「あたご」について想う
下記は、軍事評論家で元航空自衛隊基地指令の佐藤守さんのブログから。
「あたご」事故の報道を見るにつれて、私も感じていたことが書かれているので、ご本人の了解なしで転載させていただいた。
不肖私も瀬戸内海で暗躍した真鍋水軍の末裔であり、親戚にも船乗りがいて、少々海商法も大学時代にかじっていた。そんなことから、今回の事故でメディアの「あたご」叩きと石破大臣辞任への誘導の報道に疑問を持つと同時に、被害者側の船舶運行について疑問を持っていた。それについて、佐藤守さんが軍事評論家の観点から端的に指摘されている。
被害者のお二人には忍びないが、彼らがなぜ直進を続けたのか、ということが全く報道されていないのが不思議に思う最大のポイントである。多少の船の知識があれば、船舶航行には右側にある船に優先権が有り、衝突回避のために「互いに」右に旋回していく国際ルールは当たり前のこと。今回の事故は、両者ともに直進をしているのである。だから、「あたご」にも責任はあるし、当然のように「清徳丸」にも回避義務があったのである。その点がまったく指摘されない。
なぜ、両者が直進したのだろうか。この点について、「あたご」側が、小さい船がよけてくれる、という予断を持っていたというようにも言われている。だいたい、巨大な船と小さな船とでは、緊急時での機敏さが異なるのは誰でも判るものである。国際ルールといっても、現実にはそのルールを守っていたら、危険な水域ではかえって危ないのである。
ものは試しで、三浦半島から浦賀水道を眺めてもらいたい。世界一危険な海域に、大は20万トンクラスの巨大タンカーから、2メートルにも満たないヨットまで、東西南北入り乱れて航行している。そこに、「右側優先」の大原則を適用したら、大型タンカーは直進できないで、右回りにグルグル回らなくてはならなくなる。巨大タンカーがグルグル回ったら、それこそ小さい船は大迷惑である。
別に自衛隊を擁護するつもりではない。実際に、防衛省内で情報の隠蔽とかごまかしがあったとすれば由々しきことである。それは非難されても仕方があるまい。しかし、今回の事故を盛んにメディアが取り上げて、自衛隊「叩き」を繰り返している理由は、再発防止とか事実の検証というよりも、最新鋭イージス艦という「絵になる」戦艦が起こした事故だからなのであろう。だから、「清徳丸」の側が「直進」し、「回避義務」をとらなかった過失の可能性については全く触れないのであろう。
いずれ、海難審判でこの辺の事実関係が明らかになってくるのであろうが、事故の一方の当事者のみを「叩く」のは、為にして行うものであり決して好ましいものではないと思う。
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軍事評論家=佐藤守のブログ日記 ■軍事を語らずして、日本を語るなかれ!!■
2008-02-23 石破大臣は続投せよ!
■石破大臣は続投せよ!
(略)
私も、この数日の報道から受ける感じは、行動を共にしていた4隻の漁船(団?)の行動に疑問を
感じている。
産経新聞の図を参考にするが、自分の方に“優先権がある”から危険を覚悟で大型船の直前を突っ
切る行為は、例えは悪いが海の暴走族ではないか?海上衝突予防法がどうであろうと、状況から判断
して、衝突を防止するように行動するのが[プロ]の腕である。事実、金平丸は無理だと判断して、
法律上の“優先権”を無視して左へ反転しているが、これは厳密に言えば「法律違反」になるのか?
「あたご」の直前をかすめて通過した幸運丸はその名の通り「幸運」だっただけではないか。果たし
て接近してくる巨大な「あたご」の艦影を視認していたのだろうか?ましてやまるで「自爆」するか
のごとく直進していった「清徳丸」の動きは理解に苦しむ。
現役時代、空中戦闘訓練で、互いに急接近したことがたびたびあったが、状況を瞬時に判断して回
避するのが習い性になっている私にはどうしても理解できないのである。
勿論、如何に自分の方に「優先権」があろうとも、事故が起きてからでは元も子もない。君子危う
きに近寄らず、が基本であった。
私も、都心からこの地に転居してからというもの、右折しようと交差点で待っていて、右折矢印が
表示されたので発進しようとした時、信号を無視して直進してくる車が多くて困惑している。
私はまだ死にたくないから、「優先権」を放棄?して無謀な車をやり過ごすことにしているが、命
あってのものだね、権利を主張する気にはなれない。
陸上と海上では何かが違うのかもしれないが、今回の事故はどうもおかしなところが多いから、感
情にとらわれない「再発防止のための調査」を実施して欲しいと思う。
(以下略)
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