北朝鮮「日本人が北朝鮮にいる理由は関係ない」
下記は11日付け朝日新聞の報道の抜粋。
「北朝鮮政府当局者は6月、朝日新聞記者に対し「もう一度、日本人がいないか捜す。いたら帰す」と説明。再調査は、04年の調査結果を正当化する範囲で認めるとしてきた従来の立場から踏み込んだ。同当局者は「(日本人が)我が国に来た理由は関係ない」とも語り、政府が認定する拉致被害者17人以外の「行方不明者」の存在をにおわせる。」
ここで問題なのは、北朝鮮側が「日本人が北朝鮮にいる理由は関係ない」と発言している箇所。つまり、「拉致ではない理由で北朝鮮にいる」ということを北朝鮮側は言いたいという意味である。拉致事件について、寺越さん事件や、キム・ヨンナムさんと同じ構造を作りたいという趣旨であることは明らか。「人道的に保護している日本人がいるから、人道的に対処する」ということにして、拉致された本人を出し、本人の口から「お父さん、お母さん、元気でいます。ピョンヤンで温かく守られて生活してきました。是非、ピョンヤンに来てください」というストーリーを作るのである。この構造は今に始まったわけではなく、一貫して北朝鮮側が求めている「解決方法」である。それに、乗ってしまったら、寺越さんやキム・ヨンナムさんと同じ結果を招いてしまう。
安易にこの話に乗ることは避けなくてはならないが、難しいのは、北朝鮮側が出してくる「本人」とはどんな人物かによって判断が分かれることである。日本政府認定の拉致被害者なのか、特定失踪者なのか、それとも我々の全く知らない人なのか、それは北朝鮮側の都合(つまり、日本の世論がどう動くのかの見極め)でいくらでも戦術的に変えられる。
この場合、想定できる人は次のようなケースである。
・「自分の意思で北朝鮮に行った」と説明しやすい人
・「人道的に保護した」と説明しやすい人
・思想的に北朝鮮に共鳴をしていた人
したがって、我々が望んでいる拉致被害者だけではなく、必ずしも日本側が「救出」を望んでいない人たちも含まれる場合が想定できるだろう。それでも、「新事実」ということで、経済制裁の解除に進んでいくことは間違いない。このときに、我々がどのような判断をするのか、それを北朝鮮側が注視しているということである。

