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February 21, 2008

シリーズ渡辺秀子・高姉弟事件 8

ユニバース・トレイディンク社とよど号犯人

 ユニバース・トレイディング社を舞台とした渡辺秀子親子の拉致・殺害事件は、木下陽子が渡辺秀子さんを殺害し、高敬美・剛さんを拉致したことで闇に葬られたかと思われた。それが、全く関係性がないと思われていたよど号犯人の動きから、意外なところでこの事件が他の拉致問題やよど号事件関係者との接点を持つことが判明した。それが、よど号犯人グループの一人、柴田泰弘が日本へ1985年頃再入国し、後の1988年5月に逮捕されたことだった。
 この柴田の再入国事件は、単純な偽装入国のようだが、この柴田の再入国の背景にある人間関係が多くの広がりを持つものだったことが後に判明した。
柴田が本名で日本に再入国などできるはずがない。柴田は、ユニバース・トレイディング社に勤めていたN.S.の弟のパスポートを持って日本に入国したのであった。
 柴田は、よど号の妻の一人の八尾恵と北朝鮮で結婚し、二人の子どもをもうけた。その八尾恵が1983年に有本恵子さんの拉致に手を染めたのち、1984年には日本に帰国していた。ここで有本恵子さんと柴田との関係性も疑われる。柴田は神戸のS高校の卒業生である。八尾恵が拉致した有本恵子さんが、S高校の卒業生だったという事実からして、まったくの偶然だったとは考えにくい。有本恵子さんの高校時代に在職していた女性教師のN.S.が主体思想研究会のメンバーだったことからも、有本恵子さんが欧州に旅立つ以前に、S高校を舞台にして何らかのつながりがあったとも推測できよう。
その八尾恵に北朝鮮に向かうことのきっかけを作った在日朝鮮人のF.Y.は、N.S.の妻であるN.R.と朝鮮総連の留学生同盟を通じた仲間だった。N.R.は、渡辺秀子さんの夫であるユニバース・トレイディング社に勤務中の高大基とも親交があったという。
さらに、この留学同を通じた人間関係は広がっていく。『朝鮮総連工作員』という著書を記して秘密組織「洛東江」の実態を暴いた張龍雲、田中実さんの拉致に関わったという疑惑を持たれているソウ廷楽や、昨年脱税で逮捕された達川相珍などとの関連性を含めれば、限りなく広がっていく。ソウ廷楽は、ユニバース・トレイディング社の実質的な創立者である金炳植が別途設立した「ふくろう部隊」の一員でもあったという。
 また、同じよど号犯人グループの一人で、1996年にカンボジアで拘束され、その後の2000年に日本に移送された田中義三とユニバース・トレイディング社とのつながりもある。田中義三の妻である水谷協子の兄の妻は、渡辺秀子事件の後の話ではあるが、ユニバース・トレイディング社に勤務していた。
 こうした一連の人間関係は、ユニバース・トレイディング社という存在が、よど号グループと密接に関係したことを物語る。そして、なによりもその関係性の中で実行された渡辺秀子親子拉致・殺害事件を解明していくことは、拉致問題全体の解明にもつながるものだと言えよう。しかし、残念ながら、高敬美・剛さんを警察庁が拉致被害者だと断定した以降、ユニバース・トレイディング社とよど号関係者を通じた拉致問題の全容解明の動きは見えないのである。