北朝鮮からの脱北者の詩
下記は、匿名の脱北者による詩。
インターネットで配信されています。
北朝鮮の内情をよく表現していますので、無断転載です(どなたの配信か不明なので)。
早いところ体制が変わって、北朝鮮の人たちに満足に医療や食料が供給されるよう、祈るのみです。
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‐北朝鮮を脱出した人が、北朝鮮の実状を告発した詩から-
私の懐には100ウォン(日本円にして約10円)があった。
「このお金があの時もあったなら彼女たちをあのように去らせなかったのに…」
市場に行く度に飢え死にしそうな妻と娘に対する想いがつのった。
市場の真っ只中、沢山の人々が取り巻いて、何かを見物していた。
人波をくぐって中に入って見たら、6歳くらいに見える女の子が座っていて、やつれ果てた女性が
横に立っていた。彼女の首に掛かっている紙を見て、私は言葉を失った。
「私の娘を100ウォンで売ります。」
「あの女は完全に狂ったようだ。いくら生きていくのが大変でも、自分の子供を売るなんて」
「あは、気違い女だ。子供を売るにしても、もうちょっと何とかならないのか。100ウォンだとは、犬も3,000ウォンなのに娘が犬ほどの値打ちもないのか!」
「100ウォンで金持ちになれるか、気違い女!」
女性は唖なのか、何も喋らなかった。
子供が急に顔をあげて大声ではっきりと叫んだ。
「私のママの悪口を言わないでください。私のママは今、癌に掛かって死にそうなんです。」
悲鳴のように聞こえる子供の声は人々の心臓を突き刺す槍のようだった。
「母親も助かって、子供も生き延びられたらどんなに良いか」
「親戚の中に育ててくれる人はいないのか?」
「ああ、可愛そうで見ていられない。」
非難の声は同情の声に変わった。
しかし誰もが生きて行くのに精一杯の境遇なので気軽に連れて行こうとする人はいなかった。
「どけ!どけ!」と、鋭い声と共に安全員が現われた。
「この女、狂ったのか!ここが人を奴隷のように売ったり買ったりする腐り切った資本主義だと思っているのか!」
彼は首に掛けられた紙をひったくって細切れに引き裂いてしまった。
ざわめく人々は安全員を口々に野次り始めた。
怒りで顔が歪んだ安全員は、女性を怒鳴りつけた。
「人間中心の社会主義ではこのような行為は体制への冒涜である。お前は娘と一緒に、政治犯収容所に行け!」
母親が連れて行かれると聞いて、子供は泣きながら哀願し始めた。
「おじさん、私のママは病気です。どうか許してやってください。ママ、我慢して。ママが死んだら私も一緒に死ねば良いじゃないの。」
その瞬間、私は妻と娘の死を見る錯覚と共に、全身が熱くなった。
「すいませんが、私が子供を連れて行きます。
私には100ウォンがあります。」
「何だ?」と言いながら振り向いた安全員は、私の軍服を見て硬直した。私は子供の母親に100ウォンを握らせながら言った。
「このお金であなたの娘さんを買うのではなく、あなたの母性愛を買うのです。そのように思ってください。」
お金を貰って戸惑っていた女性は急に人波をかき分けて消えて行った。
私の気が変わるかと心配で、子供を捨てて逃げ出したのだろうか。突然の行動に慌てた私は、子供の顔を見た。
子供も驚いた表情だった。性急な決定を下したようで、一瞬、緊張した。
しばらくしてその女性がオンオン泣きながら帰って来た。
彼女が手に持っていたのは、最後に娘にあげる100ウォンの一袋の小麦粉パンだった。
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