下記は、中山補佐官が海外特派員を招いて「拉致ツアー」を開催する件に付いての記事と、それに対する電脳補完録氏のコメント。
電脳補完録氏のコメントのように、「拉致ツアー」は無駄ではないが、他にやるべきことをやっての話だろう。
やるべきこととは、情報収集である。どこから情報を得るのかは簡単な話である。数多くいる脱北者から情報を集めるのである。韓国には1万人を超える脱北者がいる。日本も100人を超える。米国にも数十人いる。タイには数千人いる。彼らから話を聞けばよいのである。
もちろん、彼らの話が100%正しいものではないし、あまり役にたたないものもあるだろう。しかし、その中には多くの事実が隠されているのである。
中山補佐官をはじめとして、拉致問題対策本部のやっていることは、「ふるさとの風」にしろ、テレビCMにしろ、無駄とは言わないが、無難なものばかりである。理由は「北朝鮮を刺激したくない」ということらしい。しかし、脱北者から情報を集める事は、北朝鮮を刺激するものもなんでもない。秘密裏にやることなのだから。
拉致問題対策本部のスタッフが、脱北者はおろか、特定失踪者のご家族のところに自ら訪問して、実情を聞くことすら皆無である。家族の苦しみや悩みを、真摯に自ら聞こうという姿勢は全くない。こちらから出向いた時に、「お気持ちはいかかですか」と聞く程度である。それでは、優秀なスタッフの皆さんの飼い殺しである。
特定失踪者のご家族の中には、山奥で密やかに暮らしている方もいる。しかし、いなくなった肉親を探したいという気持ちは、政府認定拉致被害者の家族と全く同じである。その実情を調べるぐらいの事はできるし、やるべきことだし、業務命令さえあれば、優秀なスタッフは八面六臂の活躍をするはずである。そんな業務命令は存在しないのである。ましてや、脱北者へインタビューして、拉致被害者の情報収集することなどは問題外である。
今回の中山補佐官の「拉致ツアー」も結局のところ、横田めぐみさんの事件のご視察ということである。そんなことで、拉致問題の全面的解決になるのだったら、とっくに解決している話ではないだろうか。
もちろん、陰で中山補佐官が努力されている姿を知っている。しかし、知っているからと言って、拉致問題対策本部がやるべきことをやっていないことに対して、何も言わないということでは済まされない問題だと思う。
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外国記者集め「拉致啓発ツアー」 政府が4日から開催
北朝鮮による日本人などの拉致問題を世界に知ってもらおうと、政府の拉致問題対策本部は4日から1泊2日の日程で、国内で活動している海外メディアの記者13人を拉致現場などに案内する「啓発ツアー」を開催する。
ツアーは初めての試み。海外メディアの記者を招待し、各国で拉致問題を報道してもらい、啓発につなげようと対策本部が企画した。「今後も続けていきたい」としている。
ツアーには米国や欧州、中国、韓国の6カ国のメディアの記者が参加。拉致被害者、横田めぐみさん=当時(13)=が連れ去られたとみられる新潟市の現場を訪れるほか、東京都内でめぐみさんの両親、滋さん(75)と早紀江さん(71)の講演も聴く。
また、平成13年12月に鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海で沈没した北朝鮮の工作船を展示する海上保安資料館横浜館(横浜市中区)にも立ち寄り、北朝鮮の実情を紹介する。
北朝鮮による拉致の被害は世界12カ国に及ぶとされ、対策本部は「拉致は世界中が考えるべき人権問題という認識を広め、国際世論を高めたい」としている。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/071203/kor0712031650001-n1.htm
政府のやることに関して「まあやらないよりはまし」「遅すぎるけどやった方がいい」という言い方を私などもよくしますが、果たしてこれはどうなのか。やらないよりましなのか、遅すぎるけどやった方がいいのか。私自身は今回のこの「ツアー」は全く無意味だと思っている。国内で活動している海外メディアの記者、ということは恐らく各メディアの東京特派員でしょう。いまさら新潟の現場や工作船見学、そして横田さんの講演を聴くなどという「特派員」。彼らに何を期待するのだろうか。例えば「映画めぐみ」を撮影したクリス・シェリダンとパティ・キム夫妻など、特派員という資格などなくても独自に来日し新潟の現場を始め各地を取材し、関係者とも面会している。日本に外国人立ち入り禁止区域などありはしないのだから、多少でも感心を持つ記者ならいくらでも取材は出来る。今回「ツアー」に参加するという記者は、そんなこともしなかった記者ってことだろう。一泊二日だという。新潟で一泊だろうか。冬の日本海の味覚を楽しめるな。「あごあし枕付き」での取材ってわけだ。これで「拉致は世界中が考えるべき人権問題という認識を広め、国際世論を高めたい」という対策本部の希望が叶うのかどうか。
ひとつ確実に言えるのは、これで対策本部の予算が消化出来るってことだ。10日から始まる北朝鮮人権週間も予算消化には絶好のチャンスである。1回ずつのシンポジウムと集会、そして懇親会に、官房長官主催のレセプションと中山補佐官主催のレセプション。小泉政権時のタウンミーティングで費用が一回2,000万円だと問題になったことがあるが、この「北朝鮮人権週間」で政府はいったいいくら使うのだろう。
拉致問題解決のために私はもっとお金を使うべきだと思っている。問題はどう使うかだ。日本国内での「啓発」は、救う会を初めとして民間がやってきたことであり、もちろん今後も行っていくだろう。対策本部が予算を使うのであればいくらかの補助をすればいいだけのことである。本来的に今、使うべきは、「情報収集」である。先月、調査会の真鍋さんがタイに数回行き、タイ人ホステスがピョンヤンで日本人らしき人物を目撃したとの証言を得てきた。木村かほるさんに似ているというがまだ確証はない。こういう民間が集めてきた情報が拉致対策本部に挙げられても「ああ、そうですか」で終わってしまう。最初の情報は誰が取ってきてもいい。しかし入手した情報に関して更なる調査をしていくのは政府の役目だろう。脱北者を支援している人々は「金さえかければもっと多くの情報が得られる」と断言している。もちろん得られる情報には間違いや嘘も大量に含まれる。それを精査していくにもお金はいくらでも必要であろう。調査会の荒木代表によれば対策本部に「情報」専任の部署が出来たのは最近だという。その部署は恐らくまだほとんど「予算」を使っていないだろう。
テレビCM、ポスター、啓発ツアー。予算消化のための活動は、何も結果をもたらさない。
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