ふるさと納税
「ふるさと納税」は、三位一体改革の議論の流れで、地方交付税改革の方法論の一つとして提起されたものである。
こうした国税の一部の納付先を国民の選択によるものにしてはどうかというアイデアは、30年前からあった。最初に提案したのが民社党時代の米沢委員長(当時)だったが、その時は特段の話題にもならずに消えてしまった。このたび、類似したアイデアとして自民党などから提起されたものである。
「ふるさと納税」には、賛否両論がある。
賛成意見は、国民の選択権の拡大、地方自治体の財政再建への貢献、といったものである。
反対意見は、税は居住地に納められるべきだという原則論、そして、特に東京をはじめとする都市部の自治体からは、都市部の財政悪化につながるとして根強い反対論がある。
このたび、10月5日に、総務省の「ふるさと納税研究会」から増田総務大臣に提出された「ふるさと納税検討案」の概略は以下のようなものである。
個人住民税の寄付金控除制度を拡充し、5000円を超える寄付をした場合、控除の適用対象とする。
居住地の納税額が大幅に減ることを防ぐため、控除の上限を住民税納税額の1割にする。
個人住民税は5000円を超過した分を住民税額から差し引く税額控除とする
所得税は現行の寄付金控除制度を活用し、5000円を超える分を所得控除する。
当初のアイデアとは基本的に同じであるが、寄付金控除制度を活用したこと、「ふるさと納税」の対象となる自治体は出身地などに限定せず、すべての都道府県と市区町村としたことが変った。
「ふるさと納税」には、賛否両論があり、今後、国会内で議論が進むものと考えられるが、基本的には「納税者の選択権の拡大」という点では画期的なものであると評価できる。徴税と納税という国家権力の執行と国民の義務に関する非常に厳格な部分に、国民の「選択権」という柔らかな制度を注入することの意味は大きい。
また、地方自治体の側も、自分たちの自治体の出身者に対するアピールも変ってこよう。それが、間接的に自治体の活性化にもつながることが期待できる。
そして、近代化が超スピードで進んできた日本において、「デラシネ(根無し草)」的存在になりつつある個人が、自分たちのアイデンティティを見直すきっかけにもなるのではないだろうか。それは、日本の社会を善き共同体的なものに改めていく端緒にもなるのではないだろうか。


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