上、一国が自らの利益の獲得のために、常に「原則的態度」を貫くことは大切である。なぜなら、相手の出方によって自分の立場を変えてばかりいるのは「右顧左眄」であり、自分の足元を自分で揺らしてしまい、結局は敵の戦略にはまってしまうことが多々あるからである。古来から「朝令暮改」を戒めているのもそのためである。この意味で「原則的態度」をキープしていくことは大切である。
 ただし、注意すべき点は、その「原則的態度」というものが、全く回りの環境の変化も考慮に入れず、硬直したものであってはならないということである。とかく、「原則的態度」というのは教条的になりがちであり、「原則」から外れる政策を全て否定もしくは排除してしまうことになりかねない。その結果、政策目的の達成よりも、政策目的の達成の手段に拘泥してしまい、「自縛」「墓穴」になりかねない。そのため「原則」には常に「例外」が用意されるのである。
 今回の一連の米朝間の動きは、横田早紀江さんがブッシュ大統領と面会した時とは環境が大きく変化していることを示しているのは確かである。この大きな変化に対して、「原則的態度」というものをキープしているだけで、果たして政策目的である「拉致被害者の全員の救出」というものが達成できるかどうかの吟味が必要である。
今回の一連の日朝協議の結果、何らかの「部分的進展」がみられるかもしれない。もしそうなれば、それは「原則的態度」の成果でもあろう。しかし、「全面的進展」すなわち「拉致被害者の全員の救出」ということに繋がるかどうかは疑問である。
結局のところ、国際外交上の問題解決にあたっては、「原則的態度」をキープしながらも、他の手段、方法といったものをあわせて「柔軟に」検討していくという、古来からの「国際関係上の常識」あるいは「例外」の部分を検討し用意しなくてはならないだろう。
北朝鮮に対抗していくための日本側のカードは「経済制裁」と「日米同盟」しかないのが現実である。そのカードは使い切っている。では、その他にカードはないのだろうか。ないとしたらそのゲームは「負け」である。「負け」にしてはならないのであるから、他のカードを見つけ出して、それでゲームに参加しなくてはならない。とすれば、その別のカードが「原則的態度」と相反するものであったとしても、「例外」として認めなくてはゲームにならないのである。その「例外」でのカウンター・パートナーは、金正男であったり、金平日であったりするかもしれないのである。

“北朝鮮への‘ビラ’散布中断要求は効果が大きいことを反証”

下記は、毎度おなじみのDaily NKの配信。
調査会の「バルーン・プロジェクト」も、このイ・ミンボク氏の協力によるもの。
この記事の中でイ・ミンボク氏も語っているように、北朝鮮のような閉鎖社会を変えていくためには、外部から情報を注入し、国民の覚醒を促すことが効果的である。それは歴史が証明している。
もちろん、ビラの配布の一回や二回ですぐに効果が表れるものではなく、継続して実施していくことが大切である。さらに、それに加えてラジオ放送なども加えて、様々な方法で直接国民に情報を知らせることである。

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“北朝鮮への‘ビラ’散布中断要求は効果が大きいことを反証”

イ・ミンボク代表 “北を変化させるには外部の情報の流入が必要”

北朝鮮は10日に開かれた、南北軍事実務会談を通じて、民間団体による北朝鮮へのビラの散布の中止を要求事項として提示した。こうした要求を、北朝鮮はこれまで16回もしてきたという。
 北朝鮮政府は2004年に開かれた南北将軍級会談で、南北が軍事分界線地域で放送と掲示物、ビラなどを通じた宣伝活動を中断することを合意したにもかかわらず、南側の民間団体が、今年に入って対北誹謗ビラを散布していると抗議している。
 これと関連し、北朝鮮へのビラの散布を主導しているイ・ミンボク基督脱北人連合会代表は26日、デイリーNKとの電話でのインタビューで、“北朝鮮政府が敏感に反応しているのは、‘ビラ風船’による宣伝に、北朝鮮の人が沢山接して影響を受けているということ”と評価した。
 イ代表は“金正日を除いたすべての北朝鮮の人々は、表現はできなくても、心の中では(ビラの散布は)よくやっていると考えているだろう”と言い、“閉鎖された北朝鮮の社会に、外部の消息を伝えるという一念で続けていく”と、活動を続ける意思を明らかにした。
 90年に北朝鮮を脱出して、中国やロシアを経て、95年に韓国に入国したイ代表は、‘国連の脱北難民第1号’としてよく知られている。イ代表は現在、韓国で神学大学院を卒業し、北朝鮮にキリスト教を伝える活動をしている。
 イ代表は風船を使って、北朝鮮にキリスト教について書かれた紙などを送り、外部の消息を伝えて、北朝鮮を変化させるという戦略を持っている。特に、イ代表を中心に、脱北者や宣教団体の会員たちは、今年に入って既に207個(7月18日まで)の大型風船を北朝鮮に向かって飛ばした。
 ここにはあわせて59万7816枚ものビラがつけられていたという。ラジオ6台とアスピリンなどの薬品も含まれている。2002年以後、活動を続けてきたイ代表は、北朝鮮に外部の消息を伝えることが、何よりも重要だと強調している。
 “東ドイツもソ連も、外部の情報が共産主義を崩しました。東ドイツの最後の首相、ローター・デ・メジエールは、ドイツ統一当時、‘西ドイツは東ドイツに外部世界の情報を知らせようと努力した’と言い、それを認めました。ロシア出身の北朝鮮専門家、アンドレイ・ランコフ教授は‘ソ連はラジオのために崩壊した’と言いました”
 イ代表はまた、“ルーマニアの国民が、独裁者チャウセスクを処刑した時のように、北朝鮮が崩壊すれば、北朝鮮の住民の底力はものすごいものになるだろう”と述べ、ビラの散布と対北放送が、北朝鮮の住民の意識に大きな影響を及ぼしていると確信すると語った。
 更に、“こうした活動を支持・支援しないことが、むしろ北朝鮮の住民の底力を無視することになるかも知れない"と述べ、“私も北朝鮮にいた時、韓国から飛んで来たビラを通じて、多くのことを悟った。あの時見たものが今、北朝鮮へのビラを製作する際に、多くの助けになっている”と語った。
 当時の経験から、韓国から飛んできたビラに書かれた内容の中で、理解することができなかった表記や用語を、北朝鮮式に表現して、少しでも北朝鮮の住民に気を配ったビラを製作しようと心がけているという。実際、ビラの内容はすべて北朝鮮式だ。
 ビラの内容について、“首領に対する忠誠心と、韓国について偽りの宣伝をしているという点を悟ることに重点を置いている”と説明した。
 イ代表は“北朝鮮の社会で暮らしたので、何を攻略すれば、北朝鮮の住民に北朝鮮政権の本質を知らせることができるかが分かる”と述べ、"そのような意味から、脱北者たちが主人公になって、この活動に積極的に乗り出さなければならない"と言葉を続けた。
 大型風船を1つ北朝鮮に飛ばすのに必要な費用は、約13万ウォンだ。北風が弱くて、送るのに失敗した風船まで含めれば、かなり多くの費用がかかっている。脱北者や宣教団体、市民団体からの後援金だけで活動を続けている。
 散布するビラ1つが、北朝鮮の人民を変えることができると固く信じているというイ代表は、“認めてくれる人はあまりいないが、北朝鮮を改革開放させるには、この方法しかないと思う”と述べ、"北朝鮮が民主化され、統一する日まで続ける"と、力強く語った。

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September 03, 2007

米国が「テロ支援国家解除」へ

 本日のNHKニュースで、米朝会談を受けて「米国が北朝鮮の『テロ支援国家』の指定を解除する」と、北朝鮮外務当局からの情報として報道した。NHKのコメントはこの情報に慎重な姿勢だったが、そこまで報道したからには、かなりの確証がある情報なのだろう。
 テロ支援解除には二つの要件がある。一つは、『よど号犯人』の取扱いと、もう一つは『拉致』である。よど号については、北朝鮮にとっては『御用済み』の存在なのだから、しかるべき時に、国外退去などの措置をとればそれで済む話だろう。もう一つの『拉致』については、ある程度の「再調査」というような一定の「進展」の姿勢を見せるだろう。それで、とりあえずは米国の顔を立てることになるのである。
 顔を立てられた米国としては、日本に対して「一定の進展があるのだから、強硬路線を転換して経済支援を行なえ」というようなことになるはずである。
 問題は「一定の進展」の中味である。『よど号』の帰国が「拉致の一定の進展」というように解釈されても意味はない。やはり、拉致被害者そのものの情報なりなんなりが出てこない限り「一定の進展」というようには到底考えられない。
 ただ、米朝関係の急激な変化を受けて、日本もこれまでと同じ姿勢と取り組みを続けているだけでは、「進展」というものを期待することは難しいだろう。安易な妥協をするべきではないのは言うまでもないが、妥協すると見せかけて、さらに多くの成果を取り上げるような、したたかな戦術を採用していくことは重要ではないだろうか。
 五人の拉致被害者を帰国させた時に見せた裏取引と、そして北朝鮮に送り返さなかったような相手をうっちゃる、そんな芸当を見せてもらいたいものである。それを望んでも無駄だろうか。

September 02, 2007

前田智徳おめでとう!

 広島カープの前田選手が2000本安打を達成!!
 ともあれ、おめでとう。
 天才打者といわれた前田も、故障続きで不振が続いていた時があった。両足アキレス腱断絶だから、普通ならそこでリタイアであろう。天才の陰には努力ありで、前田は天才と言うよりも努力の選手だった。これからも、偉大な張本の記録3085本安打を超えるまで(ちょっと無理か)、頑張ってほしい。
 努力の選手といえば、衣笠祥雄である。2543本安打で、歴代4位である。2215試合連続出場記録は大記録である。とにかく、デッドボールを何度も受けながら、一切投手に抗議することがなかったし、いつもフルスイングで三振した姿は、実に感動ものだった。
 衣笠は、私が中学1年生の時、私のいた宇品中学校に野球選手として訪問したことがあった。当時、衣笠の名前はもちろん知っていたものの、まだまだ若い売り出し中の頃だった。衣笠が中学校に表れた時の印象は「とにかく頭がでかい!」だった。それしか記憶がないのである。あの頭のでかい選手が、どんどん成長して、カープの黄金時代を築くような選手になろうとは、その時には想像もできなかった。
 なぜなら、私が小学校・中学校当時の広島カープは、万年Bクラスの『お荷物球団』だったし、なによりも広島市民のほとんどは巨人と阪神ファンだったのだから。私がカープの帽子をかぶっていると周りの輩からイジメにあった。私をイジメていた輩は、野球帽のイニシャルをGTにしていた。つまり、巨人と阪神のイニシャルの合体である。私の野球帽のイニシャルはH、つまり広島で、「Hはスケベ」と笑われていた。
 広島の地元の子どもですら、巨人・阪神ファンがほとんどだったのだから、まさか広島カープが優勝するようになるとは想像すらできなかった頃だった。
 そんな時代の1971年に生まれた前田が、今や広島カープの大黒柱である。そして、1991年のカープの優勝を体験している数少ない現役選手である。前田が現役にいる間に、またカープの黄金時代が再来すると、私は固く信じている(無理かなぁ)。

 
 

封印される拉致7:家族が拉致の可能性を認識しない失踪事件

 失踪には家出や事件、事故など様々なケースがある。何らかの他の事件の可能性がある場合、拉致であったとしてもご家族は拉致事件だと認識しない場合がある。
 ある女性の失踪がその典型的なケースであった。殺人事件として、警察が捜査を行い、犯人が断定されたものの、証拠不十分となった事件である。殺人事件として見られているものの、その後遺体は未だに発見されていない。
 ご家族はその犯人と目された人物が、拉致ではなく別の殺人事件であることを確信していた。警察においても、この事件は最初から殺人や監禁といった国内事件であるとの認識だった。
 拉致事件の難しさは、国内での別の犯行という見方を続けている限り、拉致被害者であるとの可能性は見えてこないことにある。いずれの拉致事件も同様ではあるが、拉致という視点から失踪を見ておかない限り、いくら国内で捜索を進めても何も出てこないのである。横田めぐみさんがその最も端的な例である。
 この女性のご家族も、当初から拉致事件の被害者との可能性を想定しなかったことと、犯人と目された男性の存在が、拉致事件の可能性を認識しなかった原因となったのである。
 この失踪者のご家族の思いは複雑である。ある日突然最愛の娘を失い、しかも、その犯人と目される人物が目の前に存在するにもかかわらず、全く失踪の原因や失踪者当人を探し出すことができなかったことに対する自責の念である。そのご家族は「拉致の可能性があるかもしれない。しかし、そう思うと犯人を喜ばせてしまう結果になるのではないか」という。ご家族たちは、失踪という重い事実を背負っている。この事実を何とかして心の整理をさせたいと思っている。たとえ、事実はその人物が犯人でなかったとしても、その人物を犯人と思うことで、失踪した事実に耐え切れない精神的な安定をかろうじて保っているのである。
 この事件について「拉致の可能性がある」という情報がもたらされた。その情報を家族のもとに伝えたときの、両親の苦痛の表情は忘れられない。両親は「私たちはもう殺人事件の被害者だったと思っています。しかし、拉致だと生きている可能性があることになるので、嬉しいとは思う」と私に静かに語った。生きている可能性を前に、嬉しさと、そして殺人事件の被害者ではないか、あるいは拉致の被害者ではないか、という二重、三重の苦しみを家族が背負ってしまったのだ。私はそのご両親の苦痛を増やしてしまった。
 私は、家族に「○○さんは拉致の可能性が高いですよ」と伝えに行くことが、もっとも辛いことだと感じている。家族はそうした生存の可能性がある情報を得ることで、一つ筋の希望が見えると同時に、拉致という絶望的な犯罪の被害者であることに、戸惑いを隠せないのである。失踪という事実だけでも辛い体験であるにもかかわらず、それに加えて拉致事件の被害者である、という大きく重い事実が家族に圧し掛かってしまうのだ。

September 01, 2007

拉致問題の「進展」があるか?

南北朝鮮の関係と、米朝の関係の「好転」により、日本政府もこれまでの強硬路線だけでは拉致問題に進展がないという判断に傾いている。この大きな国際関係の変化と、日本政府の微妙な路線の転換には、米国と中国からの「柔らかな圧力」が反映しているようである。「救う会」「家族会」が求めてきた強硬路線と微妙なズレが生じてきそうである。
 政府の新しい路線が功を奏するかどうかはわからないが、日朝協議の中で、何らかの一定の「進展」があるような観測もある。もちろん「進展」とは、拉致問題の全面解決ではなく、あくまでも部分的解決であろう。少なくとも、日本側の全面勝利を期待することは難しいだろう。
 私としては、例え部分的解決であったとしても、現状よりは一歩前進として受け入れるべきとは思いつつ、これで完全な拉致問題の「幕引き」が図られる恐れもあり、手放しで喜んではいけないものだと思う。部分的解決を繰り返していけば、最後には全面解決になるという段階的方法論しか現実にはないのだろう。しかし、そのたびに、日本は支援金と支援物資を持っていかれる。そして最後には、巨額なODAが待っている。苛立つと同時に、なんともやりきれない思いである。

北は拉致再発防止確約を=ヒル次官補

下記は、時事通信の配信。
読み飛ばしそうな話しだが、結構深刻な話である。
なぜ「拉致の再発防止」なのだろうか。「再発防止」ということは、これからも実行する可能性があるとヒルが認識していることになる。

しばしば「北朝鮮は今でも拉致をしているのか」と聞かれることがある。
もちろんその回答は「わからない」。わかっていたら大変なことである。
ただ、拉致といっても様々な形態があり、政府認定拉致被害者のようなものばかりではない。
近年における拉致の可能性として、気になるのは「遭遇拉致」と「人身売買拉致」である。
「遭遇拉致」というのは、工作員が海岸で出入国をする際に、たまたま現場に遭遇した人を連れ去っていく事である。これは昔からあるということだが、もちろん近年においてもあり得るだろう。だが、余程のことがない限り、事件として判明することがない。とても調査が困難な事件である。
もう一つの「人身売買拉致」である。巷では噂のように流れているのだが、闇組織による人身売買だけに、解明が困難である。例えば、北海道などでは若い女性の失踪が、ロシアのマフィア絡みではないかとも噂されている。それに北朝鮮がどのように絡むのかは現在不明だが、その可能性も否定できない。
失踪のなんでもかんでも北朝鮮に結びつけることは、かえって真実を見誤る可能性を孕んでいるのだが、逆に、失踪のなんでもかんでも、一度はその可能性を疑っておく必要はあると思う。

いずれにせよ、「再発防止」というものをヒルが言及した意味には、結構深刻なことがあると感じている。

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2007/08/31-22:49 北は拉致再発防止確約を=ヒル次官補

 【ジュネーブ31日時事】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は31日、米朝関係正常化に関する作業部会出席のため、ジュネーブに到着した。次官補は記者団に対し、北朝鮮による日本人拉致問題について、9月1、2の両日行われる作業部会で取り上げる考えを重ねて表明するとともに、北朝鮮は拉致問題について説明するだけでなく、再発防止を確約する必要があるとの考えを強調した。

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